令和6年度 施政方針

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 令和6年第1回市議会定例会の開会に当たり、市政運営について所信を申し上げますとともに、本日提案いたしました議案についてご説明申し上げます。

1 はじめに

 元日に発生した令和6年能登半島地震及びその支援活動に向かっていた海上保安庁機の事故により、お亡くなりになられた方々に対し哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様にお見舞い申し上げます。

 現在も被災地では、復旧・復興に向けた懸命な取組が続いており、今回のように大きな災害はいつどこで起こるか分かりません。

 市民の「命と暮らし」を守り、安心して暮らせるまちづくりが大事であることを改めて実感しており、日頃からの備えの重要性を再認識したところであります。

 また、先日、本市の養鶏場で発生いたしました高病原性鳥インフルエンザ感染につきましては、県や関係者・関係機関の迅速な防疫措置に対し、感謝と敬意を表しますとともに、今後も関係機関等と連携を図りながら、感染拡大防止及び早期終息に全力で取り組んでまいります。

 さて、昨年、新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行し、コロナ禍前の日常が戻ってまいりましたが、地域経済の発展には、地方を元気にし、経済の好循環を生み出していくことが何よりも大事であるとの考えから、環境の変化を的確に捉えて、引き続き、物価高騰対策等の取組を進めてまいります。

 また、コロナ禍の経験を踏まえ、リモートビジネスをはじめとする多様な働き方の普及、及び「都市から地方へ」の企業や人の流れといった、社会の変化をさらに推し進め、新年度事業の諸施策とあわせて持続可能なまちづくりに取り組んでまいります。

2 市政運営の基本的な考え方

 政府は、デフレからの完全脱却に向け、あらゆる手段を尽くして「物価高を上回る所得」を年内に実現しなければならないとの決意を示し、経済の再生が「最大の使命」であり、とりわけ賃上げが喫緊の課題として求められていると指摘しております。

 具体的には、医療や福祉をはじめ、公共サービス分野での「公的賃上げ」に取り組むほか、労務費の価格転嫁などが着実に行われる環境整備を図っていく方針を示しました。

 あわせて、日本社会の最大の戦略課題は、「人口減少問題」とし、前例のない規模で子ども・子育て政策の強化を図ることとしております。

 本市においても、少子高齢化の進展や物価の高騰などにより市民生活や地域経済に様々な影響が及ぶ中、コロナ禍からの経済の回復、気候変動やデジタル化への対応など、持続可能で多様性のある社会の実現を目指してまいります。

 市政運営につきましては、市民憲章を基本理念とした「第3次南さつま市総合振興計画」を基本姿勢とし、なんさつECOの杜、行政庁舎等の公共施設整備をはじめ、市民生活に不可欠なインフラ整備、高齢者の健康増進、次代を担う子どもやグローバル人材の育成など「持続可能な行政サービス」に向けた各種施策の具現化を図ってまいります。

 そのために5つの柱となる大綱と、主な施策や新たな取組等について、ご説明申し上げます。

3 主要施策の概要

第一は、「安心で元気あふれるまちづくり」であります。

(健康づくりの推進)                   

 健康づくりの推進につきましては、「市健康増進計画」「市自殺対策計画」に基づき、市民一人ひとりが生活習慣病の早期発見・早期治療・重症化予防、生活機能の維持・向上に取り組み、健康寿命の延伸や誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指してまいります。 

 また、市民が主体的に健康づくりに取り組める環境づくりとして、健康ポイント事業のデジタル化を進め、健康づくり推進員や様々な団体等との連携により、総合的かつ効果的な市民の健康づくりを推進してまいります。

 予防接種や結核検診などの感染症予防対策につきましては、県や南薩医師会など関係機関と連携し、適切に取り組んでまいります。

 国民健康保険事業につきましては、高齢化の進行や医療技術の高度化に伴う医療費の増大、団塊の世代の後期高齢者医療制度への移行による被保険者数の減少など、今後も厳しい財政運営が見込まれることから、県との連携による安定的な財政運営と効率的な事業を展開してまいります。

