令和5年3月議会 諸般の経過及び当面する市政の諸課題について

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令和53月議会において、次のとおり報告いたしました。

令和5年第1回市議会定例会の開会に当たり、市政運営について所信を申し上げますとともに、本日提案いたしました議案についてご説明申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症は、昨年12月から本年1月にかけ、全国的に第8波の感染拡大をしておりましたが、徐々に減少傾向となっております。

県においては、1月5日に新規感染者が過去最高となる5209人確認されており、全国的な傾向と同様に減少傾向となっております。

現在、国においては、感染症法上の分類の見直しと、ワクチンの追加接種間隔や費用、医療費負担等についても検討中でありますが、感染防止対策の基本であるマスクの着用について、場面に応じた新たな指針が示されたところであります。

今後も国・県から示されるガイドライン等に基づき市民への情報提供を適切に行ってまいります。

 また、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に伴う世界的な資源価格の高騰に加え、円安の加速化による食料品やガソリン価格、電気料金などの値上げが進むなど、市民生活に大きな影響を及ぼしております。

 今後も市民の健康と命を最優先とし、ポストコロナを見据え、感染拡大防止と社会経済活動の正常化に向け、新年度事業の諸施策とあわせて、スピード感をもって取り組んでまいります。

政府は、「新型コロナウイルス感染症や世界的な物価高騰への対応、エネルギーの安定供給など様々な課題に直面する中、あらゆる施策を総動員し、国民生活と経済を守り抜く」こととしています。

あわせて、世界経済の減速リスクを十分視野に入れつつ、足元の物価高騰など経済情勢の変化に切れ目なく対応し、新しい資本主義を前に進めるため、「物価高・円安への対応」、「構造的な賃上げ」、「成長のための投資と改革」を柱とする総合経済対策を速やかに実行することを表明しております。

 加えて、社会課題を成長のエンジンへと転換し、持続的な成長を実現させるため、「GX(グリーントランスフォーメーション)」、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「科学技術・イノベーション」、「スタートアップ」、「資産所得倍増プラン」の5分野に重点をおいて、官民の投資を加速させるとしております。

 本市においても、新型コロナウイルス感染症を契機とした社会の様々な変革や気候変動による環境問題、自然災害の激甚化・頻発化などの状況を踏まえ、かつて経験したことのない新たな時代に柔軟かつ的確に対応した持続可能なまちづくりを進めなければなりません。

 市政運営につきましては、市民憲章を基本理念とした「第3次 南さつま市総合振興計画」を基本姿勢とし、(仮称)南薩地区新クリーンセンター、(仮称)坊津地域交流プラザ等の大規模な公共施設整備をはじめ、高齢者の健康増進や次の世代につながる子育て支援など各種施策の具現化を図ってまいります。

そのために5つの柱となる大綱と、主な施策や新たな取組等について、ご説明申し上げます。

第一は、「安心で元気あふれるまちづくり」であります。

健康づくりの推進につきましては、「市健康増進計画」に基づき、市民一人ひとりが生活習慣病の早期発見・早期治療・重症化予防に取り組むことにより健康寿命の延伸を目指します。

また、市民の主体的な健康づくりを支援するため、健康ポイント事業や健康づくり推進員による健康的な生活習慣の普及を図ります。

こころの健康づくりでは、「市自殺対策計画」に基づき、様々な団体等との連携により、総合的かつ効果的に自殺対策を推進し、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指してまいります。

また、予防接種や結核検診など感染症予防対策についても適切に取り組んでまいります。

国民健康保険事業につきましては、高齢化の進行や医療技術の高度化に伴う医療費の増大、団塊の世代の後期高齢者医療制度への移行による被保険者数の減少など、今後も厳しい財政運営が見込まれることから、引き続き県との連携による安定的な財政運営と効率的な事業を展開してまいります。

地域医療につきましては、誰もが必要な時に適切な医療を受けられ、安心して生活できるよう、地域医療に関する情報の広報周知に努めるとともに、県をはじめ関係機関と連携し、救急医療体制や医師確保対策など関連する施策の充実に努めてまいります。

