○南さつま市職員等からの公益通報に関する要綱
令和4年5月31日
告示第145号
(目的)
第1条 この要綱は、公益通報保護法(平成16年法律第122号。以下「法」という。)に基づき、職員等からの法令違反行為等の通報を適切に処理するため、通報処理に関する基本的事項を定めることにより、通報者等の保護を図るとともに、公正な市政の運営に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この要綱において「法令違反行為等」とは、南さつま市及び南さつま市職員による法令(条例、規則等を含む。以下同じ。)に違反する行為又は南さつま市の法令遵守の確保及び適正な業務遂行を妨げる行為をいう(当該法令違反行為等が生じるおそれがある場合を含む。)。
2 この要綱において「職員等」とは、次に掲げる者とする。
(1) 南さつま市職員(会計年度任用職員等を含む。以下「職員」という。)
(2) 南さつま市から事務事業を受託し、又は請け負った事業者の役員及びその業務に従事している者
(3) 指定管理者(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者をいう。)の役員及びその管理する公の施設の管理業務に従事している者
(4) 前3号に規定する者で退職して1年以内のもの
3 この要綱において「内部通報先」とは、第4条に規定する通報等窓口をいう。
4 この要綱において「受付」とは、公益通報整理表(第1号様式)による書面又は電子メールで内部通報先に対してなされた通報、相談、意見又は苦情等(以下「通報等」という。)を受けることをいう。
5 この要綱において「受理」とは、内部通報先に対してなされた通報等について、調査又は是正措置を行う必要性があるものとして受け付けることをいう。
6 この要綱において「被通報者」とは、その者が法令違反行為等を行った、行っている又は行おうとしているとして通報された者をいう。
(総括通報等責任者)
第3条 職員等から内部通報先に対してなされる通報等への対応に関する業務を総括するため、総括通報等責任者を置くこととし、総務企画部長をもって充てる。
2 総括通報等責任者は、通報等への対応に関する規程類の整備、研修の実施、通報に関する調査の進捗等の管理、通報等を理由とする不利益な取扱いの防止その他通報等への適切な対応の確保に関する業務を総括するものとする。
3 総括通報等責任者は、前項に規定する業務を総務課に行わせることができるものとする。
(通報等窓口)
第4条 南さつま市の内部において南さつま市及び南さつま市職員による法令違反行為等に関してなされる職員等からの通報等を取り扱うため、総務課に内部通報先として通報等窓口を置き、総括通報等責任者がこれを総括する。
2 通報等窓口は、次に掲げる業務を取り扱うものとする。
(1) 南さつま市及び南さつま市職員による法令違反行為等に関してなされる職員等からの通報等の受付に関すること。
(2) 内部通報先の通報等への対応についての意見又は苦情の受付に関すること。
(3) 通報等した職員等(以下「通報者等」という。)との連絡調整に関すること。
(4) 南さつま市の各課及び出先機関等との連絡調整に関すること。
(秘密保持及び個人情報保護の徹底)
第5条 通報等への対応に関与した職員(通報等への対応に付随する職務等を通じて、通報等に関する秘密を知り得た者を含む。以下同じ。)は、通報等に関する秘密を漏らしてはならない。
2 通報等への対応に関与した職員は、当該対応手続において知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用してはならない。
3 通報等への対応に関与する職員は、通報等への対応に関する秘密保持及び個人情報保護の徹底を図るため、通報等への対応の各段階(通報等の受付、調査、是正措置及び通報者等への結果通知。以下同じ。)及び通報等への対応終了後において、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 情報を共有する範囲及び共有する情報の範囲を必要最小限に限定すること。
(2) 通報者等の特定につながり得る情報(通報者等の氏名、所属等の個人情報のほか、調査等が通報を端緒としたものであること、通報者等しか知り得ない情報等を含む。以下同じ。)については、被通報者及びその関係者に対して開示しないこと(通報等の対応を適切に行う上で真に必要な最小限の情報を、次号に規定する同意を取得して開示する場合を除く。)。
(3) 通報者等の特定につながり得る情報を、情報共有が許される範囲外に開示する場合には、通報者等の書面又は電子メールによる明示の同意を取得すること。
