R03.02.19 令和3年度施政方針

ページ番号:E023128更新日:

 令和3年第2回市議会定例会の開会に当たり、市政運営について所信を申し上げますとともに、本日提案いたしました議案についてご説明申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症は、国内外で猛威をふるい、いまだ蔓延し続け、経済社会全体に及ぼす影響は計り知れない深刻な状況となっております。

 国においては、緊急経済対策や感染症防止対策に取り組んできましたが、本年1月には首都圏などで2回目の緊急事態宣言が発令され、県内でもクラスター以外の感染者が増加するなど、引き続き感染防止対策の取組が重要となっております。

 本市におきましても、国・県からの感染予防等について、最新の情報を収集し、市民への情報提供を適切に行うとともに、PCR検査助成事業の継続やワクチンの早期接種に向けた接種体制の整備に努めてまいります。

 今後も、感染拡大の長期化を見据え、市民の皆様の安全、安心をお守りすることを最優先としつつ、くらし・経済対策として感染症対策や経済の再生にも、より一層力を入れて取り組む必要があると考え、社会経済動向等を見極めながら、スピード感をもって切れ目なく諸施策を実施してまいります。

 国の月例経済報告によりますと、日本経済の基調判断は、「景気は新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。」

 先行きは、「感染拡大防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていく中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待される。」と示される一方で、「国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。」としております。

 本市におきましては、今後「新たな日常」構築への原動力となるデジタル化への集中投資・実装とその環境整備(デジタルニューディール)や地方創生の推進、人・イノベーションへの投資の強化、誰一人取り残されることのない包摂的な社会の実現を図るなど、国・県の動向を注視するとともに、社会経済状況の変化に適切かつ柔軟に対応してまいります。

 また、本市を取り巻く社会経済環境の変化をとらえ、持続可能な市政運営を行いながら、金峰学園、(仮称)南薩地区新クリーンセンターや公共下水道などの大規模な公共施設整備につきましても次世代に負担を残さず、将来にわたり、より質の高い行政サービスの提供を目指し、中長期的な視点を持って、先送りできない課題を進めてまいります。

 そのために、まちづくりの指針を定めた「第2次南さつま市総合振興計画」を基本に個々の取組を具体的な実行に移し、「住みたい 働きたい 訪れたい 南さつま」創造のため、全力を傾注してまいります。
 
 その実現に向け6つの施策の大綱と、主な施策や新たな取組等について、ご説明申し上げます。

 第一は、「健康で安心して暮らせるまちづくり」であります。

 新型コロナウイルス感染症につきましては、いまだ収束する兆しが見えない中、ワクチンが切り札だと言われています。

 ワクチン接種について、国としても安全で有効なワクチンを早く接種できるよう県や自治体の接種体制確保のための支援策を進めておりますが、国のスケジュールによりますと、医療従事者等の後、高齢者、基礎疾患を有する方等の順に接種を進めて行くとされており、高齢者への接種の開始は、早くても4月1日以降になる見込みとされています。

 本市としましても、円滑なワクチン接種が開始できるよう、南薩医師会と協議を行っているところでありますが、引き続き関係機関と連携しながら準備を進めてまいります。

 健康づくりの推進につきましては、「南さつま市健康増進計画」に基づき、口腔機能や運動機能の維持・強化、食育、こころの健康づくりなどの各種事業を展開し、健康寿命の延伸を目指し、生活習慣病の発症予防や重症化予防のほか、健康医学教室や健康相談において健康づくりの支援を行うとともに、自主的に健康づくりに参加できる健康ポイント事業を推進してまいります。

 また、各種検診等の受診啓発、疾病の早期発見・早期治療、介護予防などに努めるほか、健康体操Yokaなんなんやラジオ体操の普及啓発を図りながら、市民の健康づくりを推進してまいります。

