R04.02.25 令和4年度施政方針

ページ番号:E023926更新日:

 令和4年第1回市議会定例会の開会に当たり、市政運営について所信を申し上げますとともに、本日提案いたしました議案についてご説明申し上げます。

1 はじめに

 国内外で新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」による感染拡大が進む中、県内においても、年明けからこの新たな変異株に置き換わりが進んでおり、急速に感染が拡大している状況を受け、鹿児島県においても1月19日、県内全域に爆発的感染拡大警報を発令し、1月27日から、まん延防止等重点措置の対象地域に指定されているところであります。

 本市におきましても、1月9日に4か月ぶりに感染者が判明し、それ以後1月あまりで100名を超える感染者が確認されております。

 その間、2件のクラスターも発生し、感染者はなお増え続けていることから、防災行政無線や市報等を通じて、市民の皆様へ感染症予防への特別なお願いをしているところであります。

 現在、重症化及び発症等を予防するための3回目のワクチン接種を進めており、配布時には、約2割の接種率、現在は約3割となっております。

 今後も、「オミクロン株」の特性を踏まえ、国・県からの最新情報を収集し、市民への情報提供を適切に行うとともに、PCR検査助成事業の継続やワクチン接種をはじめとする感染予防対策に努めてまいります。

 また、市民の健康と命を最優先とし、感染症の拡大防止を図りながら、大きな打撃を受けている地域経済の再生にも、新年度事業の諸施策とあわせて、より一層スピード感をもって取り組んでまいります。

2 市政運営の基本的な考え方

 政府は、政策の基本的態度として、「東日本大震災からの復興・創生、激甚化・頻発化する災害への対応に取り組むとともに、決して、デフレに戻さないとの決意をもって、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期す中で、雇用の確保と事業の継続を通じて、国民の命と暮らしを守り抜き、あわせて、グリーン、デジタル、活力ある地方創生、少子化対策の4つの課題に重点的な投資を行い、力強い成長を実現する」ことを示しております。

 本市においても、コロナ禍収束後の「新しい生活スタイル」を見据え、感染症対策を図りつつ、脱炭素社会の実現やSDGsの推進「地方回帰」の動きへの対応、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進など、国・県の動向を注視しながら、新たな時代の潮流に柔軟かつ的確に対応してまいります。

 このように、私たちを取り巻く環境が急激な変化を続けている中、令和3年度を最終年度とする「第2次 南さつま市総合振興計画 健康元気南さつま新ビジョン」により、市民の皆様との協働による、特色あるまちづくりを進めてまいりました。

 来たる令和4年度は、本議会に提案いたしておりますこれからの5年間のまちづくりの指針を定めた「第3次 南さつま市総合振興計画」を基本に個々の取組を具体的な実行に移し、住む人・通う人・想いを寄せる人など、誰もが望む場所で望む形で活躍できる「住みたい 働きたい 訪れたい 誰もが主役になれる 南さつま」創造のため、全力を傾注してまいります。

 そのために5つの柱となる大綱と、主な施策や新たな取組等について、ご説明申し上げます。

3 主要施策の概要

第一は、「安心で元気あふれるまちづくり」であります。

(新型コロナウイルス感染症対策)

 新型コロナワクチン接種につきましては、国において、3回目の追加接種により重症化や発症予防効果等が高まる可能性が示唆されていることから、接種間隔をできる限り短縮する方針を示し、本市においても、国の方針に従い、南薩医師会をはじめ関係機関との連携を図り、円滑な接種に努めているところでございます。

 引き続き、国、県からの情報収集を行い、感染拡大防止に努めてまいります。

(健康づくりの推進)

 健康づくりの推進につきましては、「南さつま市健康増進計画」に基づき、市民一人ひとりが生活習慣病や心の健康づくり、感染予防といった健康対策に取り組むことができるよう支援し、疾病の早期発見・早期治療、重症化予防により健康寿命の延伸を目指します。

 健康づくり推進員が地域の身近な場所において食生活改善に関する知識の普及・実践活動や健康体操YOKAなんなん・ラジオ体操等による運動の推進を図るほか、健康ポイント事業など市民の自主的な健康づくりの取組についても、専門的な知識を有する者が相談、教育、訪問指導を行い、市民の健康の保持及び増進をサポートしてまいります。