(4) 前号に規定する同意を取得する際には、開示する目的及び情報の範囲並びに当該情報を開示することによって生じ得る不利益について、通報者等に対して明確に説明すること。
4 内部通報先における通報等への対応に際する秘密保持及び個人情報の保護に関しては、前3項に定めるもののほか、個人情報の保護に関する法令その他関係法令に従うものとする。
(利益相反関係の排除)
第6条 職員等は、自ら当事者となっている案件に関する通報その他の利益相反関係を有する案件についての通報等への対応に関与してはならない。
2 通報等への対応に関与する者は、通報等への対応の各段階において、相互に当該通報に利益相反関係を有していないか確認するものとする。
3 通報等への対応に着手しようとする者は、当該案件について自らが利益相反関係を有すると思料するときは、直ちに総括通報等責任者にその旨を伝えなければならない。
(受付の範囲及び取扱い)
第7条 内部通報先は、職員等からの次の各号に掲げる事実についての通報等を受け付けるものとする。
(1) 法令に違反する行為に関する事実
(2) その他南さつま市の法令遵守等の確保及び適正な業務遂行を妨げる事実
2 内部通報先は、通報等があったときは、法の趣旨を踏まえ、誠実かつ公正に通報等に対応し、正当な理由なく通報等の受付又は通報の受理を拒んではならない。
3 内部通報先は、匿名による通報等についても、可能な限り、実名による通報等と同様の取扱いを行うよう努めるものとする。
(受付手続)
第8条 内部通報先は、通報等を受け付けたときは、通報等への対応に関する秘密保持及び個人情報の保護に留意しつつ、通報等への対応に必要な事項を通報者等に確認するものとする。ただし、通報者等の特定につながり得る情報を確認することについて、通報者等の同意が得られない場合その他確認に支障がある場合は、この限りでない。
(1) 通報等に関する秘密は保持されること。
(2) 個人情報は保護されること。
(3) 通報受付後の手続の流れに関すること。
3 前2項において、書面又は電子メール等、通報者等が通報等の到着を確認できない方法によって通報等がなされた場合には、速やかに通報者等に対して通報等を受け付けた旨を通知し説明するよう努めるものとする。
4 通報等を受け付ける際には、勤務時間外に個室や庁舎外で面談する等の措置を適切に講じ、通報等の秘密を守らなければならない。
(受理手続)
第9条 内部通報先は、通報者から通報を受け付けた後は、法の趣旨を踏まえて当該通報に関して調査又は是正措置を行う必要性について十分に検討しなければならない。
2 内部通報先は、通報を受理すると判断したときはその旨を、受理しないと判断したとき(情報提供として受け付けることを含む。)はその旨及びその理由を、通報者等に公益通報受理(不受理)通知書(第2号様式)により通知するものとする。
3 内部通報先は、当該通報を受理したときは、当該通報への対応手続の終了までに必要と見込まれる期間を設定するよう努めるものとする。
(調査の実施)
第10条 通報を受理した際は、当該通報に関する秘密を保持するとともに、個人情報を保護するため、通報者が被通報者及びその関係者に特定されないよう十分に留意しつつ、速やかに必要かつ相当と認められる方法で調査を行うものとし、公益通報調査通知書(第3号様式)により通知するものとする。
2 総括通報等責任者は、調査の方法、内容等の適正を確保するとともに、調査の適切な進捗を図るため、調査について適宜確認を行う等の方法により、通報事案を適切に管理しなければならない。
3 内部通報先は、適正な業務執行の確保及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がある場合を除き、通報者に対し、調査の進捗状況を適宜通知するとともに、調査結果を可及的速やかに取りまとめ、その結果を公益通報調査結果報告書(第4号様式)により通知するものとする。
(調査の方法)
第11条 通報事実の調査に当たっては、内部通報先は通報者等から面談、電話、書面又は電子メールを通じて聴取を行い、通報事実の内容に誤りがないか確認するよう努めるものとする。
2 通報に関して調査又は是正措置を行う必要性がないとして調査を終了する場合には、通報を受け付けたこと又は調査を実施したことについて被通報者の任命権者等に知らせないものとする。ただし、調査を実施した過程で、既に任命権者等へ聴取を行っている場合を除く。
3 調査の端緒が通報であることを他の職員に認識させないよう、通報事案の性質に応じて適切な措置をとるものとする。
(協力義務等)
