平成29年

平成29年第3回定例会(意見書等)

ページ番号:E020374更新日:

意見書等

番号等 件名 議決年月日 議決結果
意見書案
第2号
地方財政の充実・強化を求める意見書 H29.9.20 原案可決
意見書案
第3号
「全国森林環境税」の創設に関する意見書 H29.9.20 原案可決

地方財政の充実・強化を求める意見書

【提出先】内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、経済産業大臣、内閣官房長官、経済財政政策担当大臣及び地域創生規制改革担当大臣

 地方自治体は、子育て支援策の充実と保育人材の確保、高齢化が進行する中での医療・介護などの社会保障への対応、地域交通の維持など、果たす役割が拡大する中で、人口減少対策を含む地方版総合戦略の実行やマイナンバー制度への対応、大規模災害を想定した防災・減災事業の実施など新たな政策課題に直面しています。

 一方、地方公務員をはじめとした公共サービスを担う人材が限られる中で、新たなニーズへの対応と細やかな公共サービスの提供が困難となっており、人材確保を進めるとともに、これに見合う地方財政の確立をめざす必要があります。  

 こうした状況にもかかわらず、社会保障費の圧縮や「公的サービスの産業化」など地方財政をターゲットとした歳出削減にむけた議論が加速しています。特に、「トップランナー方式」の導入は、地方財政全体の安易な縮小につながることが危惧されるとの指摘もなされています。「インセンティブ改革」と合わせて、地方交付税制度を利用した国の政策誘導であり、客観・中立であるべき地方交付税制度の根幹を揺るがしかねないものです。

 また、「骨太方針2015」以降、窓口業務のアウトソーシングなどの民間委託を2020年度(平成32年度)までに倍増させるという目標が掲げられていますが、地域による人口規模・事業規模の差異、公共サービスに対する住民ニーズ、各自治体における検討経過や民間産業の展開度合いの違いを無視するものであり、「数値目標設定による民間委託の推進」には賛同できません。  

 本来、必要な公共サービスを提供するため、財源面を担保するのが地方財政計画の役割です。しかし、財政再建目標を達成するためだけに歳出削減が行われ、結果として不可欠なサービスが削減されれば、国民生活と地域経済に疲弊をもたらすことは明らかです。  

 このため、2018年度の政府予算、地方財政の検討にあたっては、国民生活を犠牲にする財政とするのではなく、歳入・歳出を的確に見積り、人的サービスとしての社会保障予算の充実と地方財政の確立をめざすことが必要です。このため、政府に以下の事項の実現を求めます。

記                   

1 社会保障、災害対策、環境対策、地域交通対策、人口減対策など、増大する地方自治体の財政  需要を的確に把握し、これに見合う地方一般財源総額の確保をはかること。

2 子ども・子育て支援新制度、地域医療の確保、地域包括ケアシステムの構築、生活困窮者自立支援、介護保険制度や国民健康保険制度の見直しなど、急増する社会保障ニーズへの対応と人材を確保するための社会保障予算の確保と地方財政措置を的確に行うこと。

3 地方交付税における「トップランナー方式」の導入は、地域によって人口規模・事業規模の差異、各自治体における検討経過や民間産業の展開度合いの違いを無視して経費を算定するものであり、廃止・縮小を含めた検討を行うこと。

4 災害時においても住民の命と財産を守る防災・減災事業は、これまで以上に重要であり、自治体庁舎をはじめとした公共施設の耐震化や緊急防災・減災事業の拡充と十分な期間の確保を行うこと。また、2015年度の国勢調査を踏まえた人口急減・急増自治体の行財政運営に支障が生じることがないよう、地方交付税算定のあり方を引き続き検討すること。

5 地域間の財源偏在性の是正のため、偏在性の小さい所得税・消費税を対象に国税から地方税への税源移譲を行うなど、抜本的な解決策の協議を進めること。

 同時に、各種税制の廃止、減税を検討する際には、自治体財政に与える影響を十分検証した上で、代替財源の確保をはじめ、財政運営に支障が生じることがないよう対応をはかること。

6 地方財政計画に計上されている「歳出特別枠」「まち・ひと・しごと創生事業費」等については、自治体の財政運営に不可欠な財源となっていることから、現行水準を確保すること。また、これらの財源措置について、臨時・一時的な財源から恒久的財源へと転換をはかるため、社会保障、環境対策、地域交通対策など、経常的に必要な経費に振り替えること。

7 地方交付税の財源保障機能・財政調整機能の強化をはかり、市町村合併の算定特例の終了を踏まえた新たな財政需要の把握、小規模自治体に配慮した段階補正の強化などの対策を講じること。

 同時に地方交付税原資の確保については、臨時財政対策債に過度に依存しないものとし、対象国税4税(所得税・法人税・酒税・消費税)に対する法定率の引き上げを行うこと。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出します。

   平成29年9月20日                            鹿児島県南さつま市議会

「全国森林環境税」の創設に関する意見書   

【提出先】衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、農林水産大臣、環境大臣及び産業経済大臣

 我が国の地球温暖化対策については、2020年度及び2020年以降の温室効果ガス削減目標が国際的に約束されているが、その達成のためには、とりわけ森林吸収源対策の推進が不可欠となっています。

 しかしながら、森林が多く所在する山村地域の市町村においては、人口の自然減や都市部への流出により、森林の管理者がおらず、管理が不十分な状況にある森林が増加しており、林業においても木材価格の低迷や従事者の高齢化・後継者不足により厳しい環境にあります。

 市町村が森林吸収源対策をはじめ、森林の多面的機能の保持、災害に強い森林の育成、林業振興を主体的に取り組むための恒久的・安定的な財源が大幅に不足しています。

 このような中、政府・与党は、「平成29年度税制改正大綱」において、「市町村が主体となって実施する森林整備等に必要な財源等に充てるため、個人住民税均等割の枠組みの活用を含め、都市・地方を通じて国民に等しく負担を求めることを基本とする森林環境税(仮称)の創設に向けて、地方公共団体の意見も踏まえながら、具体的な仕組み等について総合的に検討し、平成30年度税制改正において結論を得る。」との方針を示したところです。

 もとより、山村地域の市町村による森林吸収源対策の推進や安定した雇用の場の確保などの取組は、地球温暖化防止のみならず、国土の保全や地方創生等にもつながるものであり、そのための市町村の財源の強化は喫緊の課題です。

 よって、下記の制度創設について実現を強く求めるものです。

1 平成29年度税制改革大綱において、「市町村が主体となって実施する森林整備等に必要な財源に充てるため、個人住民税均等割の枠組みの活用を含め、都市・地方を通じて国民に等しく負担を求めることを基本とする森林環境税(仮称)の創設」に関し、「平成30年度税制改正において結論を得る。」と明記されたことから、森林・林業・山村対策の抜本的強化をはかるための「全国森林環境税」の早期導入を強く求める。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出します。

   平成29年9月20日                            鹿児島県南さつま市議会