 また、健康都市連合加入都市との連携・交流を通して健康づくりに関する情報の収集・発信に努めます。

 自殺対策につきましては、「南さつま市自殺対策計画」に基づき、様々な分野の団体等の皆様と連携し、自殺対策を総合的かつ効果的に推進し、自殺に追い込まれることのない地域に向けて取り組みます。

 国民健康保険事業につきましては、高齢化の進行や医療技術の高度化等に伴い医療費が増大することで、今後も厳しい財政運営が見込まれることから、引き続き県との連携による安定的な財政運営と効率的な事業を展開してまいります。

 地域医療の確保につきましては、地域医療に関する情報の周知啓発に努めるとともに、引き続き県をはじめ関係機関と連携し、救急医療体制の充実や医師確保対策など関連する施策の充実を図ってまいります。

 また、関係機関等多職種との連携を深めながら、在宅医療の推進を図ります。

 県立薩南病院につきましては、新薩南病院基本計画に基づき、基本設計も策定され、令和3年度に着工、令和4年度中の開院に向けた取組が進められています。

 本市といたしましては、県と連携し、病院建設と併せて、新たな交通システムの導入検討や日常的な外出である買物、通院など利便性の高いまちづくりの「モデル地区」としての一歩を模索してまいりたいと考えております。

 坊津病院につきましては、経営の健全化及び医療機能の充実を図り、市民が安心・信頼できる医療の提供に努めてまいります。

 子育て支援サービスにつきましては、令和2年度総合保健福祉センターに開設した「子育て世代包括支援センターみなみらい」を中心に、保健師・助産師などの専門職が、妊娠期から子育て期の相談に応じ、関係機関と調整を行いながら、子育てや児童虐待防止など切れ目のない包括的支援を行ってまいります。

 利用者支援事業やファミリー・サポート・センター事業の充実を図り、子育てを行う家庭や地域の子育て活動を支援し、子育てのしやすい環境整備に引き続き取り組んでまいります。

 子育てに関する負担軽減につきましては、令和元年10月から開始された幼児教育・保育の無償化の対象とならない課税世帯の0歳児から2歳児の利用者負担額に、本市独自の軽減対策を今後も継続して行い、保護者の負担軽減を図ります。

 幼児教育・保育の提供につきましては、第2期南さつま市子ども・子育て支援事業計画の中間見直しを見据え、利用者ニーズを把握し、全ての希望者に確実に幼児教育・保育の提供ができるよう努めます。

 すこやか子ども医療費助成事業の医療給付につきましては、窓口負担ゼロの医療給付の対象について、令和3年4月から住民税非課税世帯の未就学児を、高校生までに拡充し、子どもの健やかな育成に努めてまいります。

 また、ひとり親家庭への医療費助成や各種手当の支給などを行い、自立に向けて支援してまいります。

 高齢者が住み慣れた家や地域において、安心・安全で自立した生活が送れるよう、福祉サービスの充実を推進します。

 また、社会福祉協議会やシルバー人材センターの活動を支援し、高齢者の社会参加と生きがい対策の充実を図ります。

 第2次地域福祉計画の理念である「自助・共助・公助」の連携を図りながら、地域福祉活動のさらなる充実を目指してまいります。

 「南さつま市障がい者基本計画・第6期障がい福祉計画・第2期障がい児福祉計画」に基づき、障がいのある方が地域で安らぎのある暮らしができるよう、生活支援、就労支援、補装具や自立支援医療の給付、地域生活支援事業等の実施により、総合的な福祉サービスの提供に努めてまいります。

 介護保険につきましては、「第8期介護保険事業計画」に基づき、適切な介護サービスの提供及び保険運営の健全化に努めてまいります。

 高齢者が適切な医療・介護を受けながら、住み慣れた地域で可能な限り日常生活を営むことができるよう、「地域包括ケアシステム」の深化・推進に努めてまいります。

 成年後見制度につきましては、成年後見制度の利用の促進に関する法律に基づく国の基本計画を踏まえ、「南さつま市成年後見制度利用促進基本計画」を策定し、制度の理念を踏まえた利用促進のための体制整備に努めます。