(医療体制の充実)

 地域医療につきましては、誰もが必要な時に適切な医療を受けられ、安心して生活できるよう、救急医療体制や医師確保対策など関連する施策の充実に努めるとともに県立薩南病院の産婦人科、小児科をはじめ近隣市と連携し産み育てる環境の充実が図られるよう支援してまいります。

 坊津病院につきましては、人口減少及び少子高齢化並びに医師・医療従事者不足など、より厳しい経営状況が続くものと予測されますが、市民の健康保持に必要な医療と介護サービスの提供、さらに在宅医療の普及強化に努めてまいります。

(子育て支援の推進)               

 子育て支援の推進につきましては、子育て世代包括支援センター「みなみらい」を中心に相談・訪問・健診及び各種教室等を行い、妊娠・出産・子育て期と切れ目のない支援を実施し、あわせて関係機関と連携を図り、児童虐待防止対策に努めてまいります。

 見守る社会づくりにつきましては、放課後に児童が安心して過ごせる体制や子どもの居場所の充実を図り、児童の健全育成に努めます。

 子育ての経済的負担軽減につきましては、幼児教育・保育の無償化の対象とならない世帯の利用者負担額の軽減や高校生まで医療費無償化のすこやか子ども医療費助成など、本市独自の負担軽減策により、子どもの健康と健やかな育成に努めるとともに、婚姻した世帯へ賃貸住宅の家賃や引越費用の補助により経済的な支援を行い、少子化対策の強化を図ります。

 ひとり親家庭等支援につきましては、医療費助成及びその申請負担の軽減並びに各種手当の支給など、自立に向けた支援に努めます。

(高齢者・障がい者福祉の充実)             

 地域福祉の推進につきましては、複雑化・複合化する支援ニーズに対し、高齢者・障がい者・生活困窮者など、属性・世代を問わない、重層的支援体制の整備を進めてまいります。

 また、社会福祉協議会やシルバー人材センター、シニアクラブ等の活動を支援するとともに、高齢者健康増進「よか日だな」事業を実施し、健康寿命の延伸や高齢者の福祉サービスの利用者視点に立った制度の充実を図り、生きがいづくりや社会参加の促進に努め、誰もが地域社会の一員として、安心して生き生きとした暮らしができるよう、総合的な福祉サービスの充実を推進してまいります。

 また、社会参加の促進と障がいに対する理解の向上を図るとともに、生活困窮者の相談・支援体制の充実を図るため、「基幹相談支援センター」を設置してまいります。

 介護保険につきましては、「第9期介護保険事業計画」に基づいて取組を推進し、介護予防、重度化防止、適切な介護サービスの提供及び保険運営の健全化に努めてまいります。

 地域包括支援センターにつきましては、令和6年4月から市の運営とし、高齢者支援の一層の充実を図るとともに、高齢者が住み慣れた地域で福祉・介護・医療を受けながら、いつまでも安心して生活を営むことができるよう「地域包括ケアシステム」の深化・推進に努めてまいります。

第二は、「産業おこしで躍動するまちづくり」であります。

(農業の振興)                  

 農業の担い手不足につきましては、国の新規就農者支援事業や市単独の研修制度をはじめとする各種就農支援事業等により、新規就農者・後継者の育成・確保に努めてまいります。

 また、認定農業者等の営農拡大支援を進めるとともに、スマート農業による先進技術の導入を支援し、省力化・高品質生産を推進します。

 生産振興につきましては、かごしまブランド産品の産地維持・拡大を図るため、価格安定基金の造成や種苗購入・生産資材費への支援を実施するとともに、産地間競争や輸入農畜産物の影響に耐え得る農業生産の推進や、農業経営者への支援を推進してまいります。

 水田営農対策につきましては、金峰コシヒカリなどの主食用米の産地維持を図るとともに、食料自給率・自給力の向上に資する麦・大豆・飼料作物などの戦略作物や高収益作物等への転換・作付けを推進するなど、農家所得の維持・向上が図られるようJA等の関係団体・機関と連携しながら支援してまいります。

