H31.02.26 平成31年度施政方針

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 平成31年第1回市議会定例会の開会に当たり、市政運営について所信を申し上げますとともに、本日提案いたしました議案についてご説明申し上げます。

 本庁舎の耐震化につきましては、リニューアルした庁舎での市民サービスや通常業務が無事、スタートいたしました。

 市民の皆さまや市議会をはじめ、関係者の皆さまのご理解、ご協力に深く感謝申し上げます。

 本年は、5月の皇位継承に伴い、新たな元号に改められるなど、歴史の大きな転換点を迎えます。

 バブル経済とともに幕を開けた「平成」は、バブル崩壊による景気低迷や東日本大震災などの大規模な自然災害の発生をはじめ、パソコン・インターネット等の新たな情報技術の進歩・普及などにより、私たちの暮らしや価値観が大きく変化するとともに、我が国は急速なスピードで少子高齢化が進み、人口減少社会を歩み始めました。

 さらに、首都圏への一極集中を是正するため、地方創生へ取組がなされておりますが、地方からの若年層流出は止まらない状況にあり、首都圏から地方への移住を促進する受皿づくりが求められております。

 このような中、国においては、雇用制度や社会保障制度の改革をはじめ、ロボットや人工知能など先進技術の活用、海外からの人材の受け入れなど、激動する世界情勢や深刻化する少子高齢化に向けた取組を打ち出しており、引き続き国の動向に注視するとともに、アンテナを高く掲げ、関係情報の受信と発信に努めてまいります。

 また、社会保障制度等の財源確保のため、10月に消費税率の引き上げが予定されておりますが、幼児教育や保育の無償化をはじめ、プレミアム商品券の発行など国の施策に適切に対応してまいります。

 本市においては、合併14年目を迎え、子育て支援の拡充や健康寿命の延伸などのほか、2020年かごしま国体へ向けた取組や加世田運動公園に近接する旧清掃センターの解体など先送りできない課題をはじめ、人口減少という大きな課題に歯止めをかけるべく、「第2次南さつま市総合振興計画」のもと、各種施策の具現化を図ってまいります。

 

 そのために6つの施策の大綱と、主な施策、新たな取組等について、ご説明申し上げます。

 第一は、「健康で安心して暮らせるまちづくり」であります。

(健康づくりの推進)

 健康づくりの推進につきましては、健康寿命の延伸を目指し、市民一人ひとりや地域全体でこころ・からだ・いのちの健康づくりに取り組む施策を「南さつま市健康増進計画」に基づき展開し、健康元気都市南さつまの具現化を図ってまいります。

 医療費の抑制を図るため、生活習慣病の発症予防や重症化予防のほか、脳血管疾患対策、健康ポイント事業の推進などのほか、健康づくりを学び実践できる機会を提供してまいります。

 また、疾病の早期発見・早期治療、介護予防などに努めるほか、健康体操Yokaなんなんやラジオ体操の普及啓発を図るとともに、NHKで放送される夏休みの巡回ラジオ体操を実施いたします。

 さらに、健康都市連合加入都市との連携・交流を通して健康づくりに関する情報の収集・発信に努めます。

 新たに、若年末期がん患者及びその家族の身体的・経済的・精神的な負担の軽減を図り、安心して在宅療養ができるよう支援してまいります。

 自殺対策につきましては、本年度策定する「南さつま市自殺対策計画」に基づき、必要な事業を総合的かつ効果的に推進し、こころの健康の保持・増進に努めます。

 国民健康保険事業につきましては、高齢化の進行や医療技術の高度化等に伴い医療費が増大することで、今後も厳しい財政運営が見込まれることから、県との連携による安定的な財政運営と効率的な事業を展開してまいります。

(医療体制の充実)

 地域医療の確保につきましては、地域医療に関する情報の周知啓発に努めるとともに、引き続き県をはじめ関係機関と連携し、救急医療体制の充実や医師確保対策など関連する施策の充実を図ってまいります。

