○南さつま市男女共同参画推進条例

令和3年7月7日

条例第11号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 性別等に起因する人権侵害の禁止等(第8条・第9条)

第3章 男女共同参画の推進に関する基本的施策(第10条―第19条)

第4章 南さつま市男女共同参画審議会(第20条―第25条)

第5章 雑則(第26条)

附則

我が国では、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、国際社会における取組と連動しつつ、男女共同参画社会基本法の制定等、男女平等の実現に向けた様々な取組が進められてきた。

南さつま市においても「南さつま市男女共同参画基本計画」を策定し、男女共同参画社会の実現に向けた取組を推進してきたが、依然として固定的性別役割分担や男女の地位の不平等などが根強く残っているほか、配偶者等に対する暴力が社会問題化するなど、個人が自立した人間として発達する可能性が性別等により制限されており、男女共同参画社会の実現にはなお一層の努力が求められている。

また、性のあり方は多様であることから、性自認又は性的指向を理由とする偏見や差別があってはならず、これらの問題についても取り組む必要がある。

南さつま市が将来にわたり活力あるまちづくりを進めていく上で、全ての人々の人権が尊重され、性のあり方にかかわりなく、個性と能力を十分に発揮することにより多様性に富んだ活力ある男女共同参画社会を実現することが重要である。

よってここに、男女共同参画社会の実現のための基本理念及び必要な取組を定め、市、市民、事業者等及び教育関係者が一体となって総合的かつ計画的に推進するため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、市、市民、事業者等及び教育関係者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 誰もが、社会の対等な構成員として、自らの意思によって、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野(以下「社会のあらゆる分野」という。)における活動に参画する機会が確保されることにより政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。

(2) 性別等 生物学的な性別、性自認(自己の性別についての認識をいう。)及び性的指向(自己の恋愛又は性愛の対象となる性別についての指向のことをいう。)をいう。

(3) 積極的改善措置 第1号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(4) 市民 市内に居住し、勤務し、又は在学する者をいう。

(5) 事業者等 市内に事務所又は事業所を有し、事業を営む個人又は法人その他の団体をいう。

(6) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動や性別等に関する偏見に基づく言動により相手に不快感を与え、相手の就労環境その他生活環境を害し、又は不利益を与える行為をいう。

(7) ドメスティック・バイオレンス 配偶者、交際相手その他の親密な関係にある者又はあった者から振るわれる個人の尊厳を侵すような身体的、精神的、社会的、経済的又は性的な暴力をいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画は、次に掲げる基本理念にのっとり推進されなければならない。

(1) 誰もが性別等にかかわりなく、個人としての尊厳が重んぜられること、性別等による差別的扱いを受けないこと、個人として能力を発揮する機会が確保されること、その他の人権が尊重されること。

(2) 社会のあらゆる分野における制度又は慣行が、性別等による固定的な役割分担意識によることなく自らの意思で多様な生き方を選択できるように配慮されること。

(3) 誰もが社会のあらゆる分野の対等な構成員として、方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。

(4) 家族を構成する一人ひとりが、相互の協力と社会のあらゆる分野からの支援の下で、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動を行うことができるよう配慮されること。

(5) 男女共同参画の推進は、国際社会における取組と密接な関係を有していることを考慮し、国際的協調の下に行われること。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、実施しなければならない。

2 市は、前項の施策を実施するに当たって、その内容が達成されるよう積極的に啓発しなければならない。

3 市は、男女共同参画の推進に当たっては、市民、事業者等及び教育関係者(以下「市民等」という。)と協働するよう努めるとともに、国、県及び他の地方公共団体と連携を図らなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進のための取組を積極的に行うとともに、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者等の責務)

第6条 事業者等は、事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進のため、職場環境の整備その他の取組を積極的に行うとともに、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(教育関係者の責務)

第7条 教育関係者は、男女共同参画の推進に果たす教育の重要性を認識し、家庭教育、学校教育、社会教育その他のあらゆる教育の場において、基本理念に配慮した教育及び啓発に努めなければならない。

第2章 性別等に起因する人権侵害の禁止等

(性別等に起因する人権侵害の禁止)

第8条 何人も、社会のあらゆる分野において、直接的であるか間接的であるかを問わず、いかなる場合においても次に掲げる人権侵害を行ってはならない。

(1) 性別等による差別的扱い

(2) セクシュアル・ハラスメント

(3) ドメスティック・バイオレンス

(公衆に表示する情報の表現への配慮)

第9条 何人も、公衆に表示する情報(ポスター、広告及びメディア等)において、性別等による固定的な役割分担又はドメスティック・バイオレンスを助長する表現及び人権を侵害するおそれのある過度の性的な表現を行わないよう努めなければならない。

第3章 男女共同参画の推進に関する基本的施策

(基本計画)

第10条 市は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画の推進に関する施策についての基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。