 鳥獣被害対策につきましては、電気柵やワイヤーメッシュ柵、防鳥ネット等の設置助成による侵入防止対策、新規狩猟免許取得者や市猟友会への支援により捕獲対策を強化し、ジビエの利用拡大も推進しながら、有害鳥獣による農作物や生活環境への被害軽減に取り組んでまいります。

 畜産振興につきましては、飼料等の高騰や牛肉需要が低迷するなど、畜産農家の経営が圧迫されていることから、国・県補助事業や有利な制度資金等を活用しながら、規模拡大や収益力の向上を進めてまいります。

 また、ハサップ対応が完了した市内のと畜場や食肉加工工場等と連携し、安心・安全な食肉供給体制の整備や6次産業化による高付加価値化に努め、精肉や畜産加工品等の国内販売や海外輸出を強化することで、畜産振興と雇用の確保に取り組んでまいります。

 資源循環・環境保全型農業、有機農業の推進につきましては、人と環境に優しい生産体制を構築するとともに、耕畜連携により、良質堆肥の生産・供給体制の整備を図るなど、安心・安全な農畜産物の生産を支援してまいります。

 食育の推進につきましては、「第4次市食育推進計画」を基本に、オーガニック野菜・健康野菜を含む地場農林産物の消費拡大や学校給食への利用拡大に努めてまいります。

 増加傾向にある耕作放棄地につきましては、周辺農地への影響が及ばないよう農業委員等を通じて、農地パトロールや農地利用状況調査及び意向調査を行い、耕作放棄地の発生防止・解消に努めてまいります。

 農業農村整備につきましては、農地・水路等の整備、既存施設の更新・長寿命化対策や、スマート農業に取り組むとともに、土地改良区の組織体制強化や事業運営の効率化を図るため、継続的な支援を行ってまいります。

 また、農業・農村の有する多面的機能を維持・発揮するため、地域の共同活動や保全活動の支援を行うとともに、女性農業者が参画しやすい環境整備を進めてまいります。

(林業振興)

 林業振興につきましては、森林の持つ公益的機能を高めるため、除間伐や森林病害虫の森林保護に努めるとともに、森林環境譲与税を活用し、森林所有者へ山林に関する意向調査や集積計画などを行い適切な状況把握に努めてまいります。

 また、松くい虫防除対策や治山施設の整備点検等を行い、安心・安全な地域づくりに取り組んでまいります。

(水産業の振興)                  

 水産業の振興につきましては、本市沿岸で深刻な問題となっている磯焼け対策として、市内4漁協と県立鹿児島水産高校、本市の産学官連携で発足した「南さつま市藻場再生協議会」の活動を支援しながら漁業資源の保持増大に努めてまいります。

 漁協の経営基盤強化につきましては、関係機関と連携しながら、県統一漁協の合併を推進してまいります。

 また、これまでの取組により成果が出ている旨魚(うまいよ)プロジェクト事業では、深海魚をはじめとする未利用・低利用魚の利用拡大と流通促進に努めながら、新たに漁業者による6次産業化の推進と漁業資源を活用したブルーツーリズム事業に積極的に取り組むとともに、国が推進している海業(うみぎょう)につきましても、地域資源の価値や魅力を活用することで新たな漁業集落の活性化に向けて、漁業関係者や地域の声を聴きながら進めてまいります。

 漁港整備につきましては、国・県と連携して各漁協が取り組む施設整備を支援し、航海の安全と操業意欲の向上に努めてまいります。

(商工業の振興)               

 特産品の販路拡大に向けた取組につきましては、旭川食べマルシェ等のイベントを通じたPR活動や大丸福岡天神店など県内外の百貨店と連携した商品販売戦略や輸出商談会への出展等により、販路拡大を図ってまいります。

 地場焼酎の普及につきましては、地場焼酎普及推進協議会と連携し、SNS発信やイベント企画など地元焼酎の消費拡大に努めてまいります。

 企業立地支援につきましては、立地協定を締結している九州化学株式会社が本年5月、日清丸紅飼料株式会社の水産技術研究所が7月、シフトプラス株式会社が8月の操業開始を目指して準備を進めております。