 また、県の地域医療構想を踏まえ、関係機関及び多職種との連携を深めながら、在宅医療の推進を図るとともに終末期医療のあり方について検討を進めてまいります。

 県立薩南病院につきましては、近隣市と周産期医療の整備について要望活動を行い、これまでに小児科一部再開の実現に至っているところであります。

 なお、今般、県から同病院の建て替えの方針が示され、2019年度に基本構想の検討に入るとのことでありますが、建設地を本市に決定いただけるよう、去る2月1日に「新県立薩南病院と共に創る南さつま市まちづくり協議会」を設立し、同日、三反園知事に要望書を提出しました。

 今後も県の動向を注視しながら実現に向けて努力してまいります。 

 坊津病院につきましては、医師の確保を重点課題として取り組むとともに、「かかりつけ医」としての機能を維持し、市民が安心・信頼できる医療の提供に努めてまいります。

 診療所につきましては、経営等の健全化及び医療機能の充実を図り、へき地医療機関として市民が安心・信頼できる医療施設整備等環境の充実に努めてまいります。

(子育て支援の推進)

 子育て支援サービスにつきましては、「南さつま市子ども・子育て支援事業計画」に基づき、多様化する保育需要に対応するため、特別保育事業の充実を促進し、地域子育て支援センター等での子育てに関する相談・助言・情報提供などを継続してまいります。

 また、本年度に実施したニーズ調査を踏まえ、2020年度を初年度とする5年間の第2期「南さつま市子ども・子育て支援事業計画」を策定し、子育て支援サービスの更なる充実に努めてまいります。

 子どもを産み育てやすい環境整備につきましては、不妊治療への助成や産後ケア事業のほか、子育てに関する講演会などを継続するとともに、乳幼児健診の充実を図ります。

 また、新たに大人の風しん予防接種の助成を行い、子どもを産み育てる環境の充実を図ってまいります。

 なお、妊娠期から子育て期に渡る切れ目のない支援を提供する「子育て世代包括支援センター」を2020年度に設置するため、準備を進めてまいります。

 子育てに関する負担軽減につきましては、特定教育・保育施設の利用者負担軽減を継続し、本年10月から予定されております幼児教育・保育の無償化につきましては、今後示される国の方針に沿って、適切に対応してまいります。

 また、すこやか子ども医療費助成事業につきましては、本年10月から助成対象者を中学生から高校生へ引き上げる準備を進めてまいります。

 児童福祉の充実につきましては、教育・福祉など関係機関と連携し、貧困の状況にある子どもの支援及び子育てや虐待防止に関する相談業務の充実に努めてまいります。

 このほか、花婿・花嫁きもいりどん事業では、多くの方々に出会い・交流の場を提供し、最良のパートナーと巡り会い、家庭を築き、幸せな人生を送れるように支援してまいります。

(高齢者・障がい者福祉の充実)

 高齢者福祉につきましては、「南さつま市高齢者福祉計画」に基づき、高齢者が住み慣れた家や地域で安心・安全で自立した生活が送れるよう、福祉サービスの充実を推進するとともに、社会福祉協議会やシルバー人材センターの活動を支援し、高齢者の社会参加と生きがい対策の充実を図ってまいります。

 また、「南さつま市地域福祉計画」に基づき、地域福祉活動の充実を目指してまいります。

 障がい者福祉につきましては、「南さつま市障がい者基本計画」などに基づき、障がいのある方が地域で安らぎのある暮らしができるよう、生活支援、就労支援等、総合的な福祉サービスの提供や、スポーツを通じた社会参加への支援を図ってまいります。

 介護保険につきましては、「南さつま市介護保険事業計画」に基づき、適切な介護サービスの提供及び保険運営の健全化に努めてまいります。

 高齢者が住み慣れた地域で適切な医療・介護を受けながら、可能な限り日常生活を営むことができるよう「地域包括ケアシステム」の深化・推進に努めてまいります。

 また、次期計画策定のため、高齢者実態調査を実施し、高齢者等の意識や意向の把握に努めてまいります。

 

 第二は、「産業を支え おこすまちづくり」であります。

(農業の振興)

 農業の経営安定と地域農業の継承につきましては、TPP11や日欧EPA発効など自由貿易化による国内農業への影響が懸念されており、今後も国や県の関連施策等の情報収集、分析、活用に努めてまいります。

 また、本市の農業を支える認定農業者や新規就農者の育成、確保につきましては、人・農地プランに基づく地域ごとの話し合い活動を推進し、農地中間管理機構を通じた優良農地の集積を図るとともに、地域で担い手を育てる体制づくりや集落営農など組織化を推進してまいります。

