令和2年第1回市議会定例会の開会に当たり、市政運営について所信を申し上げますとともに、本日提案いたしました議案についてご説明申し上げます。
国内外で新型コロナウィルスによる感染の状況が報道される中、国において懸命な感染拡大の防止に向けた取組が行われているところであり、一刻も早い終息を願っているところであります。
本市におきましても、国・県から情報収集を行い、感染症対策や今後の対応について庁内で情報を共有するとともに、市ホームページなどにより市民一人ひとりができる感染症予防のためのこころがけなどの情報提供を行ってまいります。
今後も、国・県からの情報を踏まえ状況の把握に努め、相談所として設置された加世田保健所や関係機関と連携・協力し迅速に対応できるよう万全の対策を講じてまいります。
本年7月には、半世紀ぶりともなる、東京2020オリンピック・パラリンピックが開幕します。
また、本県におきましては、スポーツの祭典「燃ゆる感動かごしま国体・かごしま大会」が開催されることから、「スポーツイヤー」とも言われるこの機を新たな飛躍のチャンスと捉え、本市のポテンシャルを最大限に活かし、魅力の発信に努めてまいります。
さて、国におきましては、景気の緩やかな回復基調が続く中、「成長戦略」に基づく諸施策が展開されており、地方におきましても、その波及効果が期待されているところであります。
一方人口減少・超高齢化は更に進行することが推測され、首都圏への人材集中と地方圏における労働力不足や少子化が懸念される中、医療や教育・産業など様々な行政課題に対して、それぞれの地方自治体が中長期的な展望のもとで地方創生の戦略を講じることが一層求められております。
本市におきましては、今後直面する2025年問題や少子高齢化等、本市が抱える諸課題の解決のために情報通信技術を活用したまちづくり(スマート社会)及び電子化された自治体(スマート自治体)が必要不可欠なものになってくるとの考えからスマート社会の基盤となる光ブロードバンド整備に取り組んでおり、令和2年度には完了します。
この整備により、通信環境は都市部と同等なものとなることから、行政のスリム化を図り、デジタル弱者に配慮した、市民が安心安全でより豊かに暮らせるスマート社会の実現を目指してまいります。
また、金峰学園、(仮称)南薩地区新クリーンセンターや公共下水道などの大規模な公共施設整備につきましても次世代に負担を残さず、将来にわたり、より質の高い行政サービスの提供に努め先送りできない課題を進めてまいります。
そのために、本市を取り巻く社会経済環境の変化にしっかりと対応しながら、持続可能な市政運営を行い、中長期的な視点を持って課題に取り組んでまいります。
私の市政運営における基本姿勢は、本市のまちづくりの原点である市民憲章をその基本理念とし、「住みたい 働きたい 訪れたい 南さつま」が将来像であり、その実現に向け6つの施策の大綱と、主な施策、新たな取組等について、ご説明申し上げます。
〇第一は、「健康で安心して暮らせるまちづくり」であります。
健康づくりの推進につきましては、生涯元気で生活できるよう、生活習慣病対策のほか、自主的に健康づくりに参加できる健康ポイント事業の推進や健康づくりを学び実践できる機会を引き続き提供してまいります。
また、予防接種の実施など感染症対策や各種検診の受診啓発・受診環境の充実により、疾病の予防及び早期発見・早期治療、介護予防などに取り組むとともに健康体操Yokaなんなんやラジオ体操の普及啓発及び食生活の改善を図りながら、市民の健康づくりを推進してまいります。
自殺対策につきましては、「南さつま市自殺対策計画」を踏まえ、必要な事業を総合的かつ効果的に推進し、こころの健康保持・増進に努めてまいります。
国民健康保険事業につきましては、医療技術の高度化や高齢化の進行、とりわけ団塊の世代が70歳以上に移行し、70歳以上の被保険者が増えることに伴い、医療費の増加が見込まれることから、財政健全化を図るため、国民健康保険運営協議会において、第2期目となります国民健康保険税改定(案)を諮問し、答申をいただいたところでございます。
