令和7年度 施政方針

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 令和7年第2回市議会定例会の開会に当たり、市政運営について所信を申し上げますとともに、本日提案いたしました議案についてご説明申し上げます。

1 はじめに

 石破総理は、施政方針演説で、今年は、戦後80年、そして昭和の元号で100年に当たる節目の年であるとし、「わが国の直面する現実を直視しなければならない」と危機感を訴えた上で、「人中心」の新しい日本社会構築の必要性を説いております。

 また、楽しい日本を実現するための政策の核心は、『地方創生2.0』であり、これを令和の日本列島改造として強力に進めると述べております。

 令和の日本列島改造としては、「若者や女性にも選ばれる地方」「産官学の地方移転と創生」「地方イノベーション創生構想」「新時代のインフラ整備」「広域リージョン連携」の5本の柱を打ち出しております。

 本市においても令和7年度は、南さつま市が誕生して20周年という記念すべき節目の年でありますが、私たちを取り巻く環境は、合併時の予測をはるかに超える急激な変化の厳しい社会状況下にあります。

 そのような中、人口減少の局面を迎え、物価高騰対策や頻発する自然災害への対応など、多くの課題を抱えておりますが、これまでの20年の歩みを振り返り、更なる飛躍に向けた新たな出発点として、将来を見据え、市民が暮らしやすさを実感できる持続可能なまちづくりに取り組んでまいります。

2 市政運営の基本的な考え方

 内閣府が公表した令和7年1月の月例報告によりますと、現状については、「景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。」としており、先行きについては、雇用・所得環境が改善の下での各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されております。

 政府は、このような動きをチャンスと捉え、「賃金と物価の好循環」と「成長と分配の好循環」を拡大・定着させ、日本経済を成長型の新たな経済ステージへ移行させていくとしております。

 一方、県内経済につきましては、足元では物価上昇の影響がみられるなど、回復の勢いが鈍化しつつあります。

 こうした中、塩田知事は、県勢発展の基盤を確固たるものとするため、基幹産業である農林水産業、観光関連産業など鹿児島の「稼ぐ力」の向上や人材の確保、子育て支援、高齢者対策など、「かごしま未来創造ビジョン」に掲げた施策に積極的に取り組むこととしております。

 本市においても、このような時代の潮流を捉え、課題に向き合うべく、令和7年度においても、市民憲章を基本理念とした「第3次南さつま市総合振興計画」を基本姿勢とし、本年度末が発行期限となる合併特例債を最大限有効活用するため、行政庁舎等の公共施設整備をはじめ、次世代インフラの整備や住み慣れた地域での生活支援など、若い世代、女性や高齢者に選ばれる持続可能な市政運営を目指してまいります。     

 その実現へ向け、5つの柱となる大綱と、主な施策や新たな取組等について、ご説明申し上げます。

3 主要施策の概要

第一は、「安心で元気あふれるまちづくり」であります。

(健康づくりの推進)

 健康づくりの推進につきましては、「市健康増進計画」「市自殺対策計画」に基づき、市民一人ひとりの健康状態の改善と無理なく健康になれる環境づくりを関係機関と連携し、健康寿命の延伸や誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指してまいります。

 また、健康づくり推進員等による健康的な生活習慣の普及啓発を行い、様々な団体等との連携により、総合的かつ効果的な健康づくりを推進してまいります。

 各種予防接種や結核検診などの感染症予防対策につきましては、南薩医師会、関係機関と連携し、適切に取り組んでまいります。

 国民健康保険事業につきましては、被保険者数の減少や少子高齢化の進行、医療技術の高度化等に伴う一人当たり医療費の増大など、今後も厳しい財政運営が見込まれることから、県との連携による安定的な財政運営と効率的な事業を展開してまいります。

(医療体制の充実)

 地域医療につきましては、南薩医師会や県、鹿児島大学と連携を図り、誰もが適切な医療を受けられ、安心して生活できるよう、救急医療体制や医師確保対策など関連する施策の充実に努めるとともに、近隣市と連携し産み育てる環境の充実が図られるよう支援してまいります。