 併せて、農業振興地域整備計画の見直しを行うとともに、計画に基づく農地の総合的・計画的な集積・利用に努めてまいります。

 農産物の生産振興につきましては、金峰コシヒカリなどの主食用米の産地維持を図るとともに、国の交付金を活用した高収益作物への転換の推進や鹿児島ブランド産品である「加世田のかぼちゃ」や「南さつまのハウスきんかん」の産地維持・拡大を図るため、価格安定基金の造成や種苗購入・生産資材費を支援してまいります。

 また、雇用労働力の安定的な確保対策に取り組むとともに、施設等の整備に対する市単独の補助事業を継続するなど、産地間競争や輸入農畜産物の影響に耐え得る農業生産の推進や、新制度である収入保険制度加入者への支援を推進してまいります。

 さらに農畜産物の海外輸出など広域的な取組を支援し、経営力や生産力の指導・強化にも努めてまいります。

 また、大都市圏での販売促進、販路拡大に取り組み、儲かる農業の推進を図るとともに、優れた健康機能性を持つ長命草など新規作物の普及、特産化に向けた支援を推進してまいります。

 畜産振興につきましては、2022年度の全国和牛能力共進会鹿児島大会を見据え、基金や補助金を活用した優良な黒毛和牛の導入支援、各種共進会への出陳助成及び畜産農家の家畜自衛防疫対策を強化し、伝染性疾病の侵入やまん延防止を図るとともに、畜産に由来する悪臭防止対策にも取り組んでまいります。

 また、市食肉センターの衛生管理に関する対策を図るとともに、施設の老朽化や海外輸出対応、安心・安全な食肉の供給体制等の課題を踏まえ、施設運営方針等の検討を進めてまいります。

 鳥獣被害対策につきましては、電気柵やワイヤーメッシュ柵の設置補助等による侵入防止対策の強化や市猟友会と連携し有害鳥獣の捕獲に取り組むほか、県・隣接市と連携し、広域的な捕獲対策に取り組んでまいります。

 資源循環・環境保全型農業の推進につきましては、農薬の適正使用やかごしまの農林水産物認証制度の認証継続、新規取得を通じ、安心・安全な農畜産物の安定供給に努めてまいります。

 また、総合的な病害虫防除や生物多様性保全に効果の高い営農活動等に取り組む農業者等への支援や自然農法体験農園を継続し、生産者の育成や有機・自然農法の農産物の普及啓発を図ってまいります。

 地産地消・食育の推進につきましては、少量多品目農業及び食農教育の推進に努めるとともに、地場農林水産物の消費拡大や学校給食への利用拡大に努めてまいります。

 活力のある農業農村の形成や安心・安全・新食料基地の実現など、農業競争力強化を図るため、金峰・万世・小湊地区の水利施設など農業生産基盤の整備をはじめ、地域の防災減災力を高める環境整備を推進してまいります。

 また、優良農地の確保を図るため、農地集積・集約化等を促進し、土地改良施設の長寿命化対策に努めてまいります。さらに、農業農村の有する多面的機能の維持・発揮を図るための共同保全活動を支援し、農村地域の活性化を図ってまいります。

(林業の振興)

 林業振興につきましては、森林の持つ多面的機能を高めるため、除間伐、造林や森林病害虫の防除など、健全な森林保護に努めるとともに、新たに始まる国の施策の森林経営管理制度を活用してまいります。

 山地災害の対策につきましては、保安林の指定を推進し、治山施設の整備や荒廃した森林の復旧など、森林の持つ防災機能の維持増進を図ってまいります。

 また、森林従事者の育成支援や定着促進に努め、施業集約化や森林資源の有効活用など新たな木材需要への対応など、地域産材の安定的で効率的な供給体制を支援するとともに、路網整備や高性能機械の導入を促進し、施業労力の軽減を図ってまいります。

 さらに南薩木材加工センターやかごしま森林組合を核として、集出荷体制の強化や低コスト化、木材の海外輸出促進を図り、流通体制の確立を促進してまいります。

(水産業の振興)