引き続き「鹿児島県国民健康保険運営方針」に基づき、県との連携による安定的な財政運営と「南さつま市国民健康保険事業計画」を踏まえた効果的かつ効率的な事業を推進してまいります。
地域医療の確保につきましては、市民が安心して日常生活を送るために必要不可欠であり定住促進にもつながることから、地域医療に関する情報の周知啓発に努めるとともに、引き続き県をはじめ関係機関と連携し、救急医療体制の充実や医師確保対策など関連する施策の充実を図ってまいります。
また、地域医療構想を踏まえ、関係機関ほか多職種との連携を深めながら、在宅医療の推進を図るとともに終末期医療のあり方について検討を進めてまいります。
県立薩南病院につきましては、昨年10月に「新薩南病院基本構想」が決定・公表され、新たな建設場所として加世田村原の県有地が決定されました。
また、本年1月には「新薩南病院基本計画」も策定され、計画の着実な遂行が望まれるところであります。
市といたしましては、庁内に「新薩南病院建設推進本部」を設置し、令和4年度中の開院に向けて県と連携し、病院建設に当たり支援・協力していく体制を整え、健康で安心して暮らせるまちづくりを目指してまいります。
坊津病院につきましては、「南さつま市立坊津病院新経営改革プラン」に基づき、病棟の転換を図りながら、病院経営の健全化及び市民が安心・信頼できる医療の提供に努めてまいります。
子育て支援サービスにつきましては、第2期「南さつま市子ども・子育て支援事業計画」に基づき、多様化する保育需要に対応するとともに、放課後児童クラブや延長保育事業などの特別保育事業の充実を促進し、地域子育てセンターなどにおいて、子育てに関する相談・助言・情報提供などを継続して行い、更なる充実に努めてまいります。
新たに、令和2年4月1日に「子育て世代包括支援センター」を、総合保健福祉センターふれあいかせだに開設いたします。
保健師・助産師などの専門職を配置し、妊娠期から子育て期の実情を把握し、妊娠・出産・子育てに関する相談に応じ、関係機関との調整を行いながら、子育てや児童虐待防止など切れ目のない包括的支援を行ってまいります。
子育てに関する負担軽減につきましては、令和元年10月からの幼児教育・保育の無償化により、非課税世帯及び3歳児から5歳児の利用者負担額が無償化されたところであります。
無償化の対象とならない課税世帯の0歳児から2歳児の利用者負担額につきましては、本市独自の軽減を今後も継続して行い、保護者の負担軽減を図ってまいります。
すこやか子ども医療費助成事業につきましては、令和元年10月から助成対象者を高校生までに拡大し、子どもの健康の増進と健やかな発育を図っているところであり、子育てのしやすい環境整備を今後も継続してまいります。
また、ひとり親家庭への医療費助成や各種手当の支給などを行い、自立支援に向けて努めてまいります。
高齢者が住み慣れた家や地域で安心・安全で自立した生活が送れるよう、福祉サービスの充実を推進してまいります。
また、社会福祉協議会やシルバー人材センターの活動を支援し、高齢者の社会参加と生きがい対策の充実を図ってまいります。
第2次地域福祉計画の理念である「自助・共助・公助」の連携を図りながら、地域福祉活動の更なる充実を目指してまいります。
「南さつま市障がい者基本計画」などに基づき、障がいのある方が地域で安らぎのある暮らしができるよう、生活支援、就労支援、補装具や自立支援医療の給付、地域生活支援事業等の実施により、総合的な福祉サービスの提供に努めてまいります。
介護保険につきましては、「南さつま市介護保険事業計画」に基づき、適切な介護サービスの提供及び保険運営の健全化に努めてまいります。
高齢者が住み慣れた地域で適切な医療・介護を受けながら、可能な限り日常生活を営むことができるよう「地域包括ケアシステム」の深化・推進に努めてまいります。
また、策定委員会で地域課題や方向性を審議し「第8期介護保険事業計画」を策定してまいります。
〇第二は、「産業を支え おこすまちづくり」であります。
農業の経営安定と地域農業の継承につきましては、TPP11(ティーピーピーイレブン)や日欧EPA、本年1月に発効した日米貿易協定など貿易の自由化による国内農業への影響が懸念されており、国や県の関連施策等の情報収集・分析・活用に引き続き努めてまいります。