また、多職種との連携を深め、在宅医療の推進を図ってまいります。

新県立薩南病院につきましては、「基本計画」に基づき、令和5年5月、開院に向けて準備が進められており、産婦人科新設や小児科が再開されるなど地域の中核的医療機関としてますます期待が高まる中、近隣市と連携し産み育てる環境の充実が図られるよう支援してまいります。

坊津病院につきましては、依然として続く人口減少及び少子高齢化並びに医師・医療従事者不足など、より厳しい経営状況が続くものと予測されますが、市民の健康保持に必要な医療と介護サービスの提供に努めてまいります。

子育て支援体制やサービスの充実につきましては、子育て世代包括支援センター「みなみらい」を中心に相談・訪問・健診及び各種教室等を実施し、関係機関との連携を図り、思春期から妊娠・出産・子育てと切れ目のない支援を行います。

あわせて、児童生徒が命の授業を通して自己肯定感を高め、自分や相手を大切にし、将来自信を持って社会生活や子育てができるよう支援します。

地域の子育て活動を支援する利用者支援事業やファミリーサポートセンター事業等の充実を図り、子育てしやすい環境整備に取り組むとともに、子ども家庭総合支援拠点と子育て世代包括支援センターの連携を図りながら、児童虐待防止に向け必要な支援に努めてまいります。

児童の健全育成につきましては、放課後に児童が安心して過ごせる体制や子どもの居場所づくりの充実に努めます。

子育ての経済的負担の軽減につきましては、幼児教育・保育の無償化の対象とならない世帯の利用者負担額に対し、本市独自の軽減対策を今後も継続してまいります。

また、不育症や不妊治療にかかる経済的負担の軽減や相談等により支援の充実を図り、安心して生み育てる環境づくりを推進します。

すこやか子ども医療費助成事業や窓口負担ゼロの子ども医療給付事業につきましては、引き続き高校生までを対象とし、子どもの健康と健やかな育成に努めてまいります。

ひとり親家庭支援につきましては、医療費助成及びその申請負担の軽減並びに各種手当の支給などを行い、自立に向けて支援します。

また、保育を必要とする子どもが病気の際、自宅での保育が困難な場合に、病院等において一時的に保育することで、安心して子育てができる環境づくりを推進してまいります。

複雑化・複合化する支援ニーズに対し、高齢者・障がい者・子ども・生活困窮者など、属性・世代を問わない、重層的支援体制の整備を進めてまいります。

 また、社会福祉協議会やシルバー人材センター等の活動を支援するとともに、令和5年度から新たに「高齢者健康増進よか日だな事業」を開始し、高齢者の福祉サービスの利用者視点に立った制度の充実、つわちゃんバスや路線バス等の利用拡充を図り、生きがいづくりや、社会参加の促進、移動支援に努めてまいります。

障がいのあるなしにかかわらず、誰もが地域社会の一員として、生き生きと安らぎのある暮らしができるよう、総合的な福祉サービスの充実を推進するとともに、社会参加の促進と障がいに対する理解の向上が図られるよう努めてまいります。

また、生活困窮者の相談・支援体制の充実に努めてまいります。

介護保険につきましては、「第8期介護保険事業計画」に基づいて取組を推進し、適切な介護サービスの提供及び保険運営の健全化に努めてまいります。

高齢者が、住み慣れた地域で福祉・介護・医療を受けながら、いつまでも安心して生活を営むことができるよう「地域包括ケアシステム」の深化・推進に努めます。

第二は、「産業おこしで躍動するまちづくり」であります。                 

農業の経営安定と地域農業の継承につきましては、今後も燃油・資材・肥料等の高騰対策やポストコロナに向けた国・県の関連施策等の情報収集・活用、農業者への情報提供に引き続き努めてまいります。

 担い手不足にある本市の農業の人材育成・確保につきましては、国の新規事業や市単独の就農支援制度等の各種研修制度を活用した就農支援やスマート農業の導入による省力化や高品質生産の推進を図ります。