第12条 内部通報先は、通報事実の調査に当たり、関係課長等の協力が必要となる場合には、関係課長等と連携して調査を行い、是正措置をとるなど、相互に緊密に連絡し協力しなければならない。
2 内部通報先から調査の協力を求められた職員等は、調査に誠実に協力をしなければならず、調査を妨害する行為をしてはならない。
2 前項の是正措置及び再発防止策の要求を受けた者は、速やかに是正措置及び再発防止策をとるものとする。
3 前項の措置をとった場合には、措置を行った者はその内容を速やかに内部通報先に報告しなければならない。
5 内部通報先は、是正措置又は再発防止策をとった後、法令違反行為等が再発していないか、是正措置又は再発防止策が十分に機能しているか確認するとともに、必要に応じ、新たな是正措置又は再発防止策をとるものとする。
(通報者等の保護)
第14条 通報者等である職員の任命権者等は、内部通報先に対し不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、通報等を行った職員に対し、通報等を行ったことを理由として、懲戒処分その他不利益な取扱いをしてはならない。
2 内部通報先は、被通報者が、通報者等の存在を知り得る場合には、被通報者が通報者等に対して第1項に規定する不利益な取扱いを行うことがないよう、被通報者に対して、注意喚起をする等の措置をとるものとする。
3 内部通報先は、通報等の対応の終了後、通報者等に対し、通報等をしたことを理由とした不利益な取扱いが行われていないかを適宜確認するものとする。
4 内部通報先は、通報者等が、第1項に規定する不利益な取扱いを受けていることが明らかになった場合には、これを是正し得る者に通知し是正を求める又は公平委員会に対する不利益処分についての審査請求(地方公務員法(昭和25年法律第261号)第49条の2)若しくは勤務条件に関する措置の要求(同法第46条)等を利用することができる旨を伝えるなど、通報者等の保護に係る必要なフォローアップを行うよう努めるものとする。
(損害賠償の制限)
第15条 市長等は、内部通報先に対し不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、通報等を行った職員等に対し、当該通報等によって損害を受けたことを理由として賠償の請求を行わない。
(意見又は苦情への対応)
第16条 内部通報先は、内部通報先に対する通報等への対応に関して通報者等から意見又は苦情の申出を受けたときは、迅速かつ適切に対応するよう努めるものとする。
(通報等の関連文書の管理)
第18条 通報等への対応に係る記録及び関係資料については、南さつま市文書管理規程(平成17年南さつま市訓令第8号)に基づき適切な方法で管理しなければならない。
(法及び本要綱の周知等)
第19条 総括通報等責任者は、南さつま市における通報等への適切な対応を推進するため、通報等への対応に関する規程を整備するほか、職員に対する広報の実施、定期的な研修、説明会の実施その他適切な方法により、法及び本要綱に基づく通報等の方法、通報等の取扱い、通報者等の保護の仕組み等について、十分に周知するものとする。
2 総括通報等責任者は、前項の業務を、内部通報先に行わせることができるものとする。
3 内部通報先は、通報等の方法、通報等の取扱い、通報者等の保護の仕組みについて職員等から問合せがあった場合には、教示するものとする。
(通報対応の評価及び改善)
第20条 南さつま市における通報対応の仕組みの運用状況についての透明性を高めるとともに、客観的な評価を行うことを可能とするため、総務課は、通報対応の仕組みの運用状況に関する情報を、各年度の終了後、速やかに公表するものとする。ただし、当該情報を公表することにより、通報に関する秘密保持及び個人情報の保護並びに適正な業務遂行の確保及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障が生じる場合においては、個々の通報事案ごとに、その全部又は一部を非公表とすることができる。
2 内部通報先は、通報対応の仕組みの運用状況について、定期的に評価及び点検を行うとともに、他の行政機関による先進的な取組事例等を参考として、通報対応の仕組みを継続的に改善するよう努めるものとする。
(他の法令等との関係)
第21条 通報等への対応手続については、他の法令に特別の定めがある場合又はこれに基づく運用がある場合を除くほか、本要綱の定めるところによる。
第22条 本要綱は、職員等が本要綱に規定する者以外の職員に対し通報等を行うことを妨げるものではない。
附則
この要綱は、令和4年6月1日から施行する。