また、本市の農業を支える認定農業者や認定新規就農者の育成、確保につきましては、人・農地プランの地域における話合い活動を推進し、農地中間管理機構を通じた優良農地の集積を図るとともに、地域で担い手を育てる体制づくりを、集落営農の組織化と併せて推進してまいります。
水田営農対策につきましては、金峰コシヒカリなどの主食用米の産地維持を図るとともに、国の交付金を活用した転作を推進するなど、農家所得の維持・向上が図られるよう、JAのほか関係団体と連携しながら2つの農業再生協議会の意向を踏まえた支援を実施してまいります。
農産物の生産振興につきましては、引き続き、かごしまブランド産品の産地維持・拡大を図るため、価格安定基金の造成や種苗購入・生産資材費への支援を実施してまいります。
また、国や県の補助事業を積極的に活用し、産地間競争や輸入農畜産物の影響に耐え得る農業生産の推進や、農業経営の収入減を補てんする収入保険制度加入者への支援を推進してまいります。
大都市圏での販売促進、販路拡大に取り組み、儲かる農業の推進を図るとともに、オリーブや長命草などの新規作物の普及推進、特産化に向けた支援を引き続き推進してまいります。
畜産振興につきましては、国県補助事業や畜産公共事業を活用し、畜産農家の規模拡大や収益力の向上を進め、国際競争力のある強い産地づくりを推進するとともに、基金や補助金を活用した優良な黒毛和牛の導入や増頭支援、各種共進会への出陳助成及び畜産農家の家畜自衛防疫対策を強化し、
伝染性疾病の侵入や、まん延防止を図るとともに、畜産に由来する環境問題の対策に取り組んでまいります。
市食肉センターにつきましては、課題となっていた施設の老朽化や海外輸出対応、と畜場のハサップ義務化に対応した安心・安全な食肉供給体制の確立などの問題を解決するため、第3セクター方式による新会社を設立し、と畜業務を移行します。
鳥獣被害対策につきましては、農業者への電気柵や防鳥ネットなどの設置補助による侵入防止対策や新規狩猟免許取得者への支援、市猟友会と連携した有害鳥獣捕獲対策の強化に加え、県や隣接市と連携し、市境を越えた広域捕獲にも取り組んでまいります。
資源循環・環境保全型農業の推進につきましては、農薬の適正使用やかごしまの農林水産物認証制度の認証継続、新規取得を通じ、安心・安全な農畜産物の安定供給に努めてまいります。
また、総合的な病害虫防除や生物多様性保全に効果の高い営農活動に取り組む農業者等へ交付金を給付するほか、自然農法体験農園を継続し、生産者の育成や有機・自然農法の農産物の普及啓発を図ってまいります。
食育の推進につきましては、食農教育の推進に努めるとともに、地場農林水産物の消費拡大や学校給食への利用拡大に努めてまいります。
農業生産基盤の整備につきましては、担い手への農地利用集積を促進し、安心で安全な食料生産の実現や活力のある農業農村の形成を図るため、継続して、金峰・万世・小湊地区の水利施設の整備を推進して、力強い農業を支える農業生産の基盤づくりに取り組んでまいります。
また、土地改良施設の安定的な機能を維持させるため、長寿命化対策を推進してまいります。
農村の防災につきましては、地震、豪雨等の災害から安全を確保し、被害を未然に防止するため農業水利施設等の防災減災力向上を計画的に進め、さらに農業農村の有する多面的な機能の維持・発揮を図るための共同保全活動を支援し、地域ぐるみで農村環境の整備や地域活性化に努めてまいります。
林業振興につきましては、国土保全や水源かん養、地球温暖化防止など森林の持つ多面的機能を高めるため、除間伐、造林や森林病害虫の防除を行い、健全な森林保護に努めるとともに、森林経営管理制度を活用し、民有林等の状況把握並びに除間伐の促進など森林の整備に取り組んでまいります。
山地災害防止機能指定箇所森林につきましては、保安林の指定を推進し、治山施設の整備や森林の復旧などに取り組むほか、防災対策の推進に取り組んでまいります。
また、森林従事者の育成支援や定着促進に努め、森林組合など林業事業体による施業集約化や森林資源の有効活用や新たな木材需要への対応など、地域産材の安定的で効率的な供給体制を支援してまいります。