 水産業の振興につきましては、漁業者の安全航海、操業意欲の向上に努めるとともに、漁具倉庫の新設など漁具や資材等の適切な管理ができるよう支援してまいります。

 新規就業者の確保につきましては、新規就業者への就業支援金を助成し後継者の育成に努めてまいります。

 また、県内でも有数の海岸線を有する本市の地理的条件を活かした水産関係企業の誘致に取り組み、働き場所の確保に努めてまいります。

 漁業資源の適切な管理につきましては、海域に適した種苗の放流や増殖場となる藻場の造成に取り組み、漁業資源の保持増大に努めてまいります。

 さらに、漁業資源の有効活用を図るため、企業や水産加工グループと連携し、地魚を活用した加工品等の開発に努めてまいります。

 漁港施設の整備につきましては、県との連携により、漁港長寿命化計画に基づき施設の維持補修に努めてまいります。

 漁協の経営基盤の強化につきましては、経営改善計画に係る保証料を助成しつつ、関係機関と連携し漁協合併に向けた取組を推進してまいります。

(商工業の振興)

 企業立地支援につきましては、用地取得、施設整備、地元新規雇用に係る補助を行い、平成27年度から9事業者と立地協定を締結しました。

 引き続き誘致活動に取り組み、地元雇用及び地域経済の活性化に努めてまいります。

 地場焼酎の普及につきましては、南さつま市地場焼酎普及推進協議会と連携し、地元焼酎の消費拡大、地場産業の振興、地域経済の活性化に努めてまいります。

 ふるさと納税制度については、業務委託先である観光協会及び返礼品業者で組織された「チーム南さつま」ふるさと納税振興協議会と一体となって、更なる返礼品の充実・強化を図り、本市特産品等の魅力を全国に発信するとともに、地場産業の活性化と自主財源の確保に努めてまいります。

 中小企業振興につきましては、小規模事業者に対し、必要な設備投資に係る費用を補助することにより、設備投資を促進し、経営基盤の強化・安定化を図ってまいります。

 また、市長会と連携を図りながら外国人労働者への対応について検討を進めてまいります。

(観光交流の推進)

 観光交流の推進につきましては、市観光協会などと連携を図りながら、2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて需要の拡大が予想される外国人旅行客の受入やサイクルツーリズムなど、交流人口の増加による地域活性化を目指してまいります。

 32回目を迎える吹上浜砂の祭典につきましては、ゴールデンウィークを中心に約1か月間開催し、修学旅行生の受入や国内外のツアー商品化を促進し、交流人口の拡大を図るとともに、市民が主役となる交流の場、経済交流の場づくりに取り組みます。

 また、周遊観光の推進を通じて、地域経済への波及効果を高めるよう、努めてまいります。

 インバウンドの推進につきましては、アジアを中心とした国々からの誘客に取り組むとともに、市観光協会と連携し、新たな体験メニューを開発・周知するなど、団体及び個人旅行客の誘客強化に努めてまいります。

 南さつま海道鑑真の道歩きにつきましては、「かごしま春の三大ウォーク」として、指宿市や霧島市との連携を図りながら、参加者及び交流人口の拡大を目指して実施してまいります。

 グリーンツーリズムの推進につきましては、NPO法人等と連携し、民泊受入れ家庭の支援・確保や、農業・漁業体験などの情報提供に努めるとともに、新たな地域からの教育旅行生等の修学旅行の誘致に努めてまいります。

 サイクルツーリズムの推進につきましては、自転車活用推進法の施行及び自転車活用推進計画の策定など、本格化する国の動向に対応しながら「南さつまサイクルツーリズムビジョン」の実現に向け、サイクリングターミナルを拠点にした宿泊型サイクルツアーの企画や受入体制の整備、広域サイクルルートの開発・周知に取り組むことで、滞在型観光の拡大による観光振興や交流人口の増加による地域活性化に努めてまいります。

 スポーツ観光の推進につきましては、2020年かごしま国体へ向け、充実する体育施設の活用やスポーツ合宿奨励金制度の周知・広報に努めながら、市内全域での合宿誘致に取り組んでまいります。

 万世特攻平和祈念館につきましては、リニューアル方針に基づき、2019年度に建物・展示の実施設計を行い、2020年度末のリニューアル完成に向け準備を進めてまいります。

