H30.02.23 平成30年度施政方針

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 平成30年第1回市議会定例会の開会に当たり、新たな気持ちで3期目に挑むとともに、市民の皆さまの期待と信頼に応えるべく、新年度の市政運営について所信を申し述べ、併せて本日提案いたしました議案についてご説明申し上げます。

 国においては、国難ともいうべき少子高齢化を克服するため、「働き方改革」「人づくり革命」「生産性革命」など、将来の成長に向けた「変革」を打ち出しました。特に本年は、関係法令や制度の改正など、様々な分野で大きな変化が予想されることから、アンテナを高く掲げ、情報の受信と発信に努めるなど、本市の発展と市民サービス向上のために、市政のかじ取りをしっかりと果たしてまいりたいと考えております。

 一方、県においては明治維新150周年やNHK大河ドラマ「西郷どん」の放映など全国的に鹿児島への注目度が高まるなか、「どんどんかごしま」をキャッチコピーに官民一体となった取組を進めておりますので、こうした追い風を背に、島津日新公忠良没後450年記念事業などと連携した取組を展開してまいりたいと考えております。

 本市においては、「第2次南さつま市総合振興計画」のもと、人口減少という大きな課題に歯止めをかけるべく、引き続き「住みたい 働きたい 訪れたい 南さつま」の創造に全力を傾注し、各種施策の具現化を図ってまいります。

 そのために6つの施策の大綱と、主な施策、新たな取組等について、ご説明申し上げます。

 

 第一は、「健康で安心して暮らせるまちづくり」であります。

(健康づくりの推進)

 健康づくりの推進につきましては、健康寿命の延伸を目指し、市民一人ひとりや地域全体でこころ・からだ・いのちの健康づくりに取り組む施策を「南さつま市健康増進計画」に基づき展開し、健康元気都市南さつまの具現化を図ってまいります。

 医療費の抑制を図るため、生活習慣病の発症予防や重症化予防のほか、脳血管疾患対策としてモデル地区での適正血圧推進事業に取り組むとともに、自主的に健康づくりに参加できる健康ポイント事業の推進や健康づくりを学び実践できる機会を引き続き提供してまいります。また、各種検診等の受診啓発や受診環境の充実により、疾病の早期発見・早期治療、介護予防などに努めるほか、健康体操Yokaなんなんやラジオ体操の普及啓発により、市民の健康づくりを推進してまいります。さらに、産学官連携による健康元気まちづくり戦略会議と連携を図り、市民総ぐるみで健康づくりに取り組むとともに、健康都市連合加入都市との連携・交流を通して健康づくりに関する情報の収集・発信に努めます。

 自殺対策につきましては、国の自殺対策基本法の改正を踏まえ、必要な事業を総合的かつ効果的に推進するため自殺対策計画を策定し、こころの健康の保持・増進に努めてまいります。

 国民健康保険事業につきましては、被保険者1人当たりの医療費の額が県内上位でありながら、これまで被保険者の負担を軽減するため、保険料額を据え置いてまいりましたが、高齢化の進行や医療技術の高度化等に伴い医療費が増大することで、今後も厳しい財政運営が見込まれることから、新年度から県と共同運営される新しい国民健康保険制度の下で、他市町村の動向も見極めながら本市の保険料額を検討し、県との連携による安定的な財政運営と効率的な事業の確保ができるよう手続を進めてまいります。

(医療体制の充実)

 地域医療の確保につきましては、市民が安心して日常生活を送るために必要不可欠であり定住促進にもつながることから、地域医療に関する情報の周知啓発に努めるとともに、引き続き県をはじめ関係機関と連携し、救急医療体制の充実や医師確保対策など関連する施策の充実を図ってまいります。また、地域医療構想を踏まえ、関係機関と連携を深めながら、在宅医療の推進を図るとともに終末期医療のあり方について検討を進めてまいります。

 小児・産婦人科の医療環境の充実につきましては、若い世代の定住を促す重要な取組の一つであることから、引き続き県をはじめ、鹿児島大学や医師会など関係機関・団体と連携し、講演会等の開催により、小児・産婦人科に対する理解を深めるとともに、産婦人科で分娩に携わる産科医師の確保を引き続き支援し、安心して産み育てる環境づくりを推進してまいります。さらに、南薩地域の産科医療体制の確保・整備について、関係市で情報を共有し広域的な取組を推進するとともに、平成28年3月に県立薩南病院あり方検討委員会が行った県への提言を踏まえ、県立薩南病院の整備が早急に推進されるよう要請してまいります。