このほか、南薩木材加工センターやかごしま森林組合を核として、生産から流通・加工に至る集出荷体制の強化や低コスト化、木材の海外輸出促進を図り、流通体制の確立を促進してまいります。
水産業の振興につきましては、新規就業者に対して就業支援金を助成することにより、後継者の育成に努めてまいります。
また、操業意欲と漁獲高の向上を図るため漁船エンジンのオーバーホールや漁船操業に必要な機材機具の整備に対する支援を継続して行ってまいります。
持続的、安定的な漁業生産の実現につきましては、海洋に適した種苗の放流や増殖場となる藻場の造成、漁協が行うイカシバ投入を支援し、漁業資源の保持増大に努めてまいります。
また、本市の未来を担う子ども達へ、学校給食に地元海産物を提供することで水産業に対する正しい理解と関心を深めてもらうため、地産地消・魚食普及の推進を図ってまいります。
漁港施設の整備につきましては、国・県との連携による整備や維持補修に努めてまいります。
また、漁協所有の老朽化した漁港内施設の維持補修も支援し、漁業者の航海の安全と操業意欲の向上に努めてまいります。
漁協の経営基盤の強化につきましては、経営改善計画に係る保証料助成を継続しつつ、関係機関との連携を強化し漁協合併に向けた取組を推進してまいります。
企業立地支援につきましては、用地取得、施設整備、新規地元雇用に係る補助を行い、平成27年度から10事業者と立地協定を締結しました。
今後も、企業誘致活動に取り組み、地元雇用及び地域経済の活性化に努めてまいります。
地場焼酎の普及につきましては、南さつま市地場焼酎普及推進協議会と連携し、地元焼酎の消費拡大、地場産業の振興、地域経済の活性化に努めてまいります。
ふるさと納税制度につきましては、市観光協会や「チーム南さつま」ふるさと納税振興協議会と連携し、本市特産品等の魅力を全国に発信するとともに、より洗練された返礼品を全国の寄附者にお届けし、地場産業の活性化と自主財源の確保に努めてまいります。
魅力ある生活支援につきましては、移動販売を行う事業者に対し、車両購入費や改造費、燃料費に対し助成を行い買い物弱者の支援に向けた取組を推進してまいります。
33回目を迎える吹上浜砂の祭典は、ゴールデンウィークを中心に約1ヶ月間開催し、長年培ってきた砂像制作の技術を発揮するとともに、修学旅行生の受入れやインバウンドを含めたエージェントなどによるツアー商品化に努め、交流人口の拡大を図るとともに、市民が主役となる交流の場、経済交流の場づくりに取り組みます。
また、周遊観光の推進を通じて、地域経済への波及効果を高めるよう、努めてまいります。
インバウンドの推進につきましては、県観光連盟や市観光協会と更なる連携を強化し、セールス・プロモーションを継続して行い、エージェントとのつながりの強化を図ることで、オリンピック開催後も見据えた海外からの誘客の拡大に努めてまいります。
南さつま海道鑑真の道歩きにつきましては、「かごしま春の三大ウォーク」として、指宿市や霧島市と連携し、コース内容の充実を図りながら参加者及び交流人口の拡大を目指してまいります。
グリーンツーリズムの推進につきましては、NPO法人などと連携しながら、民泊受入れ家庭の支援・確保対策を行いながら、農業体験や漁業体験などの情報提供に努め、新たな地域からの修学旅行の誘致に努めてまいります。
サイクルツーリズムの推進につきましては、「南さつまサイクルツーリズムビジョン」の実現に向け、国内外からのサイクリストの受入体制の整備を図るとともに、サイクリングツアー造成に向けたセールスを充実することで、滞在時間における消費の喚起や交流人口の増加による地域活性化に努めてまいります。
スポーツ観光の推進につきましては、充実した体育施設やスポーツ合宿奨励金制度の周知・広報に努めながら、市内全域の施設を活用した合宿誘致に取り組んでまいります。
万世特攻平和祈念館につきましては、戦後70年以上が経過し、戦争の記憶が薄れゆく中で資料の的確な管理・保存体制や展示方法の再構築、平和教育の普及が課題となっていることから建物・展示のリニューアル工事を行います。