 また、大刀洗(たちあらい)平和記念館、知覧特攻平和会館と連携し、資料の保存・継承などに取り組んでまいります。

 かせだ海浜温泉ゆうらくにつきましては、機械設備の経年劣化や施設の老朽化が進んでいることから、安定的な市民サービスの提供や運営管理がなされるよう、大規模な改修工事を実施いたします。

 2019年度で指定管理期間が終了する笠沙恵比寿につきましては、厳しい経営状況が続いていることを理由に指定管理者である株式会社JTBから2020年度以降の管理運営は断念する旨の申出を受けております。

 このようなことから、今後の施設の管理運営につきまして、指定管理制度や貸与、譲渡など幅広い観点からの活用方法について、民間事業者から広く意見・提案を求めるサウンディング(対話による市場調査)を実施し、笠沙恵比寿の有効活用を図ってまいります。

 

 第三は、「環境にやさしく災害に強いまちづくり」であります。

(交通網の整備)

 交通網の整備につきましては、国道、県道の整備を促進するとともに、市道の整備や維持管理を図り、交通の安全や利便性の向上に努めてまいります。

 また、道路や河川の愛護作業につきましては、共助による環境整備を推進してまいります。

 公共交通につきましては、引き続き地域の現状や利用者の状況の把握に努め、日常生活における利便性の向上を図るため、公共交通路線の再編など多様な取組を実施してまいります。

 また、将来的に持続可能な交通体系の構築を図るとともに、利用者・地域住民・運行業者・行政等の関係者が一体となって地域公共交通を支え合う環境づくりに取り組んでまいります。

(住宅・宅地の整備)

 市民の快適な住・生活環境の向上を図るため、住宅新築やリフォームへの補助金助成事業を継続し、定住促進や住宅の機能向上・長寿命化並びに地元建築関連産業の活性化を図ってまいります。

 また、老朽化した市営住宅につきましては、入居者の利便性向上に加え、建物の長寿命化や機能性向上を図ってまいります。

 移住・定住の促進につきましては、移住に関する相談件数が増加しており、本年度申請者が大幅に増加した移住定住補助金制度や空き家バンク制度の利用促進を図るとともに、手厚い子育て支援や農業等の就労支援など移住者が必要とする情報を集約した専用のホームページを開設するなど、情報発信の充実に努めてまいります。

(上下水道等の整備)

 水道事業につきましては、良質で安全な水を安定的に供給するため、国の事業を活用し、大浦地域の西部地区簡易水道や久木野地区簡易水道など水道施設の改良・更新を行うとともに、水道事業の経営安定化を図るため、簡易水道事業と上水道事業の2020年度統合に向けた準備を進めてまいります。

 また、加世田市街地の公共下水道事業につきましては、加世田浄化センター及び汚水管路等の整備を計画的に推進してまいります。

(情報通信基盤の整備)

 情報通信基盤の整備につきましては、計画的に光ブロードバンド未整備地区に情報基盤を整備してまいりましたが、本年3月から坊津地域で光サービスの供用を順次開始する予定としております。

 2019年度は笠沙地域と大浦地域を整備し、光サービスの供用開始を目指してまいります。

 また、テレビジョン難視聴地域にテレビ共聴組合が設置した共同受信施設につきましては、これまで新規整備について助成してまいりましたが、2019年度からは老朽化等により大規模改修を行った場合、その費用の一部を新たに助成し、市民生活における情報源の確保を図ってまいります。

(環境汚染対策の推進)

 生活排水対策につきましては、住宅リフォーム助成事業の環境対策補助制度により、集落排水への加入及び合併浄化槽設置を促進し、快適な環境整備に努めてまいります。

(地球温暖化対策の推進・自然環境の保全)

 地球温暖化対策につきましては、「南さつま市地球温暖化防止活動実行計画」に基づき、温室効果ガス排出量の削減目標実現に向けた取組を進めてまいります。

 自然環境の保全やごみの適正処理等につきましては、「南さつま市環境基本計画」の目指す環境像「みんなで行動する・守る・つなぐ 誇れる豊かな環境 南さつま」に向けて、施策を進めてまいります。

 また、ヤンバルトサカヤスデのまん延防止・駆除対策につきましては、引き続き自治会への駆除剤配布及び散布用器具の貸与を行うとともに市民の駆除剤購入に係る負担軽減を図ってまいります。