また、認定農業者等の営農拡充支援を進めるとともに、農地中間管理機構を通じた農地の貸借を促し、地域の中心経営体への集積・集約化を推進してまいります。

農産物の生産振興につきましては、かごしまブランド産品の産地維持・拡大を図るため、価格安定基金の造成や種苗購入・生産資材費への支援を実施するとともに、産地間競争や輸入農畜産物の影響に耐え得る農業生産の推進や、農業経営者への支援を推進してまいります。

また、サツマイモ基腐病やミカンコミバエ等の病害虫対策に取り組むほか、長命草・オリーブなどの新規作物の普及推進、特産化に向けた支援を推進してまいります。

水田営農対策につきましては、かごしまブランド産品である金峰コシヒカリなどの主食用米の産地維持を図るとともに、国が進める輸入依存脱却へ向けた麦・大豆などの国産化に対する新たな施策等を注視しつつ、農家所得の維持・向上が図られるようJA等の関係団体・機関と連携し、2つの農業再生協議会の意向を踏まえた支援を実施してまいります。

鳥獣被害対策につきましては、農業者の電気柵や防鳥ネット等の設置助成による侵入防止対策、新規狩猟免許取得者への支援及び市猟友会と連携した捕獲対策を強化し、ジビエの利用拡大も推進する中で、有害鳥獣による農作物や生活環境への被害軽減に取り組んでまいります。

畜産振興につきましては、「全国和牛能力共進会鹿児島大会」において、「和牛日本一」に輝いた称号を活かし、国際競争力のある強い産地づくりを推進し、畜産農家の規模拡大や収益力の向上を進めてまいります。

あわせて、優良な黒毛和牛の導入や増頭支援に加えて、畜産農家の自衛防疫対策を強化し、高病原性鳥インフルエンザなどの家畜伝染病ウイルスの侵入や、まん延防止対策を図るとともに、畜産に由来する環境問題の対策にも取り組んでまいります。

資源循環・環境保全型農業、有機農業の推進につきましては、人と環境に優しい農畜産物の生産体制を構築するとともに、耕畜連携により、良質堆肥の生産・供給体制の整備を図るなど、安心・安全な農畜産物の生産を支援します。

 また、国のみどりの食料システム戦略緊急対策交付金を活用し、有機・自然農法の普及啓発、規模拡大を図るとともに、県立加世田常潤高等学校と有機農業の振興及び技術提携に関する連携協定に基づき、有機農業の新規就農者の担い手育成につながる取組を進めてまいります。 

食育の推進につきましては、食農教育の推進に努めるとともに、オーガニック野菜・健康野菜を含む地場農林産物の消費拡大や学校給食等への利用拡大に努めてまいります。

増加傾向にある耕作放棄地につきましては、周辺農地への影響が及ばないよう農業委員等を通じて、農地パトロールや農地利用状況調査及び意向調査を行い、耕作放棄地の発生防止、解消に努めてまいります。

農業・農村整備につきましては、農地・水路等の整備や、既存施設の更新・長寿命化対策に取り組むとともに、土地改良区の組織体制強化や事業運営の効率化を図るため、継続的な支援を行ってまいります。

また、農業・農村の有する多面的機能を維持し、発揮するため、地域共同活動の支援や、スマート農業の導入を促進する環境整備を進めてまいります。

林業振興につきましては、森林の持つ公益的機能を高めるため、除間伐、造林や森林病害虫の防除など、森林保護に努めるとともに、森林環境譲与税を活用した公共施設等への県産材の利用促進や林道路面整備・高枝伐採、森林用空中画像解析システムを活用して松くい虫被害木調査や災害時の現況調査、森林の伐採状況調査など、迅速かつ適切な状況把握に努めてまいります。

山地災害防止機能指定箇所森林につきましては、治山施設の整備点検や荒廃した森林の復旧などのほか、防災対策の推進に取り組んでまいります。

また、森林従事者の育成支援や定着促進に努め、森林組合など林業事業体による施業集約化や森林資源の有効活用、新たな木材需要への対応など、地域産材の安定的で効率的な供給体制を支援してまいります。