また、引き続き大刀洗平和記念館、知覧特攻平和会館と連携を深めながら、資料の保存・継承などに取り組んでまいります。
笠沙恵比寿の管理運営につきましては、株式会社JTB撤退後は、休館とし、その間、施設の有効活用、地域活性を図るため、譲渡の公募を行うこととします。
〇第三は、「環境にやさしく災害に強いまちづくり」であります。
交通網の整備につきましては、国道、県道の整備を促進するとともに、市道の整備や維持管理を図り、交通の安全や利便性の向上に努めてまいります。
また、道路の愛護作業につきましては、共助による環境整備を推進してまいります。
公共交通につきましては、引き続き地域の現状や利用者の状況の把握に努め、日常生活における利便性の向上を図るため、公共交通路線の再編や交通情報を地域検索サービスに登録するなど、多様な取組を実施してまいります。
また、将来的に持続可能な交通体系の構築を図るとともに、利用者・地域住民・運行業者・行政などの関係者が一体となって地域公共交通を支え合う環境づくりに取り組んでまいります。
市民の快適な住・生活環境の向上を図るために、住宅新築や住宅リフォームへの補助金助成事業を見直し、定住促進、住宅の機能向上・長寿命化、地元建築関連産業の活性化及び空き家対策を図ってまいります。
老朽化した市営住宅につきましては、計画的に内装や建具改修、浴室、台所、便所の給排水設備を改修するなど、入居者の利便性向上に加え、建物の長寿命化や機能性向上を図ってまいります。
移住・定住の促進につきましては、人口確保と空き家の利活用、市内業者の活性化を融合させた新たな移住定住補助金制度により、人口流出に歯止めをかけるとともに、空き家バンクへの登録を前提とした家財処分補助制度を設け、地域活性化と空き家を活かした定住促進に取り組んでまいります。
公園の整備・充実につきましては、地域の特性や環境を十分考慮しつつ遊戯施設や便益施設等の整備充実に努めるとともに、適切な維持管理の推進を図るために公園愛護のかん養を図ってまいります。
水道事業につきましては、簡易水道事業と上水道事業が4月1日から統合され、水道事業として運営を行うこととしており、引き続き良質で安全な水を安定的に供給するため、水道施設の改良・更新・経営安定化を図ってまいります。
加世田市街地の公共下水道事業につきましては、令和3年度の一部供用に向けて、加世田浄化センター及び汚水管路などの整備を計画的に推進してまいります。
情報通信基盤の整備につきましては、計画的に光ブロードバンド未整備地区に情報基盤を整備してまいりましたが、本年1月から笠沙地域と大浦地域で光サービスの供用を開始したところであります。
令和2年度は加世田地域と金峰地域の未整備地区を整備し、光サービスの供用開始を目指してまいります。
また、テレビジョン難視聴地域にテレビ共聴組合が設置した共同受信施設につきましては、新規整備や老朽化などにより大規模改修を行った場合、その費用の一部を助成し、市民生活における情報源の確保を図ってまいります。
急速に進展するAIをはじめとしたICTの技術、国の推進するソサエティ(Society)5.0やスマート社会などに対応するため、組織の強化を図り、地域情報化の推進や情報通信基盤の整備、電子自治体の推進に努めてまいります。
土地利用の推進につきましては、社会情勢や都市環境に大きな変化が生じている状況を踏まえ、加世田市街地の適切な土地利用を推進するために現状に即した用途地域や長期未着手都市計画道路の見直しを行ってまいります。
ごみの減量化を図るとともに、マイクロプラスチック問題などに対応していくため、引き続き3R(スリーアール)の推進に努めてまいります。
環境の保全対策につきましては、合併処理浄化槽設置の推進による水質の保全や悪臭対策などに努め、良好な生活環境の保全を図ってまいります。
地球温暖化対策につきましては、省エネ製品の利用の啓発、環境家計簿の普及など、温室効果ガス排出量の削減目標実現に向けた取組を進めてまいります。
ヤンバルトサカヤスデのまん延防止・駆除対策につきましては、自治会による駆除剤散布、市民の駆除剤購入に対する支援を行うほか、県に対して引き続き抜本的対策を図るよう要請してまいります。