 坊津病院につきましては、病院機能の充実及び在宅医療の拡大を図るとともに、医師・医療従事者の確保と市民にとって安心で適切な医療サービスの提供に努めてまいります。

(子育て支援の推進)

 子育て支援の推進につきましては、子育て世代包括支援センター「みなみらい」を中心に相談・訪問・健診及び各種教室等を実施し、妊娠・出産から子育て期まで、切れ目のない支援を行うとともに関係機関と連携を図り、児童虐待防止対策に努めてまいります。

 子育てに関する負担の軽減につきましては、すくすく赤ちゃんおむつ等支給事業や幼児教育・保育の無償化の対象とならない世帯の利用者負担の軽減、高校生まで医療費窓口負担無料化のすこやか子ども医療費助成など、本市独自の負担軽減策により、子どもの健康と健やかな育成に努めるとともに、婚姻した世帯へ賃貸住宅の家賃や引越費用の補助により経済的な支援を行い、少子化対策の強化を図ってまいります。

 ひとり親家庭支援につきましては、医療費助成及びその申請負担の軽減並びに各種手当の支給など、自立に向けた支援に努めてまいります。

(高齢者・障がい者福祉の充実)

 地域福祉の推進につきましては、複雑化・複合化する支援ニーズに対し、高齢者・障がい者・子ども・生活困窮者など、属性・世代を問わない、重層的支援体制の整備を進めてまいります。

 また、社会福祉協議会やシルバー人材センター、シニアクラブ等の活動を支援するとともに、シニア健康増進「よか日だな」事業を実施し、高齢者の健康の保持増進に努め、生きがいづくりを促進してまいります。

 加えて、地域社会の一員として、障がい福祉サービス、基幹相談支援センターの充実や社会参加の促進を進めるとともに、生活困窮者の相談・支援体制の充実を図り地域共生社会の実現に努めてまいります。

 介護保険につきましては、「第9期介護保険事業計画」に基づいて、介護予防、重度化防止、適切な介護サービスの提供及び保険運営の健全化に努めてまいります。

 また、高齢者が住み慣れた地域で福祉・介護・医療を受けながら、いつまでも安心して生活を営むことができるよう地域包括ケアシステムの深化・推進に努めてまいります。

第二は、「産業おこしで躍動するまちづくり」であります。

(農業の振興)

 担い手農家等の育成・確保対策につきましては、国の新規就農者育成総合対策や、市単独の研修制度をはじめとする各種支援等により、新規就農者・後継者の育成・確保に努めてまいります。

 農産物の生産振興につきましては、かごしまブランド品目の産地維持・拡大を図るため、価格安定基金の造成や種苗購入・生産資材費への支援を実施するとともに、産地間競争や気候変動に耐え得る農業生産及び農業経営者への支援を推進してまいります。

 水田農業対策につきましては、金峰コシヒカリなどの主食用米の品質向上に努めるとともに、食料自給率・自給力の向上に資する麦・大豆・飼料作物、戦略作物の作付け拡大、高収益作物等への転換など、農家所得の維持・向上が図られるようJA等の関係団体・機関と連携しながら支援してまいります。

 畜産振興につきましては、飼料価格の高止まりや物価高騰に伴う牛肉需要の低迷で枝肉相場や子牛価格が下落しており、畜産農家の経営が圧迫されていることから国・県補助事業や有利な制度資金等を活用しながら、畜産農家の規模拡大や収益力の向上を進めてまいります。

 また、市内のと畜場や食肉加工工場等と連携し、安全・安心な食肉供給体制の整備や6次産業化による高付加価値化に努め、精肉や畜産加工品等の国内販売や海外輸出を強化することで、畜産振興と雇用の確保に取り組んでまいります。