 坊津病院につきましては、医師の確保を重点課題として取り組むとともに、利用者の減少が進む中、病院経営の健全化及び市民が安心・信頼できる医療の提供に努めてまいります。

 診療所につきましては、経営等の健全化及び医療機能の充実を図り、へき地医療機関として市民が安心・信頼できる医療施設整備等環境の充実に努めてまいります。

(子育て支援の推進)

 子育て支援サービスにつきましては、「南さつま市子ども・子育て支援事業計画」に基づき、多様化する保育需要に対応するため、障がい児保育、延長保育などの特別保育事業の充実を促進するとともに、ファミリーサポートセンター事業や地域子育て支援センターでの子育てに関する相談・助言・情報提供のほか南さつまっ子誕生お祝金支給事業などを継続してまいります。

 子どもを産み育てやすい環境整備につきましては、引き続き不妊治療への助成や産後ケア事業のほか、子育てに関する講演会などを継続するとともに乳幼児健診の充実を図ります。また、新たにロタウィルスワクチン接種への助成など、乳幼児任意予防接種事業の充実を図ってまいります。

 子育てに関する負担軽減につきましては、就学前児童人口の増加につなげるため、特定教育・保育施設の利用者負担軽減やすこやか子ども医療費助成事業を継続し、子どもの健康と健やかな育成を図ってまいります。

 児童福祉の充実につきましては、高まる保育ニーズに確実に対応するため、保育園等2施設への整備補助や「南さつま市子ども・子育て支援事業計画」に盛り込まれている認定こども園の開設に向け、旧加世田幼稚園跡地を処分するとともに、教育・福祉など関係機関と連携し、貧困の状況にある子どもの支援及び子育てに関する様々な悩みに対応するなど、相談業務の充実に努めてまいります。

 このほか、花婿・花嫁きもいりどん事業では、独身男女の出会いを継続的に支援することにより、多くの方々が最良のパートナーと巡り会い、家庭を築き、本市で笑顔溢れる人生を歩んでいただきたいと考えております。

(高齢者・障がい者福祉の充実)

 高齢者福祉につきましては、高齢者が住み慣れた家や地域で安心・安全で自立した生活が送れるよう、福祉サービスの充実を推進するとともに、社会福祉協議会やシルバー人材センターの活動を支援し、高齢者の社会参加と生きがい対策の充実を図ってまいります。また、「第2次南さつま市地域福祉計画」の理念である「自助・共助・公助」の連携を図りながら、地域福祉活動の充実を目指してまいります。

 障がい者福祉につきましては、「南さつま市障がい者基本計画・第5期障がい福祉計画・第1期障がい児福祉計画」に基づき、障がいのある方が地域で安らぎのある暮らしができるよう、生活支援、就労支援、地域生活支援事業等、総合的な福祉サービスの提供に努めてまいります。

 介護保険につきましては、増大する介護費用への対応や高齢者が住み慣れた地域でいつまでも暮らすことができる地域社会の形成を図るために、「第7期介護保険事業計画」に基づき、介護予防・日常生活総合事業の推進や在宅医療・介護連携推進事業及び認知症施策の推進など、地域支援事業を充実しながら、適切な介護サービスの提供及び保険運営の健全化に努めてまいります。また、介護サービスの向上や業務の効率性を高めるため、平成30年度から地域福祉事業において高い公共性と中立性を有する南さつま市社会福祉協議会に地域包括支援センター業務を委託することといたしております。

 国において診療報酬や介護報酬の改定など社会保障制度の見直しが行われ、医療と介護の連携強化が予定されておりますが、今後、団塊の世代が全て75 歳以上の高齢者となる平成37年に向けて、可能な限り住み慣れた地域で適切な医療・介護を受けながら、できるだけ自立した日常生活を営むことができるよう、今後も関係機関・団体等との連携を密にし地域包括ケアシステムの充実に努めてまいります。

 

 第二は、「産業を支え おこすまちづくり」であります。

(農業の振興)

 農業の経営安定と地域農業の継承につきましては、昨年12月の日欧EPAなど加速する自由貿易化による国内農業への影響が懸念されており、国や県の関連施策等の情報収集、分析、活用に引き続き努めてまいります。また、本市の農業を支える認定農業者や新規就農者の育成、確保につきましては、人・農地プランに基づく地域ごとの話し合い活動を推進し、農地中間管理機構を通じた優良農地の集積を図るとともに、地域で担い手を育てる体制づくりや集落営農など組織化を推進してまいります。