防災対策の強化につきましては、主要河川の改修事業や急傾斜地崩壊対策事業、砂防事業などによる防災対策施設の整備を促進し、市民生活の安定を図るとともに自然災害に強いまちづくりに努めてまいります。
防災体制につきましては、防災センターを拠点とし地域防災計画による総合的な防災体制の確立を図るため、大規模災害などに備えて備蓄品を計画的に整備するとともに、指定避難所の安全性を点検し、避難者がより確実な避難行動が行えるよう機能強化に努めてまいります。
地域防災力の強化につきましては、消防団との連携を図るとともに、自主防災組織の結成促進及び地域コミュニティにおける共助による防災活動の強化を図るため、地区防災計画の策定、地区防災訓練の実施を推進してまいります。
また、災害時避難行動要支援者登録制度の周知や登録を促進し、災害の発生に備えてまいります。
加世田市街地の水害対策である都市下水路事業につきましては、永田ポンプ場の供用に併せ、令和2年度完成を図り、水害に強いまちづくりの実現に努めてまいります。
常備消防につきましては、消防施設、車両・資機材の整備により消防力の充実を図るとともに、迅速・的確な消防・救急活動に努めてまいります。
消防施設・体制の強化につきましては、市全体の消防力の適正配置を見直す中で、効果的かつ効率的な消防救急体制を確立するため、本年1月に設置した「市消防体制あり方検討委員会」で検討してまいります。
消防団につきましては、詰所・車庫等の拠点施設整備を進めるとともに、「消防団の装備基準」に基づき、各種資機材の配備を行い、火災や自然災害に対する消防力の強化を図ってまいります。
消費者行政につきましては、消費生活センターにおける相談体制の充実、学校や地域における消費者教育、広報誌等による啓発活動などに取り組み、市民の財産の保持、安心・安全の確保に努めてまいります。
防犯体制につきましては、令和元年に締結した安心・安全なまちづくりの推進に関する協定に基づき南さつま警察署と連携を図るとともに、防犯街路灯のLED灯への改修を促進してまいります。
また、今年度、寄贈いただいた市公用車のドライブレコーダーや防犯カメラを活用し、安心・安全なまちづくりを推進してまいります。
空家等対策につきましては、条例化を図るとともに、空家等対策計画に基づき調査のデータ化、適正な管理やリフォームなどの利活用を図るとともに、危険廃屋の解体経費について補助を継続してまいります。
〇第四は、「知・徳・体を育み人間力を高めるまちづくり」であります。
学校教育につきましては、令和2年度から小学校において新学習指導要領が完全実施され、英語教育、プログラミング教育など、新しい時代を担うグローカルな児童生徒の資質・能力の育成が求められています。
英語教育につきましては、ALT及び英語教育支援員などを小学校に配置し、「話す・聞く・書く・読む」指導の充実を図ってまいります。
また、プログラミング教育においては、ソサエティ(Society)5.0時代を生き抜く子ども達のために、国の補正予算を活用した一人一台のパソコン配備など、ICT環境の整備を年次的に図ってまいります。
市長と教育委員会で構成される総合教育会議につきましては、いじめ問題や重点施策について共有するなど、教育行政の推進を図ってまいります。
学校給食につきましては、安全・安心でおいしい学校給食を提供するとともに、給食費の無償化を引き続き実施し、教育負担の軽減を図ってまいります。
学校施設につきましては、建築後40年以上の小中学校施設が11校で約7割を占め、老朽化が深刻な状況となっております。
長寿命化改修などが実施されるまでの期間については、学校の状況に応じた効率的・効果的な老朽化対策を実施し、教育環境整備を推進してまいります。
学校再編につきましては、地域の実情や意見などを優先し、引き続き、学校規模の適正化を図ってまいります。
金峰学園につきましては、主に小学生が入る校舎の新築に着手し、既存の校舎等については長寿命化の検討を行い、令和5年4月に市内で2校目となる義務教育学校の開校に向けた整備を進めてまいります。
また、金峰学園開校準備委員会で通学や校章などの協議を行い、制服は時代に即した新たな制服とし、令和3年4月から金峰中学校1年生が着用し、開校に向けた気運の醸成を図ってまいります。