水産業の振興につきましては、海洋に適した種苗の放流や増殖場となる藻場の造成を継続して努め、漁協が行うイカシバ投入等の支援や、SDGsを考慮した人工産卵床の整備を新たに進めながら漁業資源の保持増大に努めてまいります。

また、操業意欲と漁獲高の向上を図るため漁船エンジンのオーバーホールや漁船操業に必要な機材器具等の整備に対する支援を継続して行います。

漁協の経営基盤の強化につきましては、経営改善計画に係る保証料助成を継続しつつ、関係機関との連携を強化し、県統一漁協の合併に向けた取組を推進してまいります。

新たな水産資源として取り組んでいる「深海魚」につきましては、産学官で立ち上げた「かごしま深海魚研究会」と連携し、産地形成と流通拡大に努め、未利用魚・低利用魚についても、利用拡大に向けた取組を推進してまいります。

また、水産業に対する理解と関心を深めるため、市民向けや各学校及び保育園等での魚食普及教室の開催並びに学校給食での地元海産物の活用を推進してまいります。

漁業者の減少及び後継者対策につきましては、新たに漁業後継者奨励金事業を新設し、漁業への定着化と後継者の育成に努めてまいります。

漁港施設の整備につきましては、国・県との連携による整備や維持補修に努めるとともに、漁協所有の老朽化した漁港内施設の維持補修を支援し、漁業者の航海の安全と操業意欲の向上に努めてまいります。

特産品の販路拡大に向けた取組につきましては、新型コロナウイルス感染症の状況を見極めながら県内外の百貨店と連携し、旭川食べマルシェ、関西かごしまファンデーなど関係機関とともに販路拡大を活発に行ってまいります。

地場焼酎の普及につきましては、地場焼酎普及推進協議会と連携し、地元焼酎の消費拡大に努めてまいります。

また、杜氏の里焼酎づくり伝承展示館につきましては、子どもたちの郷土教育の一環としてB&G財団の「自治体ゆかりの偉人事業」により作成した「黒瀬杜氏魂」を活用し、教科書では学ぶことのできない黒瀬杜氏の技術と伝統について、後世へ保存・継承してまいります。

企業立地支援につきましては、用地取得、施設整備、新規雇用に係る補助を行っており、令和4年度は、日清丸紅飼料株式会社と立地協定を締結し、令和6年4月の操業開始を目指し準備を進めております。

なお、複数企業から打診があることも踏まえ、今後も、企業誘致活動に取り組み、地元雇用及び地域経済の活性化に努めてまいります。

 また、移動販売を行う事業者に対し、車両購入費や改造費、燃料費に対し助成を行い、買物弱者の支援に向けた取組を推進してまいります。

地場産業の振興につきましては、市観光協会や「チーム南さつま」ふるさと納税振興協議会と連携し、寄附額を伸ばしておりますふるさと納税返礼品の有効活用により、本市特産品等の魅力を全国にPRするとともに、新たな顧客の確保を図りながら販路拡大を支援してまいります。

商工団体の育成・強化につきましては、事業主の高齢化やコロナ禍の影響による閉店等により、会員確保に大変苦慮している現状等を踏まえ、各団体による独自事業の支援を行ってまいります。

36回目を迎える吹上浜砂の祭典につきましては、5月3日から5日の3日間、市役所市民交流広場を中心に、過去2年間同様、本町通り周辺及び加世田麓地区周辺の「まちなか」を会場とし、入場無料で開催します。

また、これまで培ってきた砂像制作技術を発揮するとともに、さらなる創意工夫を加えながら砂像文化の継承と魅力あるイベントとして地域経済の発展と地域の活性化に努めてまいります。

南さつま海道鑑真の道歩きにつきましては、「かごしま春の三大ウォーク」として指宿市や霧島市と連携し、持続可能なイベントの在り方の検討を行い、地域と連携しながら交流人口の拡大に努めてまいります。

グリーンツーリズムの推進につきましては、農業体験、漁業体験を中心に小規模校でも体験できる新たな体験メニューの発掘・整理を行い、旅行会社や学校への情報提供を行うとともに、民泊・宿泊施設と連携し県内外からの修学旅行の誘致・受入れに努めてまいります。