 水田営農対策につきましては、約50年続いていた米の生産調整、いわゆる減反政策が大きく方針転換されることから、金峰コシヒカリなどの主食用米の産地維持を引き続き図るとともに、国の交付金を活用した転作を推進するなど、農家所得の維持・向上が図られるようJA等の関係団体と連携して、農業再生協議会での協議を踏まえた支援をしてまいります。

 農畜産物の生産振興につきましては、引き続き鹿児島ブランド産地指定を受けているかせだのかぼちゃやハウスきんかんの産地維持拡大を図るため価格安定基金の造成や種苗購入・生産資材費への支援を実施してまいります。また、砂丘らっきょうの調整作業を行う切り子や各種農産物の生産現場をサポートする雇用労力の安定的な確保を図るとともに、国、県の補助事業の積極的な活用や補助要件に満たない施設等の整備に対する市単独の補助事業を継続するなど、産地間競争や輸入農畜産物の影響に耐え得る農業生産を推進してまいります。今後も、大都市圏において農産物の販売促進や販路拡大に取り組み、儲かる農業の推進を図るとともに、6次産業化の支援等に努めてまいります。このほか、優れた健康機能性を持つ南さつま長命草やオリーブのブランド確立を目指し、引き続き栽培普及や加工、販売への取組を支援するとともに、薬用作物ミシマサイコの産地化や鹿児島大学と連携した唐辛子栽培の取組を支援することとしております。

 畜産振興につきましては、昨年全国和牛能力共進会で、鹿児島黒牛が日本一に輝いたことから、本市としましても5年後の鹿児島大会を見据え、優良繁殖雌牛の導入支援や各種共進会への出陳助成、肉用繁殖雌牛の飼養を促進するための基金の増額等による産地基盤の強化や畜産施設内外における家畜自衛防疫対策を強化し、伝染性疾病の侵入、まん延防止を図るとともに、畜産に由来する悪臭防止対策に取り組んでまいります。また、と畜場の衛生管理に関する対策を図るとともに、施設の老朽化や海外輸出対応、安心・安全な食肉の供給体制等の課題を踏まえ、今後の施設運営について、関係事業者等と協議を行いながら、運営方針等の検討を進めてまいります。さらに広域で取り組んでいる茶をはじめとする農畜産物の海外輸出への取組を支援し、経営力、生産力の強化に努めてまいります。

 イノシシやアナグマ等による鳥獣被害対策につきましては、農作物被害を軽減するため、電気柵やワイヤーメッシュ柵等の設置補助等による侵入防止対策の強化や新規狩猟免許取得者への支援を行うとともに、市猟友会や県・隣接市と連携し、広域での捕獲等の対策に取り組んでまいります。

 資源循環・環境保全型農業の推進につきましては、農薬の適正使用やかごしまの農林水産物認証制度の認証継続、新規取得を通じ、安心・安全な農畜産物の安定供給に努めてまいります。また、総合的な病害虫防除や生物多様性保全に効果の高い営農活動等に取り組む農業者等へ交付金を給付するほか、自然農法体験農園を継続し、生産者の育成や有機・自然農法の農産物の普及啓発を図ってまいります。

 地産地消・食育の推進につきましては、新たな「南さつま市食育推進計画(第3次)」に基づき、食農教育や学校給食への地場農林水産物の利用拡大に努めるとともに、少量多品目農業の推進並びに地元農産物の消費拡大に努めてまいります。

 安心・安全・新食料基地の実現を目指すため、活力のある農業農村を形成し、力強い農業を支える農業生産の基盤整備や、農村地域の防災減災力を高める環境整備を推進してまいります。また、農地集積・集約化等による農業の構造改革を推進する農地中間管理機構事業や農地整備事業との連携を深め、土地改良施設の適正な保全管理による長寿命化に努めてまいります。さらに、農業農村の有する多面的機能の維持・発揮を図るための共同保全活動を支援し、農村地域の活性化を図ってまいります。

(林業の振興)

 林業振興につきましては、国土保全や水源かん養、地球温暖化防止など森林の持つ多面的機能を高めるため、除間伐、造林や森林病害虫の防除など、健全な森林保護に努めるとともに、国の施策である森林環境税等の創設へ向け、民有林等の状況把握に努めてまいります。