 また、健康都市連合加入都市との連携・交流を通して、市民の健康を守り生活の質を向上させるための知識や技術の習得及びその発信に努めます。

 自殺対策につきましては、「南さつま市自殺対策計画」に基づき、様々な団体等と連携し、自殺対策を総合的かつ効果的に推進し、自殺に追い込まれることのないまちづくりに取り組んでまいります。

 国民健康保険事業につきましては、医療技術の高度化や高齢化の進行、とりわけ団塊の世代が70歳以上に移行し、70歳以上の被保険者が増えること等に伴い、医療費の増加が見込まれることから、財政健全化を図るため、令和4年1月に開催いたしました国民健康保険運営協議会において、第3期目となります国民健康保険税改定(案)を諮問し、承認の答申をいただいたところでございます。

 今後も厳しい財政運営が見込まれることから、引き続き県との連携による安定的な財政運営と効率的な事業を展開してまいります。

(医療体制の充実)

 地域医療につきましては、誰もが必要な時に適切な医療を受けられ、安心して生活できるよう、地域医療に関する情報の広報周知に努めるとともに、県をはじめ関係機関と連携し、救急医療体制や医師確保対策など関連する施策の充実に努めるとともに、多職種との連携を深め、在宅医療の推進を図ってまいります。

 県立薩南病院につきましては、新薩南病院基本計画に基づき、令和5年の開院に向け建設が進められており、地域の中核的医療機関としての役割が期待されています。

 また、県や交通事業者等と連携し、病院建設と併せて、新たな交通システムの導入や日常的な外出である買物、通院など利便性の高いまちづくりを推進してまいります。

 坊津病院につきましては、医療機能の充実及び在宅医療の拡充を図るとともに、市民が安心して適切な医療サービスが受けられるよう医師及び医療従事者の確保と在宅高齢者への医療及び介護サービスに努めてまいります。

(子育て支援の推進)

 子育て支援体制やサービスの充実につきましては、「子育て世代包括支援センターみなみらい」を中心に健診・相談・訪問・教室等を実施し関係機関との連携を図り、思春期から妊娠・出産・子育てと切れ目ない支援を行ってまいります。

 利用者支援事業やファミリー・サポート・センター事業等の充実を図り、子育てを行う家庭や地域の子育て活動を支援し、児童虐待防止や子育てのしやすい環境整備に引き続き取り組んでまいります。

 また、児童の健全育成のため、放課後に児童が安心して過ごせる体制や子どもの居場所づくりの充実に努めてまいります。

 子育てに関する負担軽減につきましては、令和元年10月から開始された幼児教育・保育の無償化の対象とならない課税世帯の0歳児から2歳児の利用者負担額に、本市独自の軽減対策を今後も継続して行い、保護者の負担軽減を図ります。

 また、不育症や不妊症にかかる経済的負担の軽減や相談等により支援の充実を図ることで、安心して生み育てる環境づくりを推進します。

 すこやか子ども医療費助成事業や窓口負担ゼロの子ども医療給付事業につきましては、引き続き高校生までを対象とし、子どもの健康と健やかな育成に努めてまいります。

 また、ひとり親家庭への医療費助成や各種手当の支給などを行い、自立に向けて支援してまいります。

(高齢者・障がい者福祉の充実)

 複雑化・複合化する支援ニーズに対し、高齢者・障がい者・子ども・生活困窮者など、属性・世代を問わない、重層的支援体制の整備に向け、「第3次地域福祉計画」の策定を行います。

 また、社会福祉協議会やシルバー人材センター等の活動を支援するとともに、伸ばせ健康寿命よか湯だな事業、「乗らんなぁ、タクシー」助成事業など、高齢者の福祉サービスについて、利用者視点に立った制度の充実を図り、生きがいづくりの支援と社会参加の促進に努めてまいります。

 障がいのある方が、地域で生き生きと安らぎのある暮らしができるよう、総合的な福祉サービスの充実を推進するとともに、社会参加の促進と障がいへの理解を深めるよう努めてまいります。

 あわせて、生活困窮者の相談・支援体制の充実に努めてまいります。

 介護保険につきましては、「第8期介護保険事業計画」に基づいて取組を推進し、達成状況の点検・評価により、必要に応じて事業の見直し等の改善を行い、適切な介護サービスの提供及び保険運営の健全化に努めてまいります。