サイクルツーリズムの推進につきましては、「市自転車活用推進計画」に基づき、サイクリングターミナルりんりんを拠点に、「サイクルシティ南さつま」として築いてきた経験やネットワークを活かし、県及び九州・山口サイクルツーリズムに主体的に参画することで、相乗効果を発揮できるよう取り組んでまいります。

スポーツ観光の推進につきましては、充実した体育施設やスポーツ合宿奨励金制度の周知を図るため「スポーツ合宿ガイド」をリニューアルし、スポーツ観光推進協議会で各団体間の調整・連携を行いながら、積極的な合宿誘致に取り組んでまいります。

万世特攻平和祈念館につきましては、企画展の開催、平和の尊さを若い世代へ伝える平和教育プログラムやガイド体制の構築、戦争体験証言や遺品・遺構の保存を図ってまいります。

また、大刀洗平和記念館、知覧特攻平和会館と連携を深めるとともに、新たに東京の平和祈念展示資料館が中心となり設置される「全国関連施設ネットワーク会議」にも積極的に参加し、次世代への継承、各施設の認知度向上に努めてまいります。

観光誘客の強化につきましては、観光ビジョンに基づき取り組んできた「食」と「体験」を活かした観光地づくりを柱に、本市の食・歴史・自然環境を活かした観光体験メニューを組み合わせた旅行商品について、旅行会社による直接販売や大手旅行会社への売込みを行うことにより、本市における観光消費の拡大につなげてまいります。

第三は、「自然環境と調和した災害に強いまちづくり」であります。

交通網の整備につきましては、国道226号・270号や県道の整備をはじめ、薩摩半島横断道路の整備実現に向けた取組を促進するとともに、市道の改良や維持修繕、橋梁の長寿命化対策を推進してまいります。

また、道路河川愛護作業協力自治会等と十分な連携を図り、適切な維持管理に努めるとともに、愛護作業が持続可能な取組となるよう積極的な支援の拡充を行います。

公共交通につきましては、「市地域公共交通計画」に基づき「暮らす人、訪れる人、みんなで次世代につなぐ公共交通」を目標に、利用者のニーズに対応した持続可能な交通体系への見直しを図ってまいります。

住環境の向上のため、住宅取得やリフォームへの支援、空き家バンク制度の充実等に取り組み、住宅の機能向上、生活排水処理の推進、地域経済の活性化及び空き家対策を進めてまいります。

 市営住宅につきましては、建替えや大規模改修等による整備を行い、建物の長寿命化や美観向上を図ってまいります。

 公園の利用向上のため、ユニバーサルデザインに適合した朝日公園の施設整備や都市公園の特定公園施設のバリアフリー整備に努め、誰もが安心・快適に利用できる公園整備を目指します。

水道事業につきましては、安定した水源の確保に努めるとともに、水道施設の計画的な改良・更新を進め、安定した給水、水質保全に努めます。

また、今後の経営の安定化と安定給水の確保を図るため、現行の「水道ビジョン」に代わる、「新水道ビジョン」を策定してまいります。

加世田市街地の雨水対策につきましては、都市下水路事業により整備されたポンプ施設の稼働により、水害に強いまちづくりの推進を図ります。

また、汚水対策である公共下水道につきましては、引き続き年次的な供用開始区域の拡大に向けて、汚水管路の整備を計画的に進めるとともに、下水道事業会計の経営の安定を図るために、公共下水道への接続加入を促進してまいります。

社会のデジタル化が進み、マイナンバーカードの取得率も向上していることに伴い、行政におけるデジタル化の推進についても窓口手続をはじめ、キャッシュレス決済など市民のニーズに合ったデジタル化の環境整備が求められています。

今後、ICTの技術を活用した行政事務の環境構築を進め、行政の効率化や市民サービスの向上に努めてまいります。

環境保全対策につきましては、合併処理浄化槽設置の推進による、生活排水の適正な処理に努め、良好な生活環境の保全を図ってまいります。

また、食品ロスをはじめとするごみの排出抑制やマイクロプラスチック問題などに対応していくため、引き続き3R(スリーアール)の推進に努めます。

また、国が目標に掲げた「2050年の脱炭素社会実現」に向けて、「二酸化炭素排出実質ゼロ」を目指した取組を進めてまいります。

ヤンバルトサカヤスデ・キオビエダシャクのまん延防止・駆除対策につきましては、継続して自治会による駆除剤散布、市民の駆除剤購入に対する支援を行うとともに、県に対して抜本的な対策を講じるよう要請してまいります。