 第二は、「産業を支え おこすまちづくり」であります。

 農業の経営安定と地域農業の継承につきましては、新型コロナウイルス感染拡大に伴う市場や飲食業等の需要低下により、出荷販売や営農継続等への影響が懸念されることから、ポストコロナに向けた国・県の関連施策等の情報収集・活用、農業者への情報提供に引き続き努めてまいります。

 本市の農業を支える認定農業者や認定新規就農者等の育成・確保につきましては、農業次世代人材投資事業の新規就農者支援をはじめ、人・農地プランに基づく地域ごとの話し合い活動を推進し、農地中間管理機構を通じた優良農地の貸借を促し、地域の担い手となる中心経営体への農地の集積・集約を推進してまいります。

 農産物の生産振興につきましては、台風や局地的集中豪雨、連続した猛暑日等の自然災害に伴う営農や生産者への影響が懸念されますことから、引き続き、主要農産物であるかごしまブランド産品の産地維持・拡大を図るため、価格安定基金の造成や種苗購入・生産資材費への支援を実施するとともに、営農継続に向け、国や県の補助事業を積極的に活用し、産地間競争や輸入農畜産物の影響に耐え得る農業生産の推進、海外輸出への取組推進や農業経営の収入減を補てんする収入保険制度加入者への支援を推進してまいります。

 また、サツマイモ基腐病(もとぐされびょう)やミカンコミバエ等の病害虫被害対策に取り組むほか、長命草などの新規作物の普及推進、特産化に向けた支援を引き続き推進してまいります。

 水田営農対策につきましては、金峰コシヒカリなどの主食用米の産地維持を図るとともに、国の交付金を活用した高収益作物への転換を推進するなど、農家所得の向上が図られるよう、2つの農業再生協議会の意向を踏まえた取組を実施してまいります。

 畜産振興につきましては、国県補助事業等を活用し、畜産農家の規模拡大や収益力の向上を進め、国際競争力のある強い産地づくりを推進するとともに、来年度に迫る「全国和牛能力共進会鹿児島大会」を見据え、基金や補助金等を活用した優良な黒毛和牛の導入や増頭支援、各種共進会への出陳助成に加え、畜産農家の家畜自衛防疫対策を強化し、家畜伝染病予防法で指定されている高病原性鳥インフルエンザや豚流行性下痢、口蹄疫等のウイルスの侵入や、まん延防止を図るとともに、畜産に由来する環境問題の対策に取り組んでまいります。

 市食肉センターにつきましては、第3セクター方式の「株式会社南さつま食肉流通センター」に移行し、ハサップ対応の改修工事も完成しました。
   
 今後も、関係企業と連携して安心・安全な食肉供給体制を維持し、畜産振興及び雇用の確保を図ってまいります。

 鳥獣被害対策につきましては、農業者への電気柵や防鳥ネットなどの設置補助による侵入防止対策や新規狩猟免許取得者への支援、市猟友会と連携した有害鳥獣の捕獲対策を強化し、農作物や生活環境の被害軽減を図ってまいります。

 資源循環・環境保全型農業の推進につきましては、農薬の適正使用やかごしまの農林水産物認証制度の認証継続、新規取得を通じ、安心・安全な農畜産物の安定供給に努めてまいります。

 また、総合的な病害虫防除や生物多様性保全に効果の高い営農活動等に取り組む農業者等への交付金や農業用廃プラスチック類の適正な処理の推進のほか有機・自然農法の農産物の普及啓発を図ってまいります。

 食育の推進につきましては、食農教育の推進に努めるとともに、地場農林水産物の消費拡大や学校給食への利用拡大に努めてまいります。

 農業・農村整備につきましては、農産物の安定供給に加えて、国土や自然環境の保全、安らぎのある農村環境の形成を図るため、引き続き水利施設の整備を推進して、力強い農業を支える農業生産の基盤づくりに取り組むとともに、土地改良区の組織体制強化に向けて、組織の合理化や事業運営の効率化を図るための支援を行ってまいります。