 高齢者が、住み慣れた地域で福祉・介護・医療を受けながら、いつまでも安心して生活を営むことができるよう「地域包括ケアシステム」の深化・推進に努めます。

第二は、「産業おこしで躍動するまちづくり」であります。

(農業の振興)

 農業の経営安定と地域農業の継承につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大に起因する外食産業の低迷など市場の需要低下が継続しており、今後もポストコロナ、アフターコロナに向けた国・県の関連施策等の情報収集・活用、農業者への情報提供に努めてまいります。

 本市の農業における担い手不足につきましては、国の新規就農者育成総合対策事業や、市の新規就農者就農研修支援制度をはじめとする各種研修制度を活用した就農支援を進めるとともに、農作業の省力化や農作物の高品質生産を推進するため、スマート農業の導入を支援してまいります。

 また、人・農地プランに基づく地域ごとの話し合い活動を推進し、農地中間管理機構を通じた貸借を促し、引き続き地域の中心経営体への農地の集積・集約化を推進してまいります。

 農産物の生産振興につきましては、加世田のかぼちゃやハウスきんかんなどのかごしまブランド産品の産地維持・拡大を図るため、価格安定基金の造成や種苗購入・生産資材費への支援を実施するとともに、産地間競争や輸入農畜産物の影響に耐え得る農業生産や6次産業化の推進、農業経営の収入減を補てんする収入保険制度加入者への支援を推進してまいります。

 また、年々被害が拡大しているサツマイモ基腐病につきましては、引き続き国、県、JA等関係機関と連携し、有効な対策の実証に取り組むとともに、国県補助事業等を活用し、生産者支援を推進してまいります。

 あわせて、ミカンコミバエ等の病害虫対策に取り組むほか、長命草・オリーブなどの新規作物の普及推進、特産化に向けた支援を引き続き推進してまいります。

 水田営農対策につきましては、昨年9月に新たに「かごしまブランド認定」を受けた金峰コシヒカリなどの主食用米の産地維持を図るとともに、国の経営所得安定対策等制度を活用した高収益作物への転換を推進するなど、農家所得の維持・向上が図られるようJA等の関係団体・機関と連携しながら、農業再生協議会の意向を踏まえた支援を実施してまいります。

 鳥獣被害対策につきましては、農業者の電気柵や防鳥ネット等の設置助成による侵入防止対策、新規狩猟免許取得者への支援や市猟友会と連携した捕獲対策を強化し、ジビエの利用拡大も推進させつつ、有害鳥獣による農作物や生活環境への被害軽減に取り組んでまいります。

 畜産振興につきましては、畜産農家の規模拡大や収益力の向上を進め、国際競争力のある強い産地づくりを推進してまいります。

 10月に開催される「全国和牛能力共進会鹿児島大会」への出展や優良な黒毛和牛の導入・増頭支援に加えて、畜産農家の自衛防疫対策を強化し、高病原性鳥インフルエンザなどの家畜伝染病ウイルスの侵入や、まん延防止対策を図るとともに、畜産に由来する環境問題の対策にも、取り組んでまいります。

 また、ハサップ対応が完了した市内のと畜場や食肉加工工場等と連携し、安心・安全な食肉供給体制の整備や6次産業化による高付加価値化に努め、精肉や畜産加工品等の国内販売や海外輸出を強化することで、畜産振興と雇用の確保に取り組んでまいります。

 資源循環・環境保全型農業等の推進につきましては、農薬の適正な使用や農業用廃プラスチック類の適正な処理の推進など、人と環境に優しい農畜産物の生産体制を構築するとともに、耕畜連携により、良質堆肥の生産・供給体制の整備を図るなど、安全・安心な農畜産物の生産を支援します。

 食育の推進につきましては、食農教育の推進に努めるとともに、オーガニック野菜・健康野菜を含む地場農林産物の消費拡大や学校給食への利用拡大に努めてまいります。

 農業・農村整備につきましては、農地・水路等の整備や金峰ダムをはじめ、既存施設の更新・長寿命化対策に取り組むとともに、土地改良区の組織体制強化や事業運営の効率化を図るため、継続的な支援を行ってまいります。

 また、農業・農村の有する多面的機能の維持・発揮を図るため、地域共同活動の支援や、女性農業者が経営・地域活動に参画しやすい環境づくりを促進してまいります。

(林業の振興)