市内高等学校への支援につきましては、高校生の提案事業を支援し、各学校が独自の魅力を維持・発展させ、事業報告会では、高校生が地元中学生に直接学校の魅力を伝えるなど事業展開を図り、入学者の増加を促進してまいります。
市制施行15周年を記念して、市内在住の中学生を友好都市である宿遷市に派遣し、親善を深めながら中国の歴史・文化に触れ、未来を担う子どもたちの相互理解や国際的視野を広げ、両市の交流の更なる深化を図ってまいります。また、これを契機として継続的な相互交流を推進してまいります。
スポーツの振興につきましては、「OSAKO YUYA stadium」において、県高校男子サッカー大会の三大大会が開催されており、大会の誘致やスポーツ合宿等の推進を図ってまいります。
引き続き、加世田運動公園長寿命化計画に基づき、年次的な改修を行い、市民の健康づくりの拠点施設として、利便性向上や適切な管理運営に努め、市民の健康増進、競技力向上を促進してまいります。
また、誰もが気軽にスポーツを楽しめるようにコミュニティスポーツクラブの育成・支援をはじめ、市体育協会やスポーツ推進委員と連携してまいります。
さらに、優秀選手の育成・援助を図るため、県代表で九州大会や全国大会に出場する個人、団体に生涯スポーツ奨励金を引き続き交付してまいります。
社会体育施設につきましては、適切な管理運営に努めるとともに、計画に基づく年次的な整備を行い、利便性の向上に努めてまいります。
「燃ゆる感動かごしま国体・かごしま大会」が、10月に開催されます。
すでにご案内のとおり、本市では、スポーツクライミング競技会が10月4日から6日まで、かせだドームおよびその周辺で、サッカー競技会、少年男子が10月8日から12日まで、「OSAKO YUYA stadium」ほか2会場で行われ、国内トップレベルの競技に触れる、またとない機会であります。
また、市民参加型スポーツ、デモンストレーションスポーツとして、ツール・ド・南さつまを、9月12日に開催します。
これらの大会に、多くの選手や関係者が全国各地から来市されますことから、この機会を絶好のチャンスと捉え、本市の地域資源と魅力を発信し、知名度アップ・リピーターの確保につなげるとともに、競技団体、関係機関と十分な連携を図り、学校関係者や市民ボランティアの皆さんなど、多くの方々のご協力をいただきながら、選手・監督をはじめ、参加される全ての方々が、心に残る素晴らしい大会となるよう全力で取り組んでまいります。
また、本市ゆかりの選手をはじめ、関係者の皆様の活躍を期待したいと思います。
加世田麓地区につきましては、日本遺産の認定と国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された「生きている町並み博物館」として、日本遺産魅力発信推進協議会で関係自治体と連携して情報発信を行うとともに後世に残る文化財として修理・修景を図ってまいります。
また、保存組織の育成、市民学芸員、子ども学芸員の養成にも取り組んでまいります。
阿多貝塚につきましては、昭和55年からの未告示を解消し5月には国史跡指定がなされる予定であります。
平成9年に国の史跡に指定された栫ノ原遺跡につきましては、保存活用計画を策定し、歴史・文化の継承と将来的な整備の基本方針の検討も行ってまいります。
また、「歴史が見える健康づくりの丘」をコンセプトに市民の健康づくりの場としての利用促進や児童生徒の生きた教材としての活用を図ってまいります。
心の教育の充実につきましては、郷土の偉人島津忠良(日新公)が説いた「日新公いろは歌」を市内のあらゆる年齢層に普及を図ってまいります。
また、学校教育や外国人への周知にも取り組んでまいります。
〇第五は、「地域が輝き 人が躍動するまちづくり」であります。
コミュニティの活性化による地域力の再生につきましては、市民団体などが自ら企画し、ふるさとの再興を目指す新たなチャレンジ活動に対する支援を継続してまいります。
地域元気づくり事業につきましては、市民主体のまちづくり活動を支援するとともに、地域が抱える課題解決や地域力を向上させる提案型の取組への支援を継続し、地域コミュニティの活性化を図ってまいります。