 また、農業経営の確立に寄与する基盤整備や、自然災害の激甚化、施設の老朽化に対応するため、防災・減災や国土強靭化などの長寿命化対策を進めつつ、農業・農村の有する多面的機能の維持・発揮を図るため、地域共同活動を支援し、地域資源の適切な保全管理に努めてまいります。

 荒廃農地の発生防止・解消を促進するための事業の拡充を図り、農業生産性の向上や農村環境の保全・管理を推進します。

 林業振興につきましては、国土保全や水源かん養、地球温暖化防止など森林の持つ多面的機能を高めるため、引き続き除間伐、造林や森林病害虫の防除など、健全な森林保護に努めるとともに、森林環境譲与税を活用しながら民有林等の状況把握及び除間伐の促進等森林の整備に取り組んでまいります。

 山地災害防止機能指定箇所森林につきましては、治山施設の整備や台風等で荒廃した森林の復旧などに取り組むほか、防災対策の推進に取り組んでまいります。

 森林従事者の育成支援や定着促進に努め、森林組合など林業事業体による施業集約化や森林資源の有効活用、また、新たな木材需要への対応など、地域産材の安定的で効率的な供給体制を支援するとともに、路網整備や高性能機械の導入を促進し、施業労力の軽減を図ります。

 水産業の振興につきましては、海洋に適した種苗の放流や増殖場となる藻場の造成、漁協が行うイカシバ投入を支援し、漁業資源の保持増大に努めてまいります。

 また、操業意欲と漁獲の向上を図るため、漁船エンジンのオーバーホールや漁船操業に必要な機材器具等の整備に対する支援を継続して行ってまいります。

 漁協の経営基盤の強化につきましては、経営改善計画に係る保証料助成を継続しつつ、関係機関との連携を強化し、県統一漁協の合併に向けた取組を支援します。

 新たな水産資源として「深海魚」に着目し、令和2年度に設立した産学官連携による「かごしま深海魚研究会」を活動拠点として、「深海魚」の流通促進を図るとともに、定置網等で獲れる未利用魚・低利用魚の活用を推進します。

 また、本市の未来を担う子ども達へ、学校給食に地元海産物を提供することで水産業に対する正しい理解と関心を深めてもらうことにより、魚食普及・地産地消の推進を図ってまいります。

 漁業者の減少に歯止めをかけ、新たな漁業者への就業や定着化及び担い手育成を推進するため、新規就業者に対して就業支援金の助成により、漁業後継者の育成に努めてまいります。

 漁港施設の整備につきましては、国・県との連携による整備や維持補修に努めます。

 また、新たに、漁協所有の老朽化した漁港内施設の維持補修も支援し、漁業者の航海の安全と操業意欲の向上を図ってまいります。

 地場焼酎の普及につきましては、南さつま市地場焼酎普及推進協議会と連携し、地元焼酎の消費拡大、地場産業の振興、地域経済の活性化に努めてまいります。

 また、本市は、鹿児島の焼酎文化の技術を伝承した鹿児島二大杜氏と言われる「阿多杜氏」と「黒瀬杜氏」の故郷でありますが、地元が中心となり焼酎神社として発信している竹屋神社の隣接地に休憩・案内施設としての公衆トイレの整備を図ります。

 なお、今後も地元の取組を支援しながら、焼酎づくりの伝統と技術を受け継ぐ焼酎蔵めぐりなど市内を周遊する観光の拠点として誘客に努めてまいります。

 企業立地支援につきましては、用地取得、施設整備、新規地元雇用に係る補助を行い、平成27年度から12事業者と立地協定を締結しました。

 今後も、企業誘致活動に取り組み、地元雇用及び地域経済の活性化に努めてまいります。

 また、移動販売を行う事業者に対し、車両購入費や改造費、燃料費に対し助成を行い、買物弱者の支援に向けた取組を推進します。

 地場産業の振興に関しましては、市観光協会や「チーム南さつま」ふるさと納税振興協議会と連携し、ふるさと納税返礼品の積極的な活用により、本市特産品等の魅力を全国に発信するとともに、新たな顧客の確保を図りながら販路拡大を支援してまいります。