 林業振興につきましては、森林の持つ公益的機能を高めるため、除間伐、造林や森林病害虫の防除など、森林保護に努めるとともに、森林環境譲与税を活用した民有林の状況把握に取り組んでまいります。

 山地災害防止機能指定箇所森林につきましては、治山施設の整備点検や荒廃した森林の復旧などに取り組むほか、防災対策の推進に努めます。

 また、森林従事者の育成支援や定着促進に努め、森林組合など林業事業体による施業集約化や森林資源の有効活用、新たな木材需要への対応など、地域産材の安定的で効率的な供給体制を支援してまいります。

(水産業の振興)

 水産業の振興につきましては、海洋に適した種苗の放流や増殖場となる藻場の造成を継続し、漁協が行うイカシバ投入等を支援するなど、漁業資源の保持増大に努めてまいります。

 また、操業意欲と漁獲高の向上を図るため漁船エンジンのオーバーホールや漁船操業に必要な機材器具等の整備に対し支援してまいります。

 漁協の経営基盤の強化につきましては、経営改善計画に係る保証料助成を継続しつつ、関係機関との連携を強化し、県統一漁協の合併に向けた取り組みを推進してまいります。

 新たな水産資源として取り組んでいる「深海魚」につきましては、鹿児島大学水産学部及び水産卸会社と産学官で立ち上げた「かごしま深海魚研究会」と連携し、「深海魚」の流通促進を図りながら、定置網等で獲れる未利用魚・低利用魚の活用も模索してまいります。

 また、南さつま市の未来を担う子ども達へ水産業に対する理解と関心を深めてもらうため各学校や保育園等での魚食普及教室の開催や学校給食での地元海産物の活用を推進してまいります。

 さらに関係団体と連携して市民向け魚食普及事業を開催し、地産地消・地元海産物の消費拡大に努めてまいります。

 漁業者の減少に歯止めをかけ、新たな漁業者への就業や担い手育成を推進するため、新規就業者に対して就業支援金を助成し、漁業への定着化と後継者の育成に努めてまいります。

 漁港施設の整備につきましては、国・県との連携による整備や維持補修に努めてまいります。

 また、漁協所有の老朽化した共同利用施設の維持補修に対しても支援を行い、漁業者の航海の安全と操業意欲の向上に努めてまいります。

(商工業の振興)

 特産品の販路拡大に向けた取組につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響も懸念されますが、私が先頭に立ち、県内をはじめ関西かごしまファンデー、旭川食べマルシェなど関係機関とともに販路活動を活発に行ってまいります。

 杜氏の里焼酎づくり伝承展示館につきましては、令和4年度に築30年を迎え老朽化していることから、リニューアルを行い、「黒瀬杜氏の技術と伝統」の保存・継承による経済の活性化につなげてまいります。

 また、南さつま地場焼酎普及推進協議会と連携し、地元焼酎の消費拡大を図ってまいります。

 企業立地支援につきましては、用地取得、施設整備、新規雇用に係る補助を行い、平成29年度から7事業者と立地協定を締結しました。  

 今後も、企業誘致活動に取り組み、地元雇用及び地域経済の活性化に努めてまいります。

 また、移動販売を行う事業者に対し、車両購入費や改造費、燃料費に対し助成を行い、買物弱者の支援に向けた取組を推進してまいります。

 地場産業の振興につきましては、市観光協会や「チーム南さつま」ふるさと納税振興協議会と連携し、ふるさと納税返礼品の有効活用により、本市特産品等の魅力を全国にPRするとともに、新たな顧客の確保を図りながら販路拡大を支援してまいります。

 商工団体の育成・強化につきましては、事業主の高齢化やコロナ禍の影響による閉店等により、会員確保に大変苦慮している現状等を踏まえ、各団体による独自事業の支援を行ってまいります。

(観光交流の推進)

 観光交流の推進につきましては、本市特有の「食」と「体験」を柱に推進を図り、各種イベントの開催をはじめ、修学旅行やスポーツ合宿等の積極的な誘致により、交流人口や関係人口を増やし、にぎわいのあるまちを目指してまいります。

 35回目を迎える吹上浜砂の祭典につきましては、令和4年5月3日から5日の3日間、昨年同様、市役所市民交流広場を中心に、本町通り周辺及び加世田麓地区周辺の「まちなか」を会場とし、入場無料で開催いたします。