(総合的な防災対策の充実)

 防災対策の強化につきましては、主要河川の改修事業や急傾斜地崩壊対策事業、砂防事業等による防災対策施設の整備を促進し、市民生活の安定を図るとともに自然災害に強いまちづくりに努めてまいります。

 防災行政無線の整備につきましては、新規で自治会無線施設を各戸へ整備する自治会や2022年11月で一部のアナログ無線電波が使用できなくなることに伴い、再整備する自治会への補助や防災行政無線の維持管理経費について、負担金を交付いたします。

 防災体制につきましては、防災センターを拠点とした防災体制の確立に努めるとともに、地域防災計画による総合的な防災体制の確立を図るため、大規模災害等に備えて備蓄品を計画的に整備し、主要避難所を中心とした機能強化に努めてまいります。

 地域防災力の強化につきましては、消防団との連携を図るとともに、自主防災組織の結成促進及び活動の充実を図ってまいります。

 また、災害弱者を守るため、避難行動要支援者登録制度の周知や登録を促進し、災害の発生に備えてまいります。

 加世田市街地の水害対策である都市下水路事業につきましては、地頭所ポンプ場及び永田ポンプ場の整備を推進し、水害に強いまちづくりの実現のため、早期完成に努めてまいります。

(消防・救急対策の充実)

 常備消防につきましては、消防施設、車両・資機材の整備により消防力の充実を図るとともに、迅速・的確な消防・救急活動に努めてまいります。

 消防団につきましては、詰所・車庫等の拠点施設整備を進めるともに、「消防団の装備基準」に基づき、各種資機材の配備を行い、火災や自然災害に対する消防力の強化を図ってまいります。

(消費者保護対策の充実)

 消費者行政につきましては、消費生活センター相談員による相談体制の充実、学校や地域における講座や広報誌等による啓発活動など、市民の安心・安全の確保に努めてまいります。

(防犯体制の確立)

 防犯街路灯設置補助事業につきましては、防犯街路灯のLED灯への改修を促進してまいります。

 空家等対策につきましては、空家調査のデータ化を進め、適正な管理やリフォームなどの利活用を図るとともに、危険廃屋の解体経費について補助を行ってまいります。

 

 第四は、「知・徳・体を育み人間力を高めるまちづくり」であります。

(地域とともにある学校教育の充実)

 学校教育につきましては、授業の質的転換や組織体制の整備を図り、新しい時代に求められる児童生徒の資質・能力の育成に努めます。

 また、引き続き小中一貫教育のあり方を研究・実践し、教育の質の向上を図ってまいります。

 さらに、2020年度からの小学校英語科の全面実施に向け、公募により新たに英語教育支援員を配置し、英語教育の充実を図ってまいります。

 道徳科学習につきましては、指導方法の更なる改善や「考え・議論する」学びの実現及び評価の充実を図るとともに、家庭・地域との連携を強化して児童生徒の道徳性の向上に努めてまいります。

 コミュニティ・スクールの取組につきましては、周知浸透に向けて一層推進し、地域とともにある学校の実現を図ってまいります。

(教育環境の整備充実)

 市長と教育委員会で構成される総合教育会議につきましては、重点的に講ずべき教育施策について協議・調整を行うとともに、教育のあるべき姿を共有しながら効果的に教育行政の推進を図ってまいります。

 学校給食につきましては、安全・安心でおいしい学校給食を提供するとともに、給食費の無償化を引き続き実施し、教育負担の軽減を図ってまいります。

 また、就学援助費の新入学準備費につきましては、本年度から小学6年生に対し中学校入学前に支給いたしますが、2019年度は幼稚園・保育園児等に対して小学校入学前に支給し、子育ての負担軽減を図ってまいります。

 学校施設につきましては、夏の厳しい暑さ対策として教室に空調施設を設置するとともに、特別支援教育として笠沙小学校にエレベーターを整備するなど、教育環境の整備を図ってまいります。

 また、老朽化した学校施設につきましては、現在策定中の長寿命化計画に基づき、学習環境の整備と確保を図り、計画的な整備を検討してまいります。

 金峰地域義務教育学校整備につきまして、金峰地域小学校保護者は、母校がなくなる寂しさを乗り越えて、未来を担う子供たちのために、義務教育学校へ移行するという英断をされました。