防災対策の強化につきましては、急傾斜地崩壊対策事業、砂防事業や河川改修事業などによる防災対策施設の整備を促進し、「強靭化地域計画」を基に市民生活の安全を図るとともに自然災害に強いまちづくりに努めてまいります。

 防災体制につきましては、防災センターを拠点とし「地域防災計画」による総合的な防災体制の確立を図るため、大規模災害や感染症対策などに備えて備蓄品を計画的に整備するとともに、指定避難所の安全性を点検し、避難者がより確実な避難行動が行えるよう機能強化に努めてまいります。

 地域防災力の強化につきましては、消防団との連携を図るとともに、自主防災組織の結成促進及び日常協力体制の確認など地域コミュニティにおける共助による防災活動の強化を図るため、地区防災計画の策定、地区防災訓練の実施を推進してまいります。

 また、避難行動要支援者の個別避難計画の周知や登録を促進し、災害の発生に備えてまいります。

常備消防につきましては、本年10月、金峰分遣隊開所に向けて、利便性の向上や防災力の連携・強化を図ることを目的に、支所・消防庁舎の複合施設として整備を進めてまいります。

また、情報システム、消防施設、車両・資機材の整備により消防力の充実を図るとともに、迅速・的確な消防・救急活動に努めてまいります。     

消防団につきましては、分団再編や詰所・車庫等の拠点施設整備を進めるとともに、「消防団の装備基準」に基づき、各種資機材の配備を行い、火災や自然災害に対する消防力の強化を図ってまいります。

交通安全対策につきましては、交通安全市民運動推進協議会や警察、関係機関と連携し、交通安全意識の向上を図るとともに、生活環境に対応した交通事故防止を図ってまいります。

防犯体制につきましては、安全・安心なまちづくりの推進に関する協定に基づき南さつま警察署と連携を図るとともに、市公用車のドライブレコーダーや防犯カメラの活用、通学路用防犯街路灯の維持管理、防犯街路灯設置補助を継続しながら、安全・安心なまちづくりを推進してまいります。

空き家等対策につきましては、空き家等対策計画に基づき、市内全域の空き家調査を実施し、現状把握につなげるとともに、危険廃屋の解体経費について補助を継続してまいります。

また、適正な空き家管理に向け、空き家バンクや住宅リフォーム補助金などによる空き家の利活用を図ってまいります。

 消費者行政につきましては、消費生活センターにおける相談体制の充実・強化、地域における消費者教育、広報誌等による啓発活動などに取り組み、市民の財産を守るとともに、日々の生活における安心の確保に努めてまいります。

第四は、「未来を創る人と文化を育むまちづくり」であります。

休日における中学生の部活動の在り方につきましては、国の提言により、教師の負担軽減を踏まえ、生徒のニーズに合わせて従来型に加え、派遣型と集合型を基本に学校から地域活動への移行について検討してまいります。

性的マイノリティへの配慮やジェンダ―フリー、機能性の視点から、学校・生徒・保護者・地域の理解を得ながらSDGsの視点を踏まえ、制服の在り方について検討してまいります。

学校施設につきましては、子どもたちが安全・安心に教育を受けられる施設の環境整備を図るため、老朽化の状況に応じた効率的・効果的な対策を講じてまいります。

また、学校教育活動の充実を図るため、望ましい小・中学校の規模及び適正配置の方針に基づき、地域の実情や要望等を踏まえた学校再編を計画的に進めてまいります。

学校給食につきましては、安全・安心な学校給食の提供を行うとともに、子どもたちが心身ともに健康で、たくましく成長するために食育の推進を図り、あわせて給食費の無償化を継続し、保護者の負担軽減を図ってまいります。