 山地災害防止機能指定箇所森林につきましては、保安林の指定を推進し、治山施設の整備や台風等で荒廃した森林の復旧などに取り組むほか、防災対策の推進に取り組んでまいります。また、森林従事者の育成支援や定着促進に努め、森林組合など林業事業体による施業集約化や森林資源の有効活用、木質バイオチップなど新たな木材需要への対応など、地域産材の安定的で効率的な供給体制を支援するとともに、路網整備や高性能機械の導入を促進し、施業労力の軽減を図ります。このほか、南薩木材加工センターやかごしま森林組合を核として、生産から流通・加工にいたる集出荷体制の強化や低コスト化を図り、流通体制の確立を促進してまいります。

(水産業の振興)

 水産業の振興につきましては、県内でも有数の海岸線を有する本市の地理的特徴を活かした企業誘致を推進するとともに、漁業就業者の確保を図るため、新たな漁業者グループ等の活動を支援し、共同で経営改善に取り組める体制づくりを推進するほか、新規就業者に対し、就業支援補助金を交付し漁業後継者の確保に努めます。さらに「漁師元気!大漁支援事業」の継続により、漁船操業に必要な機材機具等の整備や、安全航行及び省エネ操業を推進するため、新たに「漁船エンジン整備支援事業」を創設し、漁業者への支援対策の充実を図ってまいります。

 漁業資源の適切な管理につきましては、海域の地理的条件を考慮した種苗の放流や増殖場となる藻場の造成に取り組み、漁業資源の保持増大に努めてまいります。また、立地企業との連携や水産加工グループ等を育成し、低利用魚・未利用魚の積極的な活用を図り、地魚の有効活用に努めてまいります。

 漁港施設の長寿命化を図るため、県との連携により、漁港長寿命化計画書を作成するとともに、現在、設置されている漁船上架施設の整備を図ります。また、漁協の経営基盤の強化や漁協合併に向けた取組を支援してまいります。

(商工業の振興)

 企業立地支援につきましては、用地取得、施設整備及び地元新規雇用に係る補助を行い、平成29年度に3件の立地協定を締結しました。引き続き誘致活動を推進し、本市経済及び地域の活性化に努めてまいります。

 地場焼酎の普及につきましては、南さつま市地場焼酎普及推進協議会による講演会等の開催や各種イベントへの出店など取組を引き続き支援し、さらなる消費拡大を図るとともに、地場産業の振興に努めてまいります。

 ふるさと納税制度につきましては、業務委託先である南さつま市観光協会との連携を深め、返礼品の新規開拓や充実・強化を図り、本市特産品等の魅力を全国に発信し、地場産業の活性化と自主財源の確保に努めてまいります。

 中小企業振興につきましては、小規模事業者に対し、必要な設備投資に係る費用を補助することにより、設備投資を促進し、経営基盤の強化・安定化を図ってまいります。また、プレミアム商品券補助につきましては、島津日新公忠良没後450年を記念し、補助金を増額し、市内購買の促進と定着を図ります。

(観光交流の推進)

 観光交流の推進につきましては、明治維新150周年や島津日新公忠良没後450年などと連携した取組により、交流人口の増加を目指してまいります。

 31回目を迎える吹上浜砂の祭典につきましては、ゴールデンウィークを中心に約1か月間開催し、砂像文化日本上陸の地として全国に発信するとともに、これまで培われてきた技術や明治維新150周年に関連する砂像制作や各種イベント等を実施し、交流人口の拡大はもとより、市民が主役となる経済交流の場として、地域経済への波及効果を高めるなど、新たな産業おこしにつなげるほか、今後のあり方も踏まえて持続可能な砂の祭典を目指してまいります。また、南さつま海道鑑真の道歩きにつきましては、引き続き「かごしま春の三大ウォーク」として、指宿市や霧島市との連携を図りながら、参加者及び交流人口の拡大を目指して実施してまいります。

 グリーンツーリズムにつきましては、農山漁村の有する多様な地域資源を積極的に活用し、農業体験や漁業体験などの情報提供に努めるとともに、教育旅行生等の修学旅行の誘致セールス、リサーチ活動及び民泊受入れ家庭の支援に努めてまいります。

 サイクルツーリズム等の推進につきましては、自転車政策が大幅に転換されたことから、これまでの取組に加え、観光のみならず健康や環境分野等も含めて、サイクルツーリズムの取組を一層強化してまいります。