 今後も、積極的な企業誘致活動に取り組み、地元雇用の創出及び地域経済の活性化に努めてまいります。

 商店街の活性化につきましては、空き店舗の利活用及び周辺地域の移動販売事業者に対して助成を行うとともに、道の駅や物産館等の活用を促進するなど、各地域における商業ゾーンの活性化を図ってまいります。

 地場産業の振興につきましては、市観光協会や「チーム南さつま」ふるさと納税振興協議会と連携し、制度を遵守したふるさと納税返礼品の有効活用により、本市特産品等の魅力を全国にPRするとともに、新たな顧客の確保を図りながら販路拡大を支援してまいります。

 商工団体の育成・強化につきましては、事業主の高齢化や後継者の不在等により、会員確保に大変苦慮している現状等を踏まえ、各団体による独自事業の支援を行ってまいります。

(観光交流の推進)                 

 37回目を迎える吹上浜砂の祭典につきましては、令和6年5月3日から5日までの3日間、市役所市民交流広場を中心に、本町通り周辺及び加世田麓地区周辺の「まちなか」を会場とし、砂像文化の継承と魅力あるイベントとして地域経済の発展と地域の活性化に努めてまいります。

 サイクルツーリズムの推進につきましては、「市自転車活用推進計画」に基づき、サイクリングターミナルりんりんを拠点に、市民はもとより多くの来訪者が自転車でまちを巡ることで、交流人口の増加や消費拡大による地域活性化につなげるとともに、生涯スポーツ振興に寄与するサイクルボランティアの育成に努めてまいります。

 スポーツ観光の推進につきましては、「合宿ガイド」を活用し、合宿奨励金制度の周知を図り、スポーツ観光推進協議会で各団体間の調整・連携を行いながら、積極的な合宿誘致に取り組んでまいります。

 万世特攻平和祈念館につきましては、企画展の開催、平和の尊さを若い世代へ伝える平和教育プログラムやガイド体制の構築、戦争体験証言や遺品・遺構の保存を図ってまいります。

 インバウンドの推進につきましては、訪日外客数が明確な回復傾向にあることから、県観光連盟との連携を強化し、本市の魅力ある観光素材をPRするとともに、官民一体となった受入体制の充実を図り、あわせて認知度の向上に向けたセールス等に努めてまいります。

 誘客の強化につきましては、観光ビジョンに基づき取り組んできた「食」と「体験」を活かした観光地づくりを柱に、歴史と自然環境を組み合わせた旅行商品について、大手旅行会社への売込みを行うことにより、観光消費の増加につなげてまいります。

第三は、「自然環境と調和した災害に強いまちづくり」であります。

(交通網の整備)          

 交通網の整備につきましては、国道や県道の整備をはじめ、薩摩半島横断道路の整備実現に向けた取組の促進及び市道の改良や維持修繕並びに橋梁の長寿命化対策を推進し、万之瀬川下流で事業費数十億円を要して架替中である上ノ山橋の早期完成に向け県と連携して取り組んでまいります。

 また、道路河川愛護作業協力自治会等と連携を図り、適切な維持管理に努め、愛護作業が持続可能な取組となるよう積極的な支援を行います。 

 公共交通につきましては、「市地域公共交通計画」に基づき、新たにスクールバスの混乗実証や自動運転バスの実証調査など、持続可能な地域内交通の見直しを行い、利用者のニーズに対応した多様な輸送資源の活用による、誰もが移動しやすい交通環境を目指してまいります。

(住環境の整備)                  

 住環境の整備につきましては、住宅取得やリフォームへの支援、空き家バンク制度の充実等に取り組み、住宅の機能向上、生活排水処理の推進、地域経済の活性化、空き家対策等を進めてまいります。

 市営住宅につきましては、老朽化した住宅の大規模改修等を行い、建物の長寿命化や機能性向上を図ってまいります。

(公園・緑地の整備・保全)             