市内2校目の義務教育学校となる金峰学園につきましては、4年間という長きにわたり、地域、保護者、学校、教育委員会の4者にて、金峰学園開校準備委員会を設立し、幾多の協議を重ね、本年4月に開校します。

開校して、生き生きと子ども達が活動する姿を見て、地域や保護者の皆様が、「義務教育学校が設立されて良かった」と思っていただけるよう、開校後も設立理念に基づき、教育活動に取り組んでまいります。

生涯学習につきましては、市民の学習ニーズに対応した各種講座などの充実とともに人材育成に努めます。

また、その拠点である市民会館や各地区公民館等が、市民に親しまれる施設であるよう、田布施地区公民館の建設をはじめとする、改修・整備の検討を進めてまいります。

加世田運動公園をはじめとする諸施設につきましては、計画に基づく年次的な整備を行うとともに、市民の健康づくりの拠点施設として、利便性向上や適切な管理運営に努め、市民の健康増進、競技力向上を促進してまいります。

また、誰もがより身近にスポーツを楽しむことができるようスポーツ協会等を中心に競技団体と連携し、各種スポーツ活動の普及・啓発・大会及び合宿の誘致を図ってまいります。

さらに、優秀選手の育成・援助を図るため、県代表として九州大会や全国大会に出場する個人、団体にスポーツ奨励金を引き続き交付してまいります。

新型コロナウイルス感染症の影響により、3年間延期となりました「燃ゆる感動かごしま国体・かごしま大会」が、10月に開催されます。

すでに御案内のとおり、本市では、スポーツクライミング競技がかせだドーム及びその周辺の特設会場で、少年男子のサッカー競技が「OSAKO YUYA stadium」ほか2会場で行われ、国内トップレベルの技に触れる、またとない機会であります。

また、市民参加型のデモンストレーションスポーツとして、「2023ツール・ド・南さつま」を、5月21日に、スポーツクライミング競技のリハーサル大会として、「第10回 日本学生スポーツクライミング対校選手権大会」を、6月10日と11日に開催します。

これらの大会に、全国各地から、多くの選手や関係者が来市されますことから、この機会を絶好のチャンスと捉え、本市の地域資源と魅力を発信し、知名度アップ、リピーターの確保につなげるとともに、競技団体、関係機関と十分な連携を図り、学校関係者や市民ボランティアの皆様など、多くの方々の御協力をいただきながら、選手、監督をはじめ、参加される全ての方々の心に残る素晴らしい大会となるよう全力で取り組んでまいります。

また、本市ゆかりの選手をはじめ、関係者の皆様の活躍を期待したいと思います。

加世田麓地区につきましては、伝統的建造物群の保存や活用促進のための施設改修、日本遺産としての効果的な魅力発信に取り組んでまいります。

また、栫ノ原遺跡については、保存活用計画に基づく、具体的な整備基本計画を策定してまいります。

さらに、文化事業の充実に努めるとともに、文化の情報発信、文化施設の有効活用を促進してまいります。

第五は、「多様性が尊重され誰もが共生できるまちづくり」であります。

 地域元気づくり事業につきましては、市民主体のまちづくり活動を支援するとともに、地域が抱える課題解決や地域力を向上させる提案型の取組への支援を継続し、地域コミュニティの活性化に加え、地域の人口減少社会を生き抜く力を育む取組を進めてまいります。

コミュニティの活性化による地域力の再生につきましては、市民団体等が自ら企画し、ふるさとの再興を目指す新たなチャレンジ活動を支援する市民活動応援事業を継続してまいります。

コミュニティ活動の充実・活性化の推進につきましては、自治会活動助成金の交付など支援を継続するとともに、自治会の再編につきましても再編交付金などにより、支援を行ってまいります。

国際交流につきましては、中国宿遷市との交流をはじめ、本年ブラジルで開催される「ブラジル鹿児島県人会創立110周年及び日本移民115周年記念式典」に合わせ、鹿児島県ブラジル親善訪問団に参加するとともに、台湾高雄市旗津区(きしんく)との友好交流協力覚書の締結を契機に、市制20周年に向けて、砂像文化や自転車活用をきっかけとした新たな交流を進めてまいります。