また、空き家をリフォームし、地域コミュニティ施設として活用する取組に対する支援制度を新たに設け、地域の活性化と空き家の増加抑制にも努めてまいります。
市政の情報提供につきましては、読みやすくわかりやすい市報・お知らせ版の発行に努めるとともに、令和元年からは広報誌をアプリ配信しており、今後もスマートフォンやタブレットなど様々な媒体による情報発信に努めてまいります。
また、昨年市民栄誉賞第1号を贈呈した大迫勇也選手をはじめ、本市にゆかりのある市外交官の方々の知名度を生かし、本市の魅力を市内外に幅広く情報発信してまいります。
男女共同参画につきましては、多様性に富んだ活力ある男女共同参画社会の実現を推進するため、懇話会及び庁内関係部署が相互に連携し、総合的、計画的な施策の推進を図るとともに、条例整備につきましても、令和3年度施行を目指し、取組を進めてまいります。
国際交流につきましては、引き続き国際交流員の活用を図り、中国宿遷市への青少年派遣や砂像文化を通じた交流を深めるとともに、国内交流につきましても、北海道旭川市・ロシア連邦ユジノサハリンスク市・南さつま市の3市合同による青少年の剣道交流をはじめ、学校法人玉川学園、鳥取市など、各種協定を締結している自治体や団体との連携や、地域と一体となった交流を更に深めてまいります。
〇第六は、「行財政基盤を確立し次世代に誇れるまちづくり」であります。
行財政改革の推進につきましては、引き続き職員の定員適正化や組織機構の見直し、職員の意識改革と資質の向上、公共施設のあり方や民間委託・民営化及び市有財産の活用など、行政改革大綱や集中改革プログラム、財政健全化計画に基づく行財政改革を推進し、行政の効率化や財政の健全化を図るとともに、合併特例債やふるさと納税寄附金を活用するなど限られた財源で持続可能な行財政基盤の確立に取り組んでまいります。
また、新たな行政改革大綱や集中改革プランをはじめ、職員定員適正化計画や財政健全化計画を策定してまいります。
市民の納付機会の拡充や利便性など市民サービスの向上を図るため、コンビニエンスストアにおいて、市税などの公共料金の支払いが可能となる「コンビニ納付」を4月からスタートします。
行政区につきましては、世帯数の減少に伴い運営に支障が生じるなどの課題に対応するため、行政区に関する制度等検討委員会を設置し協議しておりますが、今後の行政区のあり方について協議を進め必要な再編を推進してまいります。
また、自治会の再編につきましても再編交付金などの適用期間を延長し、再編自治会への支援を行ってまいります。
介護老人福祉施設への民間の知見やノウハウ導入により施設サービスの継続と更なる発展のため、特別養護老人ホーム和楽苑の民営化に向け、移譲先法人として社会福祉法人の公募を行い、民間移譲の取組を進めてまいります。
広域連携につきましては、南薩地区総合開発期成会などとの連携・協調を図りながら、関係地域の一体的な振興に努めてまいります。
(仮称)南薩地区新クリーンセンターにつきましては、令和6年4月の供用開始に向けて、南薩地区衛生管理組合管理者として責任をもって構成市とともに取り組んでまいります。
地方創生の取組につきましては、「第2期総合戦略」に基づき、第1期を引き継ぎつつ、第2期では、都市と地方の交流を捉える「関係人口」を新たなキーワードとして盛り込み、地域課題の解決を目指す取組を進めてまいります。
以上、新年度の市政運営の基本的な考え方や主な施策などを申し上げましたが、本年11月には、市政施行15周年という節目を迎えます。
そのような中、私たちを取り巻く環境は、合併時の予測をはるかに超える急激な変化を続けている中、社会情勢に柔軟に対応し、将来を見据え、10年後も20年後も変わらず市民が暮らしやすさを実感できるまちづくりを進めるため、市民の皆さまとスクラムを組み、過疎に負けない「住みたい 働きたい 訪れたい 南さつま」の実現に向け、全力を尽くしてまいります。
市議会をはじめ、市民の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。