令和3年12月議会 諸般の経過及び当面する市政の諸課題について

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 令和3年12月議会において、次のとおり報告いたしました。

 この度の市長選挙におきましては、引き続き4期目となる市政の舵取り役を担わせていただくこととなりました。

 課せられた使命と責務の重大さを改めて痛感しているところであり、身の引き締まる思いであります。

 これまでの3期12年間、堅実な行財政運営に努めながら、市民の皆様の安全・安心や生活向上のため、様々な取組にスピード感をもって、南さつま市の将来の礎を築いてまいりました。

 今後も、これまで築き上げた南さつま市を基礎に、安全安心で、子育てにやさしく、誰もが主役になれる、「人と自然が調和した持続可能なまちづくり」を目指し、更なるジャンプアップを図りたいと考えております。

 市政運営につきましては、市民憲章を基本理念とした「市総合振興計画」を基本姿勢とし、これまで市民の皆様方からいただきました様々なご意見や地域の実態を把握する中で、今後、取り組むべき方針として三つの柱で市政を推進してまいります。

 まず一つ目の柱は、市民の安全が最優先という考え方から、「安全で持続可能な生活環境づくり」であります。

 喫緊に取り組むべきこととしましては、市民の命と健康を守るため、医師会と連携し、3回目のワクチン接種体制を整えるとともに、迅速な地域経済再生も含めた新型コロナ対策を進めてまいります。

 災害対策につきましては、ハード整備に併せて地域と連携したソフト対策も重要であることから、安全な避難所の確保を図るとともに、感染症や自然災害が同時発生する複合災害においても、安全の確保と集団感染予防が両立できるよう、これまで以上に災害に備えた対策を進めてまいります。

 また、発生確率が高まっている巨大地震や近年頻発する大雨洪水災害に備え、道路や橋梁、河川等のインフラ整備につきましても、国・県とも連携して一歩ずつ着実に進めてまいります。

 教育環境の充実につきましては、これからの社会変動に柔軟に対応し、たくましく生き、貢献できる力を身につけ、未来の担い手を育成するために、確かな学力を育むとともに、GIGAスクール構想の下、ICTを主体的に活用できる力を育み、デジタル時代においても必要とされる人材育成を目指してまいります。

 自然資源の保全につきましては、世界的に進行している気候変動について、国や企業が環境問題の解決に取り組んでおり、本市においても、脱炭素社会の実現に向けた取組を進めてまいります。

 二つ目の柱は、南さつま市を愛する全ての人のために、「安心して暮らせるまちづくり」であります。

 介護・福祉の充実に向けた取組につきましては、いわゆる「団塊の世代」が後期高齢者となる2025年問題が目前に迫る中、社会保障費等の増大など様々な分野へ影響を及ぼすことが予想されていることから、何が起き、どう備えるべきかをしっかり認識し、介護のあり方、在宅・施設サービス、健康寿命を延ばす取組も含めて、超高齢社会に対応したまちづくりを進めてまいります。

 また、公的福祉サービスなど制度の狭間で課題を抱えている方々に寄り添う相談体制や、子どもから高齢者、障がいのある方など全ての人々が役割を持ち、支え合いながら自分らしく活躍できる地域コミュニティを育てるとともに、公的福祉サービスと協働して助け合いながら暮らすことができる「地域共生社会」の実現に向けて取り組んでまいります。

 なお、加世田校区におけるコミュニティの充実につきましては、村原地区の人口増加を踏まえ、加世田地区公民館の分館建設に向けて検討を始めてまいります。

 公共交通につきましては、「新薩南病院建設」に伴い、周辺地域の人の流れが変わってくると認識していることから、新たな交通システム導入として、技術革新の活用も念頭に置きながら、ライフスタイルの多様化を踏まえた公共交通機関のベストミックスを各事業者等と連携して進め、利便性向上や利用促進を図ります。

 また、主要交通拠点である加世田バスセンターを中心に、官民連携による戦略的な交通形成を進めてまいります。

 三つ目の柱は、産業・雇用・生活は地域と共にとの思いから「安定した活力ある地域経済づくり」であります。

 産業の振興、経営支援につきましては、人材育成や確保、経営の安定化及び生産流通基盤の整備など多くの課題を抱えておりますが、地域資源を活かし、付加価値を生み出す6次産業化の推進や地場産業イノベーションを積極的に進めるとともに、経済の域内循環を増やすことで稼ぐ力を高め、所得向上や地域経済の活性化を目指してまいります。

 子育て支援の促進につきましては、これまで進めてきました支援事業を継続しながら、民間の力を活用した放課後児童クラブの開設や新年度に向け、子どもの居場所として新たな拠点の設置に向けた計画を進めてまいります。