 イノシシの捕獲頭数や被害報告が増加傾向にある鳥獣被害対策につきましては、農業者の電気柵やワイヤーメッシュ柵、防鳥ネット等の設置助成による侵入防止対策、新規狩猟免許取得者や市猟友会への支援による捕獲対策を強化する中で、ジビエ肉の利用拡大も推進しながら、有害鳥獣による農作物や生活環境への被害軽減に取り組んでまいります。

 経営力・生産力の強化及び技術の向上につきましては、目指すべき将来の農地利用を明確化する「地域計画」の達成に向け、地域農業の担い手・中心経営体への集積・集約化を促進し、農作業がしやすく、生産コストの低減に向けた環境整備に努めてまいります。

 資源循環・環境保全型農業、有機農業の推進につきましては、みどりの食料システム法に基づき、有機農業・自然農法の普及啓発や生産者への支援を推進し、取組面積拡大を図るとともに、県立加世田常潤高等学校等と連携しながら新規就農者の確保に努めてまいります。

 農業農村整備につきましては農業者の高齢化や減少等、農業を取り巻く情勢の変化を踏まえ、今後、食料を安定的に供給、労働生産性を向上させるため、農業機械の自動運転や遠隔操作による省力化等の先進技術を導入し、スマート農業の実装化に向けた基盤整備を推進するとともに、土地改良区の組織体制強化や事業運営の効率化を図りながら、女性農業者も参画しやすい環境整備を進めてまいります。

 また、農業・農村の有する多面的機能を維持・発揮するため、地域の共同活動や保全活動の支援も継続してまいります。

(林業振興)

 林業振興につきましては、森林の持つ公益的機能を高めるため、徐間伐や山地災害防止対策の推進を図るとともに、森林環境譲与税を活用して、森林所有者への山林に関する意向調査や集積計画作成等を行い適切な状況把握に努めてまいります。

 また、松くい虫防止対策や林業施設の整備点検を行い、安全・安心な地域づくりに取り組んでまいります。

(水産業の振興) 

 水産業の振興につきましては、海洋に適した種苗の放流及びイカシバの投入や人工産卵床の整備を継続して行うとともに、本市沿岸で深刻な問題となっている磯焼け対策として、産学官連携で発足した市の藻場再生協議会の活動を支援しながら漁業資源の保持増大に努めてまいります。

 また、これまでの取組により成果が出ている旨魚(うまいよ)プロジェクト事業では、深海魚をはじめとする未利用・低利用魚の利用・販売拡大と流通促進に努めながら、漁業者による6次産業化の推進と漁業資源を活用したブルー・ツーリズム事業に引き続き取り組んでまいります。

 国が推進している海業(うみぎょう)につきましては、タカエビモニュメントの設置や漁港公園などの地域資源の価値や魅力を活用し、新たな漁業集落の活性化に向けて、漁業関係者や地域の声を聴きながら着実に進めてまいります。

 漁港整備につきましては、国・県と連携して各漁協が取り組む施設整備を支援し、漁業者の安全と操業意欲の向上に努めてまいります。

(商工業の振興)

 特産品の販路拡大に向けた取組につきましては、旭川食べマルシェや本市の食材を活用したシェラトン鹿児島との新たなイベント等を通じたPR活動、県内外の百貨店と連携した商品販売戦略、輸出相談会への出展により、国内外への販路拡大を図ってまいります。

 事業継続支援につきましては、物価・資材高騰などの影響を的確に把握し、広く市民生活を支えるために地域内流通を活発にして、事業者支援につなげられるよう努めてまいります。

 地場焼酎の普及につきましては、「日本の伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録されたことを契機に、南さつま市地場焼酎普及推進協議会と連携し、SNS発信やイベント企画などにより、更なる地元焼酎の販売・消費拡大に努めてまいります。