 地域説明会での様々な意見等を集約して、学校再編検討協議会から「金峰地域施設一体型小中一貫校(義務教育学校)設立に向けた要望書」が、市長、教育長へ提出されているところであります。

 今後、議会での議論を踏まえ、適切に対応してまいります。

 市内高等学校3校への支援につきまして、高校生版地方創生として自ら事業を提案する「南さつま飛びたて高校生事業」において、各高校の魅力が情報発信されており、今後も高校生のチャレンジを支援してまいります。

 また、県立高校につきましては、県立高校活性化協議会の報告に基づき、高校独自の取組を促進するとともに、各学校の特性に応じて資格取得や学習活動、部活動に対する支援など、高校の魅力向上や入学者数の確保などを促進してまいります。

(生涯学習・スポーツの推進)

 生涯学習の推進につきましては、2019年度中に全ての地区公民館にAEDを配置するとともに、国の補助金を活用し、市民センターの照明・空調などを改修し、利便性向上や利用者の安全対策を行うこととしております。

 スポーツの振興につきましては、加世田運動公園陸上競技場のスタンド改修等大規模改造が本年度で終了し、全天候型施設としてリニューアルいたしました。

 引き続き、加世田運動公園長寿命化計画に基づき、施設等の修繕、園路や駐車場を整備するなど年次的な改修を行い、市民の健康づくりの拠点施設として、利便性向上や適切な管理運営に努め、市民の健康増進、競技力向上を促進するとともに、スポーツ合宿等の推進を図ってまいります。

 また、誰もが気軽にスポーツを楽しめるようにコミュニティスポーツクラブの育成・支援をはじめ、市体育協会やスポーツ推進委員と連携してまいります。

 さらに、優秀選手の育成・援助に資するため、県代表として九州大会や全国大会に出場する個人、団体にスポーツ奨励金を交付してまいります。

 開催まで585日となった第75回国民体育大会「燃ゆる感動かごしま国体」につきましては、本年10月にリハーサル大会として「第55回全国社会人サッカー選手権大会」を本市、霧島市、志布志市の3市で共同開催いたします。

 かごしま国体、リハーサル大会の成功に向けた市実施本部の設置や市民ボランティア、企業協賛の募集、各種イベントにおけるPR活動などのほか、全国から訪れる選手や観客の皆さまに、本市の特色を活かした心のこもった「おもてなし」を提供するための準備を進めてまいります。

 また、かごしま国体への機運を高めるとともに、健康づくりと地域間の融和を図るため、市民が一体となったスポーツ祭の継続的な開催を検討してまいります。

 2018FIFAワールドカップロシア大会や先般開催されたAFCアジアカップ2019で大いに活躍し、日本中に夢と感動を与えてくれた、本市外交官の大迫勇也選手に対し、本年度新設した南さつま市民栄誉賞の第1号を贈り、市民の皆様と共にその栄誉を称えたいと考えております。

 併せて、大迫選手の今後の活躍を期待し、リニューアルした加世田運動公園陸上競技場の施設命名権(5年間)を副賞として贈り、「OSAKO YUYA stadium」として、市内外の多くの方々に利用していただきたいと考えております。

 なお、授与式等の日程につきましては、大迫選手の帰省に併せて開催する予定としております。

(歴史・文化・伝統の継承・育成)

 歴史・文化事業につきましては、本年度の島津日新公忠良没後450年記念事業の取組を生かし、市ホームページで日新公の情報を発信するとともに、日新公パンフレット等の利活用や、関連イベント等を通して児童生徒をはじめ、多くの方々に日新公の教えを広報・周知してまいります。

 加世田麓の伝統的建造物群保存地区につきましては、2019年度中に国から保存地区の選定を受け、保存審議会の開催、修理・修景に向けた具体的な制度設計等に取り組んでまいります。

 

 第五は、「地域が輝き 人が躍動するまちづくり」であります。

(コミュニティ活動の促進)