 公園等の整備につきましては、多様な人が利用可能であるユニバーサルデザインの考え方に適合した「朝日公園」の整備を進めるとともに、出入口や園路の段差解消、高齢者等が利用しやすいトイレの設置など、バリアフリー化を推進してまいります。

(上水道等の整備)                        

 水道事業につきましては、「新水道ビジョン」に基づき、水源確保に努めるとともに、水道施設の計画的な改良・更新を進め、安定した給水、水質保全に努めてまいります。

(下水道等の整備)                 

 加世田市街地の汚水対策である公共下水道につきましては、加世田浄化センターにおいて2系列目の電気機械設備を整備するとともに、供用開始区域の拡大に向けて、汚水管路の整備を進めてまいります。

 あわせて、下水道事業会計の経営の安定を図るため、公共下水道への接続加入を促進してまいります。

 また、指定区域外の区域につきましては、合併浄化槽設置の推進による生活排水の適正な処理に努めます。

(地域社会のデジタルトランスフォーメーション)   

 行政手続につきましては、市民サービスの向上を目的とした「書かない窓口」やオンライン申請の環境構築を図るとともに、デジタルを活用した事務効率化を推進してまいります。

 また、eスポーツの体験を通じて、デジタル環境に触れる機会を創出し、地域DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進による市民の暮らしの充実につなげてまいります。

 環境保全対策につきましては、9月に供用開始される、南薩地区衛生管理組合において建設中の「なんさつECOの杜」によるエネルギー再資源化の推進や、排出されるごみの分別化、資源化によるごみの減量に取り組んでまいります。

 また、本市は「2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロ」を目指すゼロカーボンシティを表明しており、引き続き地球温暖化や脱炭素社会の実現を目指した取組を進めてまいります。

(防災・減災対策の充実)

 防災対策の強化につきましては、河川改修事業や砂防事業、急傾斜地崩壊対策事業などによる防災・減災対策を促進し、「市強靭化地域計画」に基づき市民生活の安全を図るとともに、自然災害に強いまちづくりに努めてまいります。

 防災体制につきましては、防災センターを拠点として「地域防災計画」による総合的な防災体制を確立していますが、今回の能登半島地震では、長期間孤立する集落が相次ぐなど、半島地域特有の救助や避難・支援等のあり方について、薩摩半島南端に位置する本市においても、今回の地震を教訓にし、大規模災害時の避難や備蓄品等の見直しを行ってまいります。

 地域防災力の強化につきましては、消防団との連携を図るとともに、自主防災組織の結成促進及び日常協力体制の確認など地域コミュニティにおける共助による防災活動の強化を図るため、地区防災計画の策定、地区防災訓練の実施を推進してまいります。

 また、災害時避難行動要支援者避難支援制度(個別避難計画)の周知や登録を促進し、災害の発生に備えてまいります。

(消防・救急対策の充実)              

 常備消防につきましては、令和7年度更新予定の南薩3市消防指令センター全面更新の整備に向けて、調整を進めてまいります。

 また、消防施設、車両・資機材の整備により消防力の充実を図るとともに、迅速・的確な消防・救急活動に努めてまいります。

 消防団につきましては、各分団組織再編や詰所・車庫等の拠点施設整備を進めるとともに、「消防団の装備基準」に基づき、各種資機材の配備を行い、火災や自然災害に対する消防力の強化を図ってまいります。

(交通安全・防犯対策の充実)              

 交通安全・防犯対策につきましては、交通安全対策会議や交通安全市民運動推進協議会、南さつま警察署やその他関係機関と連携し、交通安全意識の向上を図り、交通事故防止に向けた取組を進めるとともに、市公用車のドライブレコーダー・防犯カメラの活用や通学路用防犯街路灯の維持管理、防犯街路灯設置補助を継続しながら安心・安全なまちづくりを推進してまいります。

 空き家等対策につきましては、「市空き家等対策計画」に基づき、適正な管理やリフォームなどの利活用を図るとともに、危険廃屋の解体経費について補助を継続してまいります。

(消費者の自立支援対策の充実)           