 企業立地支援につきましては、用地取得、施設整備、新規雇用に係る補助支援を継続し、今後も企業誘致活動に取り組み、地元雇用及び地域経済の活性化に努めてまいります。

 商店街の活性化につきましては、空き店舗の利活用及び周辺地域の移動販売事業者に対して助成を行うとともに、道の駅や物産館等の活用を促進するなど、各地域における商業ゾーンの活性化を図ってまいります。

 地場産業の振興につきましては、市観光協会や「チーム南さつま」ふるさと納税振興協議会と連携し、法令を遵守したふるさと納税返礼品の有効活用により、本市特産品等の魅力を全国にPRするとともに、新たな顧客の確保を図りながら販路拡大を支援してまいります。

 商工団体の育成・強化につきましては、事業主の高齢化や後継者の不在等により、会員確保に苦慮している現状等を踏まえ、各団体による独自事業の支援を行ってまいります。

(観光交流の推進)               

 38回目を迎える吹上浜砂の祭典につきましては、市制施行20周年を記念する事業の一つとして、海外砂像彫刻家を招聘し、令和7年5月3日から5日までの3日間、市役所市民交流広場を中心に、本町通り周辺及び加世田麓地区周辺の「まちなか」を会場とし、砂像文化の継承と魅力あるイベントとして地域経済の発展と地域の活性化に努めてまいります。

 サイクルツーリズムの推進につきましては、「市自転車活用推進計画」に基づく施策を進め、5月17日及び18日には、自転車を活用したまちづくり推進として417自治体が加入する、第7回全国シクロサミットと連携し、2025ツール・ド・南さつまの合同開催やサポートライダーを活用したウェルネスサイクルツーリズムの推進などサイクルシティ南さつまの魅力を発信してまいります。

 スポーツ観光の推進につきましては、スポーツ合宿奨励金制度の周知・広報に努め、スポーツ観光推進協議会において、各団体間の調整・連携を行いながら、積極的な合宿誘致に取り組んでまいります。

 万世特攻平和祈念館につきましては、戦後80年を迎えるに当たり、この地より飛び立ち、散華された201名の方々を紹介する特別企画展を開催するとともに、独自のホームページを新設し「平和の尊さ・大切さ」を伝えてまいります。

 インバウンドの推進につきましては、鹿児島空港発着の直行便が就航する香港や台湾、韓国などアジアを中心とした国々やクルーズ船からの誘客に取り組むとともに、本市ならではの体験メニューを開発・周知し、誘客強化に努めてまいります。

第三は、「自然環境と調和した災害に強いまちづくり」であります。

(交通網の整備)

 交通網の整備につきましては、国道や県道の整備をはじめ、薩摩半島横断道路の整備実現に向けた機運の醸成及び市道の改良や維持修繕並びに橋梁の長寿命化対策を推進し、万之瀬川下流で架替中である上ノ山橋の早期完成に向け県と連携して取り組んでまいります。

 また、道路・河川愛護作業協力自治会等と連携を図り、伐採機械購入助成対象機種等の拡充と適切な維持管理に努め、愛護作業が今後も持続可能な取組となるよう負担軽減支援を行ってまいります。

 公共交通につきましては、深刻な運転手不足に伴い、空港連絡バスの廃止や他路線の減便等が発表されておりますが、市や地域団体などが運営主体になる自家用有償旅客運送制度(自治体ライドシェア)や自動運転バス実証など、引き続き持続可能な公共交通体系を検討してまいります。

(住環境の整備)

 住環境の整備につきましては、住宅取得やリフォームへの支援、空き家バンク制度の充実等に取り組み、住宅の機能向上、生活排水処理の推進、地域経済の活性化、空き家対策等を進めてまいります。

 市営住宅につきましては、老朽化した住宅の適切な維持・修繕を行い、建物の長寿命化や機能性向上を図ってまいります。

 また、加世田益山地区の旧中道団地につきましては、「市公営住宅等長寿命化計画」に基づき、設計及び建替え事業を進めてまいります。

(上水道等の整備)              