 万世特攻平和祈念館につきましては、効率的かつ中長期的視野に立った平和祈念館のリニューアル方針に基づき、関係団体からの意見や類似施設等と連携を図りながら進めてまいります。

 

 第三は、「環境にやさしく災害に強いまちづくり」であります。

(交通網の整備)

 交通網の整備につきましては、国道、県道の整備を促進するとともに、市道の整備や維持管理を図り、交通の安全や利便性の向上に努めてまいります。また、道路や河川の愛護作業につきましては、共助による環境整備を推進してまいります。

 公共交通につきましては、地元商店の閉店など地域環境が変動するなか、日常生活の利便性を確保するため、地域公共交通網形成計画に基づき、地域の現状や利用者の状況を把握し、公共交通の路線の再編やバス停の整備など将来的に持続可能な公共交通体系の構築に努めてまいります。

(住宅・宅地の整備)

 市民の快適な住環境の向上を図るため、住宅新築や住宅リフォームへの補助金助成事業を継続するとともに、定住促進並びに住宅の機能向上・長寿命化や地元建築関連産業の活性化を図ってまいります。また、老朽化した市営住宅につきましては、計画的に内装や建具改修、浴室、台所、便所等の給排水設備を改修するなど、入居者の利便性向上に加え、建物の長寿命化や機能性向上を図ってまいります。

 移住・定住の促進につきましては、移住者住宅取得補助金や移住者住宅リフォーム補助金、移住定住促進補助金、空き家バンク制度のさらなる周知を図るとともに、ホームページなど情報発信の充実にも努めてまいります。さらに、若者の定住率が高まっており住宅が不足している坊津町清原地区に県の補助事業を活用し、市営住宅を建設するなど、移住促進、定住化による地域活性化を後押ししてまいります。

(上下水道等の整備)

 水道事業につきましては、良質で安全な水を安定的に供給するため、水道施設の改良・更新を図るとともに、簡易水道事業では西部地区簡易水道の大浦地域において、引き続き国庫補助事業による基幹改良工事に取り組んでまいります。上水道事業では、引き続き万之瀬・川畑第2水源地間の送水整備工事に取り組んでまいります。また、加世田市街地の公共下水道事業につきましては、処理場及び管渠等の整備のため、本格的な工事に着手してまいります。

(情報通信基盤の整備)

 情報通信基盤の整備につきましては、目覚ましい技術の進歩により、社会のあらゆる分野に情報通信技術が浸透し、地域社会を支える重要な要素となっており、市民生活の向上や地域振興に寄与するため、計画的に光ブロードバンド未整備地区に情報基盤を整備してまいります。

(環境汚染対策の推進)

 生活排水対策につきましては、住宅リフォーム補助事業の環境対策補助制度により、農業・漁業集落排水への加入及び合併浄化槽設置を促進し、快適な環境整備に努めてまいります。

(地球温暖化対策の推進・自然環境の保全)

 地球温暖化対策につきましては、「地球温暖化防止活動実行計画(事務事業編)」に基づき、温室効果ガス排出量の大きい市の施設の省エネ化を図るなど、削減目標実現に向けた取組を進めてまいります。

 自然環境の保全につきましては、「南さつま市環境基本計画」に基づき、目指す環境像「みんなで行動する・守る・つなぐ 誇れる豊かな環境 南さつま」に向けた取組を進めてまいります。また、ヤンバルトサカヤスデのまん延防止・駆除対策につきましては、市内における生息範囲が拡大していることから、市民の駆除剤購入に係る負担軽減等を図ってまいります。

 昨年異常発生したキオビエダシャクへの対策につきましては、引き続き、自治会による共同防除並びに自治会長申請による個人防除に対しまして、駆除薬剤の配布など、市木イヌマキを守る取組を実施してまいります。

(総合的な防災対策の充実)

 防災対策の強化につきましては、主要河川の改修事業や急傾斜地崩壊対策事業、砂防事業等による防災対策施設の整備を促進し、市民生活の安定を図るとともに自然災害に強いまちづくりに努めてまいります。

 防災行政無線の整備につきましては、各戸への防災行政情報伝達のために自治会が設置・運営を行っている自治会無線施設の整備について、新規で整備する自治会や平成34年11月で一部のアナログ無線電波が使用できなくなることに伴い、再整備する自治会への補助や防災行政無線を接続し放送する維持管理経費について負担を行ってまいります。