 消費者行政につきましては、消費生活センターの相談員確保による体制の充実・強化、地域における消費者教育、広報誌等による啓発活動などに取り組み、市民の財産を守るとともに、日々の生活における安心の確保に努めてまいります。

第四は、「未来を創る人と文化を育むまちづくり」であります。

(地域とともにある学校教育の充実)         

 学校教育の充実につきましては、教育DX(デジタル・トランスフォーメーション)を一層推進し、教職員の校務の効率化と学習指導法改善を進めるとともに、児童生徒のタブレット等を活用した自主的な学習を進め、個別最適化に対応したAIソフトにより学力向上を図ってまいります。

 中学生の部活動の在り方につきましては、南さつま市中学校部活動地域移行検討委員会において協議を進めながらさらに拡充してまいります。

(教育環境の整備充実)               

 学校施設につきましては、児童生徒が安全・安心に教育が受けられる環境整備を図るため、老朽化の状況に応じた効率的・効果的な対策を講じてまいります。

 市内3中学校の最適な教育環境の在り方につきましては、今後の中学校在り方委員会からの答申を踏まえ、中学校の教育環境整備充実の具現化に向けた取組を推進してまいります。

 学校給食につきましては、安全・安心な学校給食の提供に努めるとともに、子どもたちが心身ともに健康で、たくましく成長するよう食育の推進を図り、あわせて給食費の無償化を継続し、保護者の負担軽減を図ってまいります。

(生涯学習の推進)                 

 生涯学習の推進につきましては、市民の学習ニーズに対応した各種講座などの充実とともに人材育成に努めます。

 また、その拠点である市民会館や各地区公民館等が、市民が集いやすい施設であるよう、施設設備の整備・改修、充実を図り、社会教育活動の推進に努めてまいります。

(生涯スポーツの推進)               

 加世田運動公園をはじめとする社会体育施設につきましては、計画に基づく年次的な整備を行い、市民の健康づくりの拠点施設として、利便性向上や適切な管理運営に努め、市民の健康増進、競技力向上を促進してまいります。

 また、誰もがより身近にスポーツを楽しむことができるようスポーツ協会等を中心に競技団体と連携して、各種スポーツ活動の普及・啓発を図るとともに国体開催を契機に、優秀選手の育成・援助を図るため、県代表として九州大会や全国大会に出場する個人、団体にスポーツ奨励金を交付してまいります。

(歴史・文化・伝統継承・育成)

 加世田麓地区につきましては、伝統的建造物群の保存や活用促進のための施設改修、日本遺産としての効果的な魅力発信に取り組んでまいります。

 また、栫ノ原遺跡につきましては、保存活用計画に基づく、整備基本計画を策定後、具体的な基本設計、実施設計の作成に向けて文化庁等と協議を進めるとともに文化事業の充実に努め、情報発信、施設の有効活用を促進してまいります。

第五は、「多様性が尊重され誰もが共生できるまちづくり」であります。

(市民参画によるまちづくり活動の促進)       

 地域元気づくり事業につきましては、市民主体の持続可能なまちづくり活動を支援するとともに、地域が抱える課題解決や住みやすく豊かな地域づくりを進めるための支援を継続し、コミュニティ活動への積極的な参画により、地域力が向上する取組を進めてまいります。

 コミュニティ活動の充実・活性化の推進につきましては、自治会活動助成金の交付など支援を継続するとともに、自治会の再編につきましても再編交付金などにより、再編自治会への支援を行ってまいります。

 国際交流につきましては、本年アメリカ合衆国で開催される「南カリフォルニア鹿児島県人会創立125周年記念式典」に合わせ、鹿児島県親善訪問団に参加するとともに、台湾から国際交流員を招致し、市制施行20周年に向けた台湾高雄市旗津区(きしんく)との新たな交流を進めてまいります。

 国内交流では、姉妹都市旭川市や包括連携する学校法人玉川学園など、協定締結自治体や団体と連携した交流を進めてまいります。

(移住・定住の推進)                 