 今回の砂像テーマは、コロナ禍により県内外含め旅行を自粛しなければならない状況が続いておりますことから、テーマを「砂像でめぐる日本の旅 ~九州・沖縄編」とし、九州各地の街並みや歴史文化を砂像で表現し、会場において「旅」を感じていただければと考えております。

 あわせて、長年培ってきた砂像制作の技術を発揮するとともに、さらなる創意工夫を加えながら砂像文化の継承と魅力あるイベントとして地域経済の発展と地域の活性化に努めてまいります。

 サイクルツーリズムの推進につきましては、「南さつまサイクルツーリズムビジョン」の実現に向け、サイクリングターミナルりんりんを拠点に、市民はもとより多くの来訪者が自転車で本市を周遊することで、消費拡大や交流人口の拡大による地域活性化につながるよう努めてまいります。

 また、本市は自転車を活用したまちづくりを推進する全国市区町村長の会を通じて、広域的な交流・情報交換を続けておりますが、これまで築いてきたネットワークを活かしながら、九州・山口サイクルツーリズムの推進についても「サイクルシティ南さつま」としての経験やノウハウを活かしてまいります。

 スポーツ観光の推進につきましては、充実した体育施設やスポーツ合宿奨励金制度の周知・広報に努めながら、スポーツ観光推進協議会で各団体間の調整・連携を行い、合宿誘致に取り組んでまいります。

 あわせて、農林水産業体験や砂像制作体験、平和学習等を中心に、民泊・宿泊施設と連携した県内外からの修学旅行の誘致・受入れに努めます。

 リニューアルした万世特攻平和祈念館につきましては、企画展の開催、平和の尊さを若い世代へ伝える平和教育プログラムやガイド体制の構築、戦争体験証言や遺品・遺構の保存に努めてまいります。

 また、引き続き大刀洗平和記念館、知覧特攻平和会館と連携を深めながら、資料の保存・継承などに取り組んでまいります。

 通年的な観光コンテンツの開発につきましては、観光ビジョンに基づき取り組んできた「食」と「体験」を活かした観光地づくりを柱に、本市の食・歴史・自然環境を活かした観光体験メニューを開発し、積極的な情報発信を行うとともに、旅行会社と連携して旅行商品としての販路拡大を図り、滞在時間の延長による観光消費の増加につなげてまいります。

 閉鎖中の笠沙恵比寿につきましては、1月17日から3月31日までの期間で再公募の申請受付を実施しております。

 今後も笠沙恵比寿の譲渡に向けて取組を進めてまいります。

第三は、「自然環境と調和した災害に強いまちづくり」であります。

(交通網の整備)

 交通網の整備につきましては、国道、県道の整備を促進するとともに、市道の拡幅改良や維持修繕を計画的に進め、道路利用の安全性や快適性の向上に努めてまいります。

 また、道路愛護作業と連携し、適正な維持管理に努めてまいります。

 公共交通につきましては、地域公共交通計画に基づく効率的な運行の検討や移動しやすい交通環境の整備に取り組むとともに、多様化する交通ニーズに対応した交通体系を各事業者等と連携して進め、利便性の向上や利用促進を図ってまいります。

(住環境の整備)

 市民の住環境の向上を図るために、住宅取得やリフォームへの支援、空き家バンク制度の充実等に取り組み、住宅の機能向上、地元建築関連産業の活性化及び空き家対策を図ってまいります。

 老朽化した市営住宅につきましては、計画的な建替えや大規模改修等による整備を行い、建物の長寿命化や美観向上を図ってまいります。

(公園・緑地の整備・保全)

 公園の整備・保全につきましては、誰もが安心・快適に利用でき、ふれあいの場となる公園・緑地の整備・保全を図るため、施設の整備や既存施設の計画的な修繕・更新に努めてまいります。

(上下水道等の整備)

 水道事業につきましては、良質で安全な水を安定的に供給するため、水道施設の計画的な改良・更新を進め、水質の確保・保全に努めます。

 加世田市街地の雨水対策につきましては、都市下水路事業により整備されたポンプ施設の稼働により、水害に強いまちづくりの推進を図ってまいります。

 また、汚水対策である公共下水道につきましては、本年3月に加世田浄化センターの供用を開始し、市役所周辺の公共施設の汚水処理を開始します。

 引き続き、年次的な供用区域の拡大に向けて、汚水管路の整備を計画的に推進してまいります。

(地域社会のDX(デジタルトランスフォーメーション)