 防災体制につきましては、防災センターを拠点とした防災体制の確立に努めるとともに、避難施設をはじめ地域防災計画による総合的な防災体制の確立を図るため、大規模災害等に備えて備蓄品を計画的に整備し、主要避難所を中心とした機能強化に努めてまいります。

 地域防災力の強化につきましては、消防団との連携や自主防災組織の結成促進及び活動の充実を図るとともに、災害弱者を守るため、避難行動要支援者登録制度の周知や登録を促進し、災害の発生に備えてまいります。

 加世田市街地の水害対策である都市下水路事業につきましては、地頭所ポンプ場及び永田ポンプ場の整備を推進し、水害に強いまちづくりの実現のため、早期完成に努めてまいります。

 本庁舎の耐震化につきましては、本庁舎耐震検討市民委員会で協議していただいた方針に基づき、7月に仮事務所への移転を行い、平成31年2月までの約6か月間で耐震補強工事と温室効果ガス排出削減を含んだ長寿命化対策を実施するとともに、工事期間中は、市政や市民生活に支障の出ることのないよう進めてまいります。

(消防・救急対策の充実)

 常備消防につきましては、消防施設、車両・資機材の整備により消防力の充実を図るとともに、迅速・的確な消防・救急活動に努めてまいります。

 消防団につきましては、詰所・車庫等の拠点施設整備を進めるともに、「消防団の装備基準」に基づき各種資機材の配備を行い、火災や自然災害に対する消防力の強化を図ってまいります。

(消費者保護対策の充実)

 消費者行政につきましては、今後も消費生活センター相談員による相談体制の充実、学校や地域における講座や広報誌等による啓発活動など、市民の安心と安全を確保するため、積極的に取り組んでまいります。

(防犯体制の確立)

 防犯街路灯設置補助事業につきましては、自治会の協力のもと、引き続き防犯街路灯のLED化を促進してまいります。

 空家等対策につきましては、南さつま市空家等対策協議会により、空家等の適正な管理について協議を進めるとともに、引き続き危険廃屋対策として、防災、防犯上の問題となっている危険廃屋の解体経費について補助を行ってまいります。

 

 第四は、「知・徳・体を育み人間力を高めるまちづくり」であります。

(地域とともにある学校教育の充実)

 学校教育につきましては、「主体的・対話的で深い学び」を実現するため、授業の質的転換や「カリキュラム・マネジメント」を通した組織体制の整備を図り、新しい時代に求められる児童生徒の資質・能力の育成に努めます。また、小中一貫教育のあり方を研究し、その成果を生かすとともに、義務教育学校における義務教育9年間を一貫した系統的な教育課程に編成・実施し、教育の質の向上を図ってまいります。さらに、平成32年度からの小学校英語科全面実施に向け、英語科先行実施等による研究を進めるとともに、ALTを1名増員し、3名体制で本市の英語教育の充実を図ってまいります。

 道徳科学習の充実につきましては、指導方法の改善や「考え・議論する」学びの実現を図るとともに、家庭・地域との連携を強化して児童生徒の道徳性の向上に努めてまいります。

 市内全小・中学校へ導入したコミュニティ・スクールの取組につきましては、周知浸透定着に向けて一層推進し、学校と地域が連携・協力していく中で、充実した教育活動を実現してまいります。

(教育環境の整備充実)

 市長と教育委員会で構成される総合教育会議につきましては、いじめ問題や教育予算など、地域における教育課題を共有するとともに、民意を反映した教育行政の推進を図ってまいります。

 学校給食につきましては、本市の明日を担う子どもたちの心身の健やかな成長に寄与するため、安全・安心でおいしい学校給食を提供するとともに、給食費の無償化を引き続き実施し、教育負担の軽減を図ってまいります。

 学校施設につきましては、耐震改修等は完了しているものの、老朽化した施設が多く、大規模改造を計画的に進めるため、長寿命化計画を策定し、安心・安全な教育環境の確保に努めるとともに、引き続き加世田小学校の大規模改造や大浦小学校のトイレ改修を実施してまいります。また、田布施小学校、阿多小学校が築50年以上を経過していることから金峰地域の義務教育環境のあり方について今後、検討を要する課題であると受け止めております。

 学校再編につきましては、地域の実情や意見等を優先し、学校規模の適正化を図ってまいります。学校跡地が新たに健康食品製造、農産加工施設、陸上あわび養殖等に活用がなされ、関係機関との連携等を図るとともに残された学校施設跡地活用についても検討を図ってまいります。再編された学校跡地は、地域のコミュニティの核となることから、活用については地域の意見を反映させた環境整備を図ってまいります。