 移住・定住の促進につきましては、移住定住補助金制度をはじめ、手厚い子育て支援や農業者等の就労支援など、移住希望者が必要とする情報を広く発信するとともに、地域おこし協力隊員の配置による移住・定住施策の充実や関係人口の創出に向けた取組を行い、地域に元気と笑顔があふれる施策を進めてまいります。

(男女共同参画社会の実現)

 男女共同参画につきましては、「第3次市男女共同参画基本計画」に基づき、総合的、計画的な施策の推進を図り、男女共同参画審議会や女性未来ネットワーク会議など各団体の活動や連携により、性別にとらわれず、あらゆる分野において市民一人ひとりが尊重され、その個性と能力を発揮し活躍できる、多様でかつ柔軟な誰一人取り残すことのない社会の実現を目指してまいります。

(広報・情報発信の充実)                  

 市政等の広報につきましては、市報、お知らせ版、ホームページに加えSNSを活用した情報発信を充実させてまいります。

(持続可能な行財政運営)          

 社会・経済環境の変化が激しい世の中に対応した、より質の高い行政運営と安定した財政運営が求められることから、「第3次行政改革大綱」をはじめ、定員適正化計画、財政健全化計画に基づき、引き続き行政のスリム化や業務の効率化、職員の育成などを図りつつ、健全な財政運営に向けて、ふるさと納税制度等の活用による自主財源の確保や将来を見据えた公債費の調整、限られた財源を効率的で効果的な事業への活用に努め、持続可能なまちづくりに取り組んでまいります。

 公共施設等の活用・管理につきましては、「市公共施設等総合管理計画」に基づき、公有財産の複合化などによる統廃合や資産保有の適正化による財政負担の軽減・平準化に向けた計画的な取組を推進してまいります。

 地域住民の最も身近な行政拠点施設である庁舎等整備につきましては、行政、福祉、防災、生涯学習施設を複合集約化した(仮称)坊津地域交流

 プラザを昨年9月に着工しましたが、本年、秋頃の開所を目指して整備を進めてまいります。

 また、旧金峰庁舎跡地の駐車場整備につきましては、金峰支所、金峰文化センター周辺を一帯的に活用できるよう、8月頃の完成を目指してまいります。

 大浦支所につきましては、空き室や旧議場等を有効活用するための改修、設計を行い、令和7年度内の完成を目指して整備してまいります。

 都市計画区域内を対象とした都市機能の維持につきましては、今後の人口減少、少子高齢化といった人口動態の変化に対応するため、居住や都市機能を誘導し、人口密度を保ちながら持続可能なまとまりのあるまちづくりに向け、「立地適正化計画」をはじめとする計画策定を進めてまいります。

 令和7年度に迎える市制施行20周年につきましては、この節目の年を、本市にゆかりのある多くの方々と喜びを祝うとともに、まちの魅力を市民参加型で再発見・再認識し、地元への愛着を育む機会として令和7年9月23日に記念式典を開催したいと考えております。

 また、本年は、記念式典の周知やプレ大会としてNHKのど自慢の開催に向けたお願いをしておりましたが、この度、本年12月1日に本市での開催が決定したところであります。

4 結びに

 以上、新年度の市政運営の基本的な考え方や主な施策などを申し上げましたが、今後も令和9年度末に移転予定の南薩地域振興局の跡地活用を見据え、新たなにぎわいの場として多様な人々が集う「南薩地域のランドマーク」となる広域交流拠点施設等の整備を念頭に、市街地が空洞化することのないようまちづくりを進めてまいります。

 また、私が会長を務めます県市長会としましても、災害対応は基礎自治体だけでは限りがあることから、防災の相互協力の再確認や県下19市はもとより、県町村会とも連絡協調を図り、防災力を結集して取り組んでまいりたいと思います。

 なお、隣接する自治体等と協力しながら、広域行政の推進に努め、薩摩半島の拠点都市を目指し、将来へ向けて持続可能な「住みたい 働きたい訪れたい 誰もが主役になれる 南さつま」実現のため、限られた財源と各種制度を有効に活用しながら、スピード感をもって全力で様々な取組を推進してまいります。

市の方針・政策