 自治体DX推進計画に基づき、デジタル化による利便性の向上に資する手続について、マイナンバーカードを活用した行政手続のオンライン化を進めます。

 また、ICTの技術を活用した行政事務のデジタル化や市民の誰もがデジタル機器を利活用し、その価値や便益を享受できる支援などデジタル社会へ対応するため、組織強化を図り、行政の効率化や市民サービスの向上に努めてまいります。

(ゼロカーボンシティの表明)

 国が目標に掲げた「2050年の脱炭素社会実現」に向けて、市におきましても「2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロ」を目指した取組を進めてまいります。

(環境保全型社会の構築)

 食品ロスをはじめとするごみの排出抑制やマイクロプラスチック問題などに対応していくため、引き続き3R(スリーアール)の推進に努めます。

 環境の保全対策につきましては、合併処理浄化槽設置の推進による水質の保全や悪臭対策などに努め、良好な生活環境の保全を図ってまいります。

 ヤンバルトサカヤスデ・キオビエダシャクのまん延防止・駆除対策につきましては、引き続き自治会による駆除剤散布、市民の駆除剤購入に対する支援を行うとともに、県に対して抜本的対策を図るよう要請してまいります。

(防災・減災対策の充実)

 防災対策の強化につきましては、主要河川の改修事業や急傾斜地崩壊対策事業、砂防事業などによる防災対策施設の整備を促進し、「南さつま市強靭化地域計画」を基に市民生活の安全を図るとともに自然災害に強いまちづくりに努めてまいります。

 防災体制につきましては、防災センターを拠点とし「地域防災計画」による総合的な防災体制の確立を図るため、大規模災害や感染症対策などに備えて備蓄品を計画的に整備するとともに、指定避難所の安全性を点検し、避難者がより確実な避難行動が行えるよう機能強化に努めてまいります。

 地域防災力の強化につきましては、消防団との連携を図るとともに、自主防災組織の結成促進及び日常協力体制の確認など地域コミュニティにおける共助による防災活動の強化を図るため、地区防災計画の策定、地区防災訓練の実施を推進してまいります。

 また、災害時避難行動要支援者避難支援制度(個別避難計画)の周知や登録を促進し、災害の発生に備えてまいります。

(消防・救急対策の充実)

 常備消防につきましては、情報システム、消防施設、車両・資機材の整備により消防力の充実を図るとともに、迅速・的確な消防・救急活動に努めてまいります。

 また、金峰地域消防拠点施設の整備に向けて、利便性の向上や防災力の連携・強化を図ることを目的に、支所・消防庁舎の複合施設として整備を進め、地域消防力の向上を図ってまいります。

 消防団につきましては、詰所・車庫等の拠点施設整備を進めるとともに、「消防団の装備基準」に基づき、各種資機材の配備を行い、火災や自然災害に対する消防力の強化を図ってまいります。

(交通安全・防犯対策の充実)

 交通安全対策につきましては、「第4次南さつま市交通安全計画」を基に、交通安全市民運動推進協議会や警察、関係機関と連携し、交通安全意識の向上を図るとともに、生活環境に対応した交通事故防止を図ってまいります。

 防犯体制につきましては、安全・安心なまちづくりの推進に関する協定に基づき南さつま警察署と連携を図るとともに、市公用車のドライブレコーダー・防犯カメラの活用や防犯街路灯などの維持管理を行い、安全・安心なまちづくりを推進してまいります。

 空き家等対策につきましては、空き家等対策計画に基づき、適正な管理やリフォームなどの利活用を図るとともに、危険廃屋の解体経費について補助を継続してまいります。

(消費者の自立支援対策の充実)

 消費者行政につきましては、消費生活センターにおける相談体制の充実・強化、地域における消費者教育、広報誌等による啓発活動などに取り組み、市民の財産の保持、安全・安心の確保に努めてまいります。

第四は、「未来を創る人と文化を育むまちづくり」であります。

(地域とともにある学校教育の充実)

 国が推進するGIGAスクール構想により学校の通信ネットワークが整備され、本格的な運用を開始しました。

 今後、コロナ禍を見据えたオンライン授業など、児童生徒1人に対し一台タブレットを活用した学校、家庭における多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化された学びをより一層推進してまいります。