 市内高等学校3校への支援につきましては、高校生がそれぞれの特徴を活かした魅力ある学校づくりを提案し、高校生版地方創生事業として9事業が実施され、中間報告がなされました。引き続き高校生の提案事業を支援し、中学校の土曜授業に合わせた報告会で情報発信を図るなど、各学校が独自の魅力を維持・発展させながら、活躍できる環境整備や入学者の増加を促進してまいります。また、少子化等による生徒数の減少で、高校存続が危機的な状況となりつつあることから、地元県立高校の抜本的な課題を洗い出し、その対応に向けた取組を検討する対策会議を開催するとともに、奨学金制度の充実や通学・学校活動への支援等、教育環境の充実を図ってまいります。

(生涯学習の推進)

 生涯学習の推進につきましては、市民が安心して地区公民館を利用するため、全ての地区公民館にAEDが配置されるよう計画的な整備を推進するとともに、心豊かでたくましい青少年の育成を図るため、川畑小学校に放課後子ども教室を設置し、子どもたちが地域社会の中で心豊かで健やかに育まれる環境づくりに取り組んでまいります。

(生涯スポーツの推進)

 生涯スポーツの振興につきましては、市体育協会及びスポーツ推進委員会やコミュニティスポーツクラブと連携し、チャレンジデーへの参加やグラウンド・ゴルフをはじめとするニュースポーツを積極的に活用し、市民のスポーツ活動の促進を図ってまいります。また、スポーツ・レクリエーション活動の拠点施設である加世田運動公園につきましては、長寿命化計画に基づき市民や利用者が安全で安心して利用しやすい施設となるよう整備を進めてまいります。併せて体育施設等における命名権の導入も検討してまいりたいと考えております。

 平成32年10月に開催される第75回国民体育大会「燃ゆる感動かごしま国体」では、スポーツクライミングとサッカー少年男子の競技会が本市で開催されるほか、デモンストレーションスポーツ競技として同年9月にサイクリングが開催されることとなっております。

 本市では第75回国民体育大会に向け、競技団体及び小・中・高等学校等との連携により、選手の育成・強化に努め、全国大会等に出場する団体・個人に生涯スポーツ奨励金を交付するほか、サッカー少年男子のメイン会場である加世田運動公園陸上競技場のスタンド改修等を引き続き実施するとともに、体育施設や宿泊施設、学校等と連携を図り、合宿に適した環境の充実、スポーツ合宿奨励金制度のPRなど合宿誘致を積極的に取り組んでまいります。また、2018FIFAサッカーワールドカップロシア大会のパブリックビューイングを開催し、サッカーへの関心を高めるとともに国民体育大会の機運醸成及びPRを図ります。

(歴史・文化・伝統の継承・育成)

 歴史・文化事業につきましては、本県代表として九州・全国規模の文化芸術のコンクール等へ出場する個人・団体を対象とした奨励金制度を新たに創設し、文化活動の振興を図ってまいります。また、明治維新150周年と併せて本年が島津日新公忠良没後450年を迎えることから、7月21日から23日を『日新公ウイーク』と位置づけ、世界遺産「仙巌園」での「三州親善かるた取り大会」や士踊(稚児踊、二才踊)の披露、鹿児島市中央公民館でのシンポジウム、竹田神社での「甲冑隊の入場」など「明治維新の源 薩摩の学びは日新公から」を広く伝えるための事業に取り組んでまいります。

 加世田麓の伝統的建造物群保存地区につきましては、国重要伝統的建造物群保存地区選定を目指し、引き続き保存審議会を開催し、保存地区の検討、保存計画の策定等に取り組んでまいります。

 

 第五は、「地域が輝き 人が躍動するまちづくり」であります。

(コミュニティ活動の促進)

 コミュニティの活性化による地域力の再生につきましては、市民との協働による真に豊かで活力あるまちづくりを推進するため、団体等が自ら企画し、ふるさとの再興を目指す新たなチャレンジ活動に対する支援を継続してまいります。

 地域元気づくり事業につきましては、各委員会等が策定した平成30年度から平成39年度までの第2期の元気づくりプランに基づく、地域の特性を活かしたコミュニティ活動や地域課題の解決に向けた取組など、市民主体のまちづくりの支援を拡充してまいります。また、本市においては、過疎・高齢化や生活形態の多様化などの要因により、地域力の格差が生じており、このような地域課題の克服や地域力を向上させる個性的で特徴のある提案型の取組を継続して支援し、地域コミュニティの活性化を図ってまいります。