 行財政基盤の確立につきましては、持続可能な自治体経営を念頭に、将来を見据えた公共施設の適正配置を着実に進めるとともに、行政手続や事務のデジタル化による行政サービスの向上と効率化を図ってまいります。

 地域住民の最も身近な行政拠点施設である庁舎整備につきましては、坊津支所庁舎周辺地を整備場所とし、行政・福祉・防災・生涯学習施設の複合化、集約化を図り、坊津地域住民が集う新たな行政サービスの交流拠点施設として、(仮称)坊津地域交流プラザの整備を行い、令和6年度の開所を目指します。

 以上、今後の政策の方向性について一端を申し述べましたが、新型コロナウイルス感染症流行以前は、「社会全体の仕組みが変わる」というレベルの大きな変化は、数年かけて徐々に移行し普及していくといったものでありました。

 しかし、この感染症の流行により、私たちはライフスタイルや働き方などの急激な変化を余儀なくされました。

 このような急激な社会情勢の変化に対応しなければならない「今だからこそ」続けなければならないことがあり、始めなければならないことがあると思っているところであります。

 これからの市政運営に当たり、「誰もが主役でしあわせあふれるまちづくり」のために、誠心誠意努力してまいりますので、改めて議員各位及び市民の皆様のご理解、ご協力を賜りますよう心からお願い申し上げ、市長4期目の所信表明といたします。

 それでは、先の定例市議会以後、これまでの諸般の経過、当面する市政の諸課題について、ご説明申し上げます。

 新型コロナワクチン接種の状況につきましては、12月15日現在、2回目接種完了者が89.1パーセントとなっていることから、希望する方のほとんどは接種を完了したものと考えられ、3回目接種につきましても国の方針に則り、今月から順次、接種を開始しているところであります。

 国内におきましては、新規感染者数の急速な減少傾向を受けて、政府は緊急事態宣言とまん延防止等重点措置を全面解除いたしましたが、専門家は、ワクチン接種の効果を認めつつも「第6波」への警戒を呼び掛けており、また、新しい変異株「オミクロン株」による感染拡大も懸念されることから、再拡大に備え引き続き、新型コロナウイルス感染症対策を進めてまいります。

 利用期間が令和4年1月31日までのコロナに負けるな!"オール南さつま"きばっど商品券 感染防止めざせ安心10倍商品券につきましては、1215日現在で、換金率は74.4パーセントとなり、金額にいたしまして2億3,554万6千円となっております。

 農畜産物の生産振興につきましては、11月以降、出水市を含む国内で続発している、高病原性鳥インフルエンザは、感染した野鳥や野生動物が侵入経路と考えられていることから、死亡野鳥が発見された場合、環境省が定めたマニュアルにより対処することとされております。

 また、本市の対策としましては、市内養鶏場17農場約45万羽に消石灰と殺鼠剤(さっそざい)、愛玩鶏飼養者981091羽の希望者に消毒薬を無料配布し、鶏舎への侵入防止対策や、異常な鶏の早期発見と通報を注意喚起する文書を送付するなど防疫対策を行っております。

 サツマイモの立枯や腐敗の被害を及ぼすサツマイモ基腐病につきましては、南薩地域サツマイモ基腐病対策プロジェクトチームの下、様々な対策を講じてまいりましたが、8月の長雨の後、葉の黄化や枯死等の症状が徐々に広がり、収穫時のサツマイモ基腐病の発症は、昨年並みか増える見込みとなっていることから、収量に大きく影響を与えております。

 今後も、健全な苗イモの利用や苗消毒、畑の残渣処理の実施による「持ち込まない」「増やさない」「残さない」の3つの対策の徹底を呼びかけるとともに、私が実際に関係企業等を視察し、確認した現状も踏まえながら、各関係機関と新たな対策の検討・検証を行い、基腐病対策に取り組んでまいります。

 10月5日、肉用牛農家の交流や技術研鑽を目的に「南さつま市肉用牛枝肉共進会」を開催し、市内5農家が育てた鹿児島黒牛16頭の出品があり、良質な高級和牛肉が出荷されました。

 また、出荷した牛まるごと1頭を「南さつま市ふるさと納税」の年末用返礼品として選定しました。

 ふるさと納税につきましては、総務大臣からこれまでに引き続き、10月1日から向こう1年間の対象となる地方団体の指定を受けたことから、新しい返礼品の開発や募集サイトの充実、市の外交官を通じた情報発信など多様な取組を進めており、1215日現在の寄附額は、27億2,628万円で、前年比105.2パーセントとなっております。

 業務の委託先である観光協会や返礼品業者による「チーム南さつま」ふるさと納税振興協議会と連携したPR等に努め、寄附額の確保による地元経済活性化を図ってまいります。

 観光交流の推進につきましては、10月9日から10日、日本航空が主催する「JALオンライントリップ南さつま市編」を通し、本市と市観光協会が連携して本市特産品と旅の魅力を全国へ発信しました。