 令和4年度から始まる小学校5・6年生の教科担任制を見据え、本市独自で英語講師、英語支援員を各小学校へ配置し、英語検定受検料を補助するなど、英語教育のさらなる充実を図ってまいります。

(教育環境の整備充実)

 いじめ問題や多様化する教育的課題につきましては、市長と教育委員会で構成する総合教育会議において情報を共有し、相互に連携を図りながら適正な教育行政を推進してまいります。

 学校給食につきましては、安全・安心な学校給食の提供を行うとともに、子どもたちが心身ともに健康で、たくましく成長するために食育の推進を図り、あわせて給食費の無償化を継続し、保護者の負担軽減を図ってまいります。

 学校施設につきましては、子どもたちが安全・安心に教育を受けられる施設の環境整備を図るため、35人学級に伴う不足教室の整備や老朽化の状況に応じた効率的・効果的な対策を講じてまいります。

 また、学校教育活動の充実を図るため、望ましい小・中学校の規模及び適正配置の方針に基づき、地域の実情や意見等を踏まえた学校再編についての協議を進めてまいります。

 市内2校目の義務教育学校となる金峰学園につきましては、昨年10月に新増築校舎が完成しましたが、引き続き既存校舎や武道館等の改修、外構工事を行い、令和5年4月の開校に向けた整備を進めてまいります。

 市内高校活性化につきましては、各学校の独自色を掘り起こす事業や魅力を発信する事業を支援し、進学者の増加につながる学校活性化の取組を応援してまいります。

(生涯学習の推進)

 生涯学習につきましては、市民の学習ニーズに対応した各種講座などの充実とともに人材育成に努めてまいります。

 また、その拠点である市民会館や各地区公民館等の安全・安心で持続的な学習環境の確保を図るため、市民が集いやすい施設の改修・整備の検討を進めてまいります。

(生涯スポーツの推進)

 スポーツの振興につきましては、サッカー、駅伝、サイクルスポーツなどスポーツ活動の推進に努め、引き続き大会の誘致やスポーツ合宿等の推進を図ってまいります。

 加世田運動公園をはじめとする社会体育施設につきましては、計画に基づく年次的な整備を行い、市民の健康づくりの拠点施設として、利便性向上や適切な管理運営に努め、市民の健康増進、競技力向上を促進してまいります。

 また、誰もがより身近にスポーツを楽しむことができるよう体育協会等を中心に競技団体と連携して、各種スポーツ活動の普及・啓発を図ってまいります。

 さらに、優秀選手の育成・援助を図るため、県代表として九州大会や全国大会に出場する個人、団体にスポーツ奨励金を引き続き交付してまいります。

 令和5年10月7日から17日まで開催される特別国民体育大会「燃ゆる感動かごしま国体」において、本市では、10月8日から10日までスポーツクライミング競技会、1012日から16日までサッカー少年男子の競技会及びデモンストレーションスポーツ競技として5月21日にサイクリングが開催されます。

 特別大会の成功に向け、市民の皆様方への周知を図るとともに、ご支援とご協力をいただきながら、心のこもったおもてなしでお迎えするため、

 引き続き市実行委員会を中心に開催準備を進めてまいります。

(歴史・文化・伝統の継承・育成)

 加世田麓地区につきましては、伝統的建造物群の保存や日本遺産としての効果的な魅力発信に、引き続き取り組んでまいります。

 また、栫ノ原遺跡につきましては、保存活用計画に基づき、具体的な整備基本計画に取り組んでまいります。

 さらに、文化事業の充実に努めるとともに、文化の情報発信、文化施設の有効活用を促進してまいります。

第五は、「多様性が尊重され誰もが共生できるまちづくり」であります。

(市民参画によるまちづくり活動の促進)

 コミュニティ意識の醸成につきましては、市民主体のまちづくり活動を支援するとともに、創意工夫を凝らした優れた自主的活動により、地域づくりや地域の活性化に取り組まれた個人や団体を表彰する「南さつま市主役大賞」を創設し、地域の個性ある活動にスポットライトを当て、地域の元気づくりを創出します。

 コミュニティの活性化による地域力の再生につきましては、市民団体等が自ら企画し、ふるさとの再興を目指す新たなチャレンジ活動に対する支援を継続してまいります。

 コミュニティ活動の充実・活性化の推進につきましては、自治会活動助成金の交付など支援を継続するとともに、自治会の再編につきましても再編交付金などにより、再編自治会への支援を行ってまいります。