2 市は、基本計画を策定又は変更するに当たっては、第20条第1項に規定する南さつま市男女共同参画審議会の意見を聴かなければならない。

3 市は、基本計画を策定又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

(施策の策定等に当たっての配慮)

第11条 市は、男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策を策定及び実施するに当たっては、この条例に規定する基本理念等に配慮しなければならない。

2 市は、前項の施策を策定及び実施するに当たっては、市民の意見を反映させるよう努めるものとする。

(推進体制の整備)

第12条 市は、男女共同参画の推進に関する施策を実施するために、法制上又は財政上の措置を講ずるとともに、全庁横断的に検討するための組織等、必要な体制の整備を図るものとする。

(市民等の理解を深めるための措置)

第13条 市は、基本理念に関する市民等の理解を深めるため、広報啓発を行うとともに、教育及び学習機会の充実に努めるものとする。

(市民等への支援)

第14条 市は、市民等が行う男女共同参画の推進に関する活動を促進するために必要な支援を行うとともに、仕事と生活の調和を図るための情報その他活動の促進に必要な情報の提供を行うものとする。

(防災分野における男女共同参画の推進)

第15条 市は、災害復興を含む防災の分野において、男女共同参画の視点を取り入れた施策及び被災者支援を行うよう努めるものとする。

(DV防止計画)

第16条 市は、ドメスティック・バイオレンスの防止及び被害者の保護のための施策の実施に関する基本的な計画(以下「DV防止計画」という。)を策定するものとする。

2 市は、DV防止計画を策定又は変更するに当たっては、第20条第1項に規定する南さつま市男女共同参画審議会の意見を聴かなければならない。

3 市は、DV防止計画を策定又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

(調査及び研究)

第17条 市は、男女共同参画の推進に関する施策の策定に関し、必要な調査及び研究を行うよう努めるものとする。

(年次報告)

第18条 市は、毎年、基本計画に基づいた施策の実施状況に関する報告書を作成し、これを公表するものとする。

(市民等の申出)

第19条 市は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に関し、男女共同参画の推進に影響を及ぼすものとして、市民等からの申出があったときは、適切に対応するよう努めるものとする。

2 市は、第8条及び第9条に規定する男女共同参画を侵害する行為に関し、市民等からの申出があったときは、関係機関と連携して、適切に対応するよう努めるものとする。

第4章 南さつま市男女共同参画審議会

(審議会)

第20条 男女共同参画の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進に資するため、南さつま市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

2 審議会の所掌事項は、次のとおりとする。

(1) 基本計画に関し、第10条第2項に規定する事項を処理すること。

(2) DV防止計画に関し、第16条第2項に規定する事項を処理すること。

(3) 市長の諮問に応じ、男女共同参画の推進に関する基本的かつ総合的な施策又は重要事項を調査審議すること。

(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項

3 審議会は、前項各号に定めるもののほか、男女共同参画の推進に関し、必要があると認めるときは、市長に意見を述べることができる。

(組織)

第21条 審議会は、委員20人以内で組織する。

2 男女いずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満とならないよう努めるものとする。

3 委員は、次に掲げる者のうちから、市長が委嘱する。

(1) 各種団体を代表する者

(2) 市内に居住する者で公募に応じたもの

(3) 行政機関の職員

(4) 前3号に掲げる者のほか、市長が必要と認める者

(任期)

第22条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員は、再任されることができる。

(会長及び副会長)

第23条 審議会に会長及び副会長各1人を置き、委員の互選によりこれを定める。

2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。

3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(会議)

第24条 審議会の会議(以下「会議」という。)は、会長が招集する。ただし、任期の開始の日以後最初の会議は市長が招集する。

2 会議は、委員の過半数が出席しなければ、開くことができない。

3 会長は、会議の議長となり、議事を整理する。

4 会議の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

5 会長は、必要と認めるときは、委員以外の者を会議に出席させ、その意見を聴くことができる。

(庶務)

第25条 審議会の庶務は、総務企画部総合政策課において処理する。

第5章 雑則

(委任)

第26条 この条例に定めるもののほか必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、令和3年8月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現に策定されている基本計画は、第10条第1項の規定により策定された基本計画とみなす。

3 この条例の施行の際現に策定されているDV防止計画は、第16条第1項の規定により策定されたDV防止計画とみなす。

(南さつま市報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

4 南さつま市報酬及び費用弁償に関する条例(平成17年南さつま市条例第33号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(令和4年3月23日条例第7号)

この条例は、令和4年4月1日から施行する。

南さつま市男女共同参画推進条例

令和3年7月7日 条例第11号

(令和4年4月1日施行)

体系情報
第3編 執行機関/第1章 市長部局/第1節 通則・組織
沿革情報
令和3年7月7日 条例第11号
令和4年3月23日 条例第7号