 水道事業につきましては、「新水道ビジョン」に基づき、水源の確保、水質の保全、災害時における水の確保を進めていくことで、安全かつ安定した水の供給を維持できる体制づくりに努めてまいります。

(下水道等の整備)               

 加世田市街地の汚水対策である公共下水道につきましては、加世田浄化センターにおいて2系列目の電気機械設備を整備するとともに、供用開始区域の拡大に向けて、汚水管路の整備を計画的に進め、下水道事業会計の経営の安定を図るため、公共下水道への接続加入を促進してまいります。

 また、指定区域外の区域につきましては、合併浄化槽設置の推進による生活排水の適正な処理に努めてまいります。

(地域社会のデジタル・トランスフォーメーション)

 行政手続につきましては、市公式LINE等の活用やキャッシュレス決済の導入により、オンラインで完結できる環境を整えるなど、市民サービスの向上を進めてまいります。

 また、デジタル機器の操作が不得意な方を対象とした教室等を活用し、市民の誰もがデジタル化の恩恵が受けられるよう取り組んでまいります。

(環境保全型社会の構築)           

 環境保全対策につきましては、令和6年9月から本格稼働した「なんさつECOの杜」によるエネルギー再資源化の推進や、排出されるごみの分別化・資源化によるごみの減量に取り組みながら、引き続き地球温暖化や脱炭素社会の実現を目指してまいります。

(防災・減災対策の充実)

 防災対策の強化につきましては、河川改修事業や砂防事業、急傾斜地崩壊対策事業などによる防災・減災対策を促進し、「市強靭化地域計画」に基づき市民生活の安全を図るとともに、自然災害に強いまちづくりに努めてまいります。

 防災体制につきましては、防災センターを拠点とした「市地域防災計画」による総合的な体制を確立しつつ、半島地域特有の課題である救助や避難・支援等のあり方について、大規模災害などに備えて備蓄品を計画的に整備・配置するとともに、新たな補助制度を導入するなど避難者がより確実に避難行動が行えるよう周知・啓発に努めてまいります。

 また、災害時避難行動要支援者避難支援制度(個別避難計画)の周知や登録を促進し、災害の発生に備えてまいります。

 地域防災力の強化につきましては、消防団や自主防災組織などと連携を図り、日常協力体制の確認など地域コミュニティにおける共助による防災活動の強化に向け、地区防災計画の策定や各種防災研修、地区防災訓練の実施を推進してまいります。

(消防・救急対策の充実)             

 常備消防につきましては、南薩3市消防指令センター全面更新をはじめ、消防施設、車両・資機材の整備により消防力の充実を図るとともに、迅速・的確な消防・救急活動に努めてまいります。

 消防団につきましては、各分団組織再編や詰所・車庫等の拠点施設整備を進めるとともに、「消防団の装備基準」に基づき、各種資機材の配備を行い、火災や自然災害に対する消防力の強化を図ってまいります。

 救急体制の充実につきましては、救急隊が傷病者のマイナンバー保険証を活用して、必要な情報を正確かつ早期に入手し、救急活動の迅速化・円滑化を図るシステム構築に向けた実証事業に取り組んでまいります。

(交通安全・防犯対策の充実)

 交通安全・防犯対策につきましては、交通安全対策会議や交通安全市民運動推進協議会、南さつま警察署やその他関係機関と連携し、交通安全意識の向上を図り、交通事故防止に向けた取組を進めるとともに、新たな補助制度の導入や防犯カメラ等の活用、通学路用防犯街路灯の維持管理、防犯街路灯設置補助を継続しながら安全・安心なまちづくりを推進してまいります。

 空き家等対策につきましては、「市空き家等対策計画」に基づき、適正な管理やリフォームなどの利活用を図るとともに、危険廃屋等の解体経費についても補助を継続してまいります。

(消費者の自立支援対策の充実)         

 消費者行政につきましては、消費生活センターの相談員による相談体制の充実・強化や地域における消費者教育、広報誌等による啓発活動などに取り組み、市民の財産を守るとともに、日々の生活における安心の確保に努めてまいります。