 交流事業につきましては、新型コロナウイルス感染症により、まだまだ先行きが不透明な状況ではありますが、友好交流20周年を迎える中国宿遷市や旭川市との交流をはじめ、包括連携10周年を迎える学校法人玉川学園との記念事業など、協定締結自治体や団体と連携し、新しい生活様式に対応した交流を進めてまいります。

(移住・定住の推進)

 移住・定住の推進につきましては、移住定住補助金制度をはじめ、手厚い子育て支援や農業者等の就労支援など、移住希望者が必要とする情報を広く発信するとともに、地域おこし協力隊員の配置による移住・定住施策の充実や関係人口の創出に向けた取組を行い、人口減少の抑制や地域の活性化に努めてまいります。

(男女共同参画社会の実現)

 男女共同参画につきましては、男女共同参画審議会や女性未来ネットワークなど各団体の活動展開や支援により、市民一人ひとりの人権が性別等にかかわりなく尊重され、その個性と能力を十分に発揮できる多様性に富んだ誰一人取り残すことのない社会の実現を目指してまいります。

(広報・情報発信の充実)

 市政の情報提供につきましては、市報やお知らせ版により市民が必要な情報を、分かりやすい表現できめ細やかに伝えられるよう紙面の充実に努めるとともに、広報紙のアプリ配信やホームページ、テレビデータ放送など様々なメディアを活用した情報の発信に努めてまいります。

(持続可能な行財政運営)

 行政改革大綱をはじめ、定員適正化計画、財政健全化計画に基づき、職員の定員適正化や組織機構の見直し、職員の意識改革と資質の向上、公共施設のあり方や民間委託・民営化及び市有財産の活用など、行財政改革を推進し、行政の効率化や財政の健全化を図るとともに、後年度における交付税措置など有利な地方債やふるさと納税寄附金など限られた財源を活用し、持続可能なまちづくりに取り組んでまいります。

 公共施設等の管理・運用につきましては、公共施設等総合管理計画に基づき、公有財産の適正な管理や効率的・効果的な活用について、計画的な取組を推進してまいります。

 地域住民の最も身近な行政拠点施設である庁舎等整備につきましては、金峰支所及び金峰地域消防拠点施設の複合施設として令和5年度内の開所を目指してまいります。

 また、老朽化等が進む坊津支所庁舎につきましては、現在の坊津支所周辺地に、行政サービスの向上や市民の利便性を高め、行政、福祉、防災、生涯学習施設の複合化・集約化により、坊津地域の新たな交流拠点施設として整備し、令和6年度の開所を目指してまいります。

 旧敬老園跡地の有効活用につきましては、民間活力を活用した宅地分譲地として売却することにより、市民の有効な住環境の確保を推進してまいります。

 特別養護老人ホーム和楽苑につきましては、令和5年4月1日の民間移譲に向け、取組を進めてまいります。

 広域連携につきましては、鹿児島県市長会や南薩地区総合開発期成会などとの連携・協調を図りながら、様々な広域的ニーズに柔軟かつ効率的に対応するとともに、関係地域の一体的な振興に努めてまいります。

 南薩地区衛生管理組合において進められている(仮称)南薩地区新クリーンセンター施設整備事業につきましては、令和6年9月の供用開始に向けて、今後施設整備が着実に進められるよう協力してまいります。

4 結びに

 以上、新年度の市政運営の基本的な考え方や主な施策などを申し上げましたが、私は、これまでも、「過疎に負けるな、今正念場」を自らに言い聞かせ、将来を見据えて先送り出来ない課題にも、限られた財源を有効に活用し、市民のご理解をいただきながら、着実に誠実に市政運営に取り組んでまいりました。

 今後におきましても、令和7年度に迎える市制施行20周年を見据えた「スタートの年」となるよう、新たな時代に夢と希望が持てるまちづくりを市民の皆様とともに構築していきたいと思います。

 また、このような変革期の「今だからこそ」続けなければならないことがあり、始めなければならないことがあるとの想いから、隣接する自治体等と協力しながら、薩摩半島の拠点都市を目指し、将来へ向けて持続可能な、「住みたい 働きたい 訪れたい 誰もが主役になれる 南さつま」の実現に向けて、全力を尽くしてまいります。

 市議会をはじめ、市民の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

市の方針・政策