国内交流では、旭川市との青少年交流をはじめ、昨年度延期された包括連携10周年を迎える学校法人玉川学園との記念事業など、協定締結自治体や団体と連携し、新しい生活様式に対応した交流を進めてまいります。

移住・定住の促進につきましては、移住定住補助金制度をはじめ、手厚い子育て支援や農業者等の就労支援など、移住希望者が必要とする情報を広く発信するとともに、地域おこし協力隊員の配置による移住・定住施策の充実や関係人口の創出に向けた取組を行い、人口減少の抑制や地域の活性化に努めてまいります。

男女共同参画につきましては、「第3次南さつま市男女共同参画基本計画」の策定を行い、総合的、計画的な施策の推進を図り、男女共同参画審議会や女性未来ネットワーク会議など各団体の活動展開や支援により、市民一人ひとりの人権が性別等に関わりなく尊重され、その個性と能力を十分に発揮できる多様性に富んだ誰一人取り残すことのない社会の実現を目指してまいります。

市政の情報提供につきましては、分かりやすくきめ細かな情報発信媒体として市報やお知らせ版などの紙面の充実に努めるとともに、ホームページやSNS、テレビデータ放送など様々なメディアを活用した情報の発信に努めてまいります。

変化が激しい社会経済状況に対応したより質の高い行政運営と安定した財政運営が求められる中、「第3次 行政改革大綱」をはじめ、定員適正化計画、財政健全化計画に基づき、行政のスリム化や業務の効率化、職員の育成などを図りながら、将来においても持続可能なまちづくりに引き続き取り組んでまいります。

また、持続可能な財政運営を継続していくため、公有財産の処分・有効活用やふるさと納税制度の活用等による安定的な自主財源の確保に取り組むとともに、限られた財源をより効率的で効果的な事業へ配分を行ってまいります。

公共施設等の活用・管理につきましては、公共施設等総合管理計画に基づき、公有財産の統廃合や適正な管理による財政負担の軽減・平準化に向けて、計画的な取組を推進してまいります。

地域住民の最も身近な行政拠点施設である庁舎等整備につきましては、金峰地域の複合施設はもとより、坊津支所庁舎につきましても、行政サービスや地域住民の利便性を高めるため、行政、福祉、防災、生涯学習施設を集約した、新たな複合交流拠点施設を現在地に整備し、令和6年度内の開所を目指してまいります。

南薩地区衛生管理組合において進められている(仮称)南薩地区新クリーンセンター施設整備事業につきましては、令和6年9月の供用開始に向けて、構成市と連携して進めてまいります。

都市計画区域内を対象とした都市機能の維持・整備促進につきましては、今後の人口減少、少子高齢化という人口動態の変化に考慮し、持続可能なまとまりのある都市機能を確保するため、「立地適正化計画」をはじめとする計画策定を進めてまいります。

和楽苑につきましては、4月1日から社会福祉法人清心福祉会による運営が開始されますが、引き続き、入所者及びそのご家族が安心してサービスを受けられるよう、地域に根ざした施設づくりに向け支援を行ってまいります。

以上、新年度の市政運営の基本的な考え方や主な施策などを申し上げましたが、今後も令和7年度に迎える市制施行20周年を見据え、様々な市民サービスの向上を図るとともに、公共施設の整備や暮らしのデジタル化など、未来への投資を進め、本市の魅力やポテンシャルを活かしたまちづくりを推進してまいります。

また、本年1月に開催されました令和4年度第3回鹿児島県市長会定例会において、会長に再任いただき、その責任の重さに身の引き締まる思いをいたしております。

県下各市の連絡協調を図り、地方自治の振興に努め、地方回帰に県市長会一丸となって努力してまいりたいと思います。

なお、隣接する自治体等と協力しながら、広域行政の推進に努め、薩摩半島の拠点都市を目指し、将来へ向けて持続可能な、「住みたい 働きたい 訪れたい 誰もが主役になれる 南さつま」の実現に向けて、全力を尽くしてまいります。

市の方針・政策