 2日間で全国から75組の個人や家族が参加し、サイクリングターミナルりんりんや津貫のみかん畑、らっきょう農園、焼酎蔵を中継でつなぎ、生産者との交流や事前に送付した特産品などを楽しみながら、本市をオンラインで旅していただきました。

 9月11日から1010日にかけて、万世特攻平和祈念館において、世界中の海底に眠る日本の船、航空機、潜水艦などを撮影してきた水中写真家の戸村(とむら)裕(ひろ)行(ゆき)氏の写真展「群青の追憶 海底に眠る戦争遺産を追う」を開催しました。

 期間中は多くの方々にご来館いただき、現在も海底に眠る航空機等をパネルで紹介することにより、平和の尊さ・大切さを発信しました。

 10月23日には、東京都市大学等々力(とどろき)中学校の3年生203人が、オンラインの平和学習会で特攻隊の歴史について学びました。

 今回は、修学旅行の一環として依頼があり、当日はハワイの真珠湾にある戦艦ミズーリ記念館の日本語ガイドと万世特攻平和祈念館のガイドの話をオンラインでつなぎ、平和と戦争について学ぶ機会を創り上げました。

 10月24日、市観光協会の取組で、吉本興業の人気お笑い芸人EXIT(イグジット)による地方活性化ツアーがあり、金峰文化センターでのお笑いライブの他、お二人を交えて焼酎や砂像、サイクリング、ふるさと納税のPR活動などが行われました。

 今回の企画は市観光協会が申込みを行い、全国約100か所の応募の中から14か所選ばれたもので、本市を全国へPRする絶好の機会となりました。

 11月3日、地域住民、県・市の関係者が出席し、内山田陰陽石周辺の環境整備事業の完成を祝い、地域住民へお披露目する式典を開催しました。

 本事業は展望デッキや遊歩道、東屋、駐車場などを県が整備し、引き込み道路の舗装を市が整備したもので、昔から不思議なところ、由緒あるところとして地元の内山田校区で語り継がれてきた「内山田七不思議めぐり」の拠点として、今後、地域とともにPRに努めてまいります。

 金峰学園開校に向けた取組につきましては、令和5年4月の開校に向けて建設中の新校舎が完成し、11月7日に内覧会を開催しました。

 金峰地域のPTAや住民の皆様方を中心に約200名の方が来場し、新しい義務教育学校の開校を待ち望んでいました。

 スポーツの推進につきましては、南さつまコミュニティスポーツクラブ加世田陸上教室に所属する加世田小学校6年の小濱(おばま)耕(こう)雅(が)さんが、9月19日に横浜市で開催された第37回全国小学生陸上競技交流大会の男子コンバインドA(80メートル障害、走り高跳び)において全国2位に入る活躍を見せました。

 11月20日、第25回サイクルシティ南さつま小学生一輪車大会inかごしまを開催し、県内外から12チーム、122人が出場し、白熱したレースや華麗なフィギュアの演技を繰り広げました。

 消防・救急対策の取組につきましては、秋の全国火災予防運動が11月9日から15日まで行われ、期間中、消防団が地元での訓練や火災予防広報を実施しました。

 消防施設の強化につきましては、旧大笠分遣所跡地に笠沙方面隊赤生木分団車庫詰所が完成しました。

 この施設は、笠沙地域の交流拠点施設としての機能を有するほか、無人販売所の設置も計画しており、コミュニティ拠点複合施設として地域の方々に広く利用していただきたいと考えております。

 男女共同参画社会の構築につきましては、「南さつま市男女共同参画推進条例」推進策として、女性が市政に参画しやすい環境づくりを図るため、11月28日、南さつま市女性未来ネットワーク会議主催による「令和3年度南さつま市女性未来フォーラム」が議場において開催されました。

 7名の委員から、女性の視点からの様々な意見や提案を踏まえ、市政発展と男女共同参画社会の実現へ向けて取り組んでまいります。

 和楽苑民営化につきましては、移譲先優先候補法人である社会福祉法人博楽福祉會から辞退の申出を受けたため、公募時期、公募条件、公募の方法、民営化時期などの再検討を慎重に行い、令和5年4月1日の民営化を目標とし、令和4年1月より再度公募を行うこととしました。

 今後も和楽苑の民営化に向けて取組を進めてまいります。

 笠沙恵比寿の譲渡公募につきましては、2法人から応募がありましたが、譲渡先選定委員会の審査の結果、譲渡先候補法人として選定するには至らなかったことから、公募内容や公募方法の検証を行いコロナ禍による経済状況を見据え、慎重に方向性の協議を行い、令和4年1月17日から令和4年3月31日までの期間で再度公募を行うこととしました。

 以上で、諸般の経過、当面する市政の諸課題についての説明を終わります。

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