第四は、「未来を創る人と文化を育むまちづくり」であります。

(地域とともにある学校教育の充実)       

 学校教育の充実につきましては、教育DX(デジタル・トランスフォーメーション)を進め、教職員の学習指導方法改善とともに児童生徒に求められている資質・能力の育成を図ってまいります。

 不登校傾向にある児童生徒等につきましては、学校での居場所づくりや仲間づくりを進めるとともに、児童生徒自らが学びの場を選択できる環境づくりの推進に努めてまいります。

(教育環境の整備充実)             

 学校施設につきましては、児童生徒が安全・安心に教育が受けられる環境整備を図るため、教室不足の解消をはじめ、老朽化の状況に応じた効率的・効果的な対策を講じてまいります。

 また、市内3中学校の在り方検討委員会からの答申を踏まえ、中学校の教育環境整備充実の具現化に向けた取組を推進してまいります。

 学校給食につきましては、安全・安心な学校給食の提供に努めるとともに、子どもたちが心身ともに健康で、たくましく成長するよう食育の推進、給食費の無償化を継続し、保護者の子育て支援を図ってまいります。

(生涯学習の推進)               

 生涯学習の推進につきましては、市民の学習ニーズに対応した各種講座などの充実とともに、その拠点である各地区公民館等が、市民の集いやすい施設であるよう、老朽化した施設を整備・改修し、社会教育活動の推進に努めてまいります。

(生涯スポーツの推進)             

 加世田運動公園をはじめとする社会体育施設につきましては、スコアボードの改修など、引き続き野球場の整備を行い、一層の誘致活動に取り組むとともに、市民の健康づくりの拠点施設として、利便性向上や適切な管理運営に努めてまいります。

 また、市制施行20周年記念事業としてプロバレーボールチームの「フラーゴラッド鹿児島」と連携し、バレーボール公式戦等を通じて、誰もがより身近にプロスポーツを楽しむとともに、スポーツ協会等を中心に競技団体と連携して、各種競技力の向上や普及・啓発を図ってまいります。

 さらに、優秀選手の育成・援助を図るため、県代表として九州大会や全国大会に出場する個人、団体にスポーツ奨励金を交付してまいります。

(歴史・文化・伝統継承・育成)         

 加世田麓地区につきましては、伝統的建造物群の保存や活用促進のための施設改修及び日本遺産としての効果的な魅力発信に取り組んでまいります。

 また、栫ノ原遺跡につきましては、整備基本計画に基づく具体的な基本設計及び実施設計の作成に向けて文化庁等と協議を進めるとともに、文化事業の充実に努め、情報発信、施設の有効活用を促進してまいります。

第五は、「多様性が尊重され誰もが共生できるまちづくり」であります。

(市民参画によるまちづくり活動の促進) 

 地域元気づくり事業につきましては、市民主体の持続可能なまちづくり活動を支援するとともに、地域が抱える課題解決や住みやすく豊かな地域づくりを進めるための支援を継続し、市民の主体的・自発的な活動により、地域独自の活動が盛んになる取組を進めてまいります。

 コミュニティ活動の充実・活性化の推進につきましては、自治会活動助成金の交付など支援を継続するとともに、自治会の再編につきましても支援を行ってまいります。

 また、NPO法人や地域づくり団体等への補助事業など支援を継続し、市民と行政が一体となって真に豊かで活力あるまちづくりを進めてまいります。

 国際交流につきましては、台湾高雄市旗津区と友好都市盟約を締結し、地域の文化・観光・教育交流や産業促進など新たな交流を進めてまいります。

 国内交流につきましては、旭川市との姉妹都市提携10周年記念事業として郷土芸能を含む訪問団の派遣をはじめ、包括連携する学校法人玉川学園など、協定締結自治体や団体と連携した交流を進めてまいります。

(移住・定住の推進)              