 自治会の再編につきましては、平成31年度まで延長した再編重点促進期間内に、再編に取り組む自治会への支援・協力など自主的な自治会再編を促進するとともに、行政区の見直しについて検討を進めてまいります。

(市民参画システムの確立)

 市政の情報提供につきましては、読みやすく、わかりやすく、親しみのある市報・お知らせ版の紙面構成はもとより、施策や市政情報など内容の充実を図り、常に新鮮な情報提供に努めるとともに、ホームページやテレビデータ放送、ラジオ放送など様々なメディアを活用するほか、市外交官の知名度を生かし、本市の魅力を市内外に幅広く情報発信してまいります。また、「井戸端会議」や「輝けふるさと本音で語ろ会」など市民の方々との対話や市政等を説明する会議を開催し、市政の情報提供とともに地域課題の解決に努めてまいります。

(男女共同参画社会の構築)

 男女共同参画の推進につきましては、男女が社会の対等な構成員としてあらゆる分野において、個性と能力が発揮できる社会の実現を推進するため、「第2次南さつま市男女共同参画基本計画」を策定し、総合的、計画的な施策の推進を図ります。

(地域間交流の促進)

 国際交流の促進につきましては、引き続き国際交流員の活用を図り、友好都市である中国宿遷市との交流をはじめ、本年7月にブラジルで開催される「ブラジル鹿児島県人会創立105周年及び県人移民110周年記念式典」に合わせ、親善訪問団を派遣し、ブラジル南さつま市ふるさと会の方々との交流などを行います。また、国内交流につきましては、姉妹都市である北海道旭川市をはじめ、学校法人玉川学園などの各種協定等を締結している自治体や団体との新たな連携・交流を深めるとともに、教育・文化・スポーツ・産業振興等の推進を図るため、官民一体となって更に進化した取組を推進してまいります。

 

 第六は、「行財政基盤を確立し次世代に誇れるまちづくり」であります。

(行政の効率化・財政の健全化)

 行財政改革の推進につきましては、平成27年度に策定した第2次行政改革大綱をはじめ、集中改革プログラム、定員適正化計画、財政健全化計画に基づき、行政の効率化や財政の健全化を図るとともに、将来に向け持続可能な行財政基盤の確立に取り組んでまいります。また、合併特例債や新たな財源であるふるさと納税寄附金を活用するなど、限られた財源で効果的な財政運営を図ってまいります。さらに予算と連動した新たな事業評価制度の構築やマイナンバー制度を活用した事務事業の効率化のほか、平成31年10月の消費税増税を見据えた制度・施策の見直しについても検討してまいります。

 公共施設等の効率的、効果的な活用につきましては、公共施設等総合管理計画に基づき、その実現に向けて計画的な取組を推進してまいります。

(広域連携の充実)

 広域連携につきましては、南薩地区総合開発期成会等との連携・協調を図りながら、関係地域の一体的な振興に努めてまいります。

 新広域ごみ処理施設につきましては、、本市が候補地に選定されていることから安心・安全で市民に信頼される施設の整備を目指してまいります。

(地方創生)

 地方創生の取組につきましては、コンテナ内LED育苗技術推進プロジェクト事業による苗生産が、質の高さや安定性において一定の成果を得られたため、農家での生産実証を実施しております。今後は販路・流通や消費などの研究を進め、ブランド化を図ってまいります。また、福岡の商業施設において、LED育苗システムを活用したベビーリーフの生産販売が展開されているほか、同システムの海外輸出も確定しており、今後更なる拡大を図ってまいります。さらに、本年1月に包括連携協定を締結したアウトドア総合メーカーのモンベル株式会社と連携し、本市の豊かな自然環境を活かした取組を進め、滞在型観光の促進による交流人口の増大や雇用の促進を図ってまいります。

 

 以上、新年度の市政運営の基本的な考え方や主な施策等を申し上げましたが、人口減少や過疎化の大波を押しのけ、限られた財源を有効に活用し、スピード感のある行政運営で諸施策を推進するとともに、地域の声に耳を傾けながら協働のまちづくりを進め、「住みたい 働きたい 訪れたい 南さつま」の実現に向け、全力を尽くしてまいります。

 市議会をはじめ、市民の皆様のご理解とご協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。

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