 コミュニティの活性化による地域力の再生につきましては、市民団体等が自ら企画し、ふるさとの再興を目指す新たなチャレンジ活動に対する支援を継続してまいります。

 地域元気づくり事業につきましては、各元気づくり委員会等が策定した「第2期元気づくりプラン」に基づく市民主体のまちづくり活動を支援してまいります。

 また、地域が抱える課題解決や地域力を向上させる提案型の取組への支援を継続し、地域コミュニティの活性化を図ってまいります。

 自治会パートナー制度につきましては、自治会の課題に対応するため、情報の共有化に努めるなど、自治会との信頼関係を構築し、連携・協働による課題解決を図ってまいります。

(市民参画システムの確立)

 市政の情報提供につきましては、読みやすく、わかりやすい市報・お知らせ版をはじめ、「対話型」広報の充実に努めるとともに、様々なメディアや市外交官の知名度を生かし、本市の魅力を市内外に幅広く情報発信してまいります。

 また、市民との対話や市政等を説明する会議を開催し、行政情報を提供するとともに地域の課題を把握し、市政への反映に努めてまいります。

(男女共同参画社会の構築)

 男女共同参画につきましては、多様性に富んだ活力ある男女共同参画社会の実現を推進するため、「第2次南さつま市男女共同参画基本計画」に基づき総合的、計画的な施策の推進を図ります。

(地域間交流の促進)

 国際交流につきましては、引き続き国際交流員の活用を図り、友好都市である中国宿遷市等との交流を深めるとともに、国内交流につきましては、北海道旭川市や鳥取市、学校法人玉川学園など、各種協定等を締結している自治体や団体との連携や、地域と一体となった交流を深め、産官学民連携による取組を推進してまいります。

 

 第六は、「行財政基盤を確立し次世代に誇れるまちづくり」であります。

(行政の効率化・財政の健全化)

 行財政改革の推進につきましては、第2次行政改革大綱をはじめ、集中改革プログラム、定員適正化計画、財政健全化計画に基づき、行政の効率化や財政の健全化を図るとともに、持続可能な行財政基盤の確立に取り組んでまいります。

 また、合併特例債やふるさと納税寄附金を活用するなど限られた財源で効果的な財政運営を図ってまいります。また、市民サービスの向上と事務事業の効率化を図るため、コンビニエンスストアにおいて、各種証明書の取得や市税等の納付ができるよう準備を進めてまいります。

公共施設等の効率的、効果的な活用につきましては、公共施設等総合管理計画に基づき、その実現に向けて計画的な取組を推進してまいります。

(広域連携の充実)

 広域連携につきましては、南薩地区総合開発期成会等との連携・協調を図りながら、関係地域の一体的な振興に努めてまいります。

(仮称)南薩地区新クリーンセンターにつきましては、2024年4月の供用開始に向けて、南薩地区衛生管理組合及び構成市とともに取り組んでまいります。

(地方創生)

 地方創生の取組につきましては、コンテナ内LED育苗システムによる安定的で高品質の苗生産が一定の成果を収め、農業生産活動につながる実証が進んでおります。

 今後は、LED苗の販売、LED苗を活用した野菜などの普及やブランド化を進めるとともに、育苗システムのコスト削減や導入支援など育苗事業者への事業継承に取り組んでまいります。

 また、アウトドア資源を活用した地域活性化につきましては、コンソーシアム(共同事業体)を通して、持続可能な仕組みの構築や商品化を図るとともにガイド育成やアウトドアポイントの簡易な整備などにも取り組んでまいります。

 「南さつま市まち・ひと・しごと創生総合戦略」につきましては、2020年度を初年度とする5年間の第2期計画を策定いたします。今後は、第1期計画の検証や市民アンケートなどを踏まえ、地方創生に必要な施策を効果的に取り組める計画を策定いたします。

 

 以上、新年度の市政運営の基本的な考え方や主な施策等を申し上げましたが、平成の時を越え、凄まじいスピードで人工知能の開発や技術革新が進み、新たな価値観や生活スタイルが刻一刻と生み出される時代を迎えます。

 国の合併支援策の段階的な縮小や高い水準で推移する社会保障費など、今後、厳しくなる財政状況の中、市民福祉の向上や地域経済の活性化など様々な課題に対して、変化を恐れず加速する時代の流れを的確に捉え、「住みたい 働きたい 訪れたい 南さつま」の実現に向け、全力を尽くしてまいります。

 市議会をはじめ、市民の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

市の方針・政策