 移住・定住の推進につきましては、移住定住補助金制度をはじめ、手厚い子育て支援や農業者等の就労支援など、移住希望者が必要とする情報を広く発信するとともに、地域おこし協力隊員の配置による移住・定住施策の充実や関係人口の創出、起業に向けた支援を行い、地域に元気と笑顔があふれる施策を進めてまいります。

(男女共同参画社会の実現)

 男女共同参画につきましては、「第3次市男女共同参画基本計画」に基づき、総合的、計画的な施策の推進を図り、男女共同参画審議会や女性未来ネットワーク会議など各団体の活動や連携により、政策や方針の決定過程への女性参画拡大を進め、性別にとらわれず、あらゆる分野において市民一人ひとりが尊重され、その個性と能力を発揮し活躍できる、多様で柔軟な誰一人取り残すことのない社会の実現を目指してまいります。

(広報・情報発信の充実)

 市政等の広報につきましては、市報、お知らせ版、ホームページ、市公式LINEを活用した情報発信の充実に努めてまいります。

(持続可能な行財政運営) 

 持続可能な行財政運営につきましては、時代に即した行政需要に的確に対応し、行財政運営の適正化・効率化を図るため、「第3次行政改革大綱」をはじめ、職員定員適正化計画、財政健全化計画に基づき、ICTを積極的に活用した市民サービスの向上や業務の見直しを図り、限られたマンパワーを活かした業務の効率化を目指すとともに、健全な財政運営に向けて、ふるさと納税制度等の活用による自主財源の確保や将来を見据えた公債費の調整、限られた財源を効率的で効果的な事業への活用に努め、今後も持続可能なまちづくりに取り組んでまいります。 

 また、市の債権管理を適切に行うため、統一した処理基準を定めた市債権管理条例の施行に当たり、市民負担の公平性の確保と持続可能な行財政運営に資するための組織体制強化に取り組んでまいります。

 公共施設等の活用・管理につきましては、「市公共施設等総合管理計画」に基づき、公有財産の複合化などによる統廃合や資産保有の適正化による財政負担の軽減・平準化に向けた計画的な取組を推進してまいります。

 地域住民の最も身近な行政拠点施設である庁舎等整備につきましては、令和6年度より事業を進めております大浦支所庁舎の改修工事、地区公民館機能移転のための大浦ふれあいセンター改修工事、大浦地区公民館解体工事などを行い、有効利用や相互利用による施設の集約化を図り、大浦地域の公共施設の持続可能な運用に努めてまいります。

 老朽化等が進む市民会館につきましては、先行して大ホール部分を解体した後、新たな施設となる(仮称)教育行政棟の整備に着手し、令和8年秋頃の開所を目指してまいります。

4 結びに

 以上、新年度の市政運営の基本的な考え方や主な施策など申し上げましたが、このほかにも市総合振興計画に掲げる施策に基づく各種事業を実施し、将来像の実現に向けて着実に進めてまいります。

 また、今月4日に開催されました令和6年度第3回鹿児島県市長会定例会において、引き続き会長に選任いただきましたが、大任を仰せつかり、責任の重さを痛感しております。

 塩田知事や県下各市、町村会と連絡協調を深め、地方創生の取組など、「直面する課題」に向けて職責を果たしてまいりたいと思います。

 さて、本市は、平成1711月7日に合併してから、20年を迎えようとしておりますが、今後も、先人の築いてきた歴史と伝統を受け継ぎながら、新たな時代に向かって、万全を期してまいりたいと思います。

 なお、現在、アイデア募集を実施している南薩地域振興局跡地活用につきましては、今後、意見等の集約を行い、市の中心市街地の活性化に向け、にぎわいあふれるまちづくりを進めるとともに、隣接する自治体等と協力しながら、薩摩半島の拠点都市を目指し、将来に向けて持続可能な「住みたい 働きたい 訪れたい 誰もが主役になれる 南さつま」実現に向けて、全力を尽くしてまいります。

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