 商工団体の育成・強化につきましては、コロナ禍の影響や事業主の高齢化による閉店等により、会員確保に大変苦慮している現状等を踏まえ、新規会員獲得や、各団体による独自事業の支援を行ってまいります。

 34回目を迎える吹上浜砂の祭典は、令和3年5月1日(土)~3日(月)の3日間、市役所を中心に本町通り周辺及び加世田麓地区周辺の「まちなか」を会場とし、入場無料で開催いたします。

 長年培ってきた砂像制作の技術を発揮するとともに、さらなる創意工夫を加えながら砂像文化の継承と魅力あるイベントとして地域経済の発展と地域の活性化に努めます。

 また、市民が参画し、市民が主役となる交流の場づくりや、地域振興につながる祭典に取り組むとともに将来に向けた持続可能な砂の祭典を目指しながら、新型コロナウイルス感染症に対応した新たな生活様式にのっとり、来場者・市民及び関係者が安心して楽しめるイベントとして実施します。

 祭典の中心的な会場である「市民交流広場」が、市民に開かれた交流のイベントの場として今後活用されることを期待しております。

 インバウンドの推進につきましては、県観光連盟や市観光協会と連携しながら本県に直行便が就航する国や地域を主に、本市の魅力ある観光素材を継続的にPRし、航空路線の再開後の誘客にいち早く対応できるよう受入体制の整備に努めてまいります。

 南さつま海道鑑真の道歩きにつきましては、「かごしま春の三大ウォーク」として指宿市や霧島市と連携しながら、新しい生活様式に対応したイベントの在り方を模索し、参加者及び交流人口の拡大による地域活性化に努めてまいります。

 グリーンツーリズムの推進につきましては、民泊受入家庭の意向を確認しながら、農業体験や漁業体験などの情報提供、修学旅行の受入れに努めてまいります。

 サイクルツーリズムの推進につきましては、「南さつまサイクルツーリズムビジョン」の実現に向け、市民・県民への自転車の普及を図るとともに、サイクリングターミナルりんりんを拠点に本市を幅広く周遊することで域内の消費拡大や交流人口の拡大による地域活性化に努めてまいります。

 また、九州地方知事会等により九州・山口サイクルツーリズムの推進が進められつつありますが、本市としましてもこれまで培ってまいりました「サイクルシティ南さつま」としての経験やノウハウを活かせるよう牽引的な役割を果たしてまいりたいと考えております。

 スポーツ観光の推進につきましては、充実した体育施設やスポーツ合宿奨励金制度の周知・広報に努めながら、引き続き市内全域の施設を活用した合宿誘致に取り組んでまいります。

 万世特攻平和祈念館につきましては、建物・展示をリニューアルし、令和3年4月の万世特攻慰霊祭でお披露目しますが、併せて地域おこし協力隊を活用しながら、若い世代へ分かりやすい平和教育プログラム、ガイド体制の仕組みづくりを図ります。

 また、引き続き大刀洗平和記念館、知覧特攻平和会館と連携を深めながら、資料の保存・継承などに取り組んでまいります。

 観光・交流情報の発信と誘客対策の強化につきましては、国内外で観光や産業振興に携わっている民間会社員の知見やネットワークを本市の商品開発や観光プロモーションに活かすため、総務省の「地域おこし企業人プログラム」を活用し人材の受入れを行います。

 令和2年3月31日をもって閉鎖中の笠沙恵比寿につきましては、令和2年度では譲渡先の選定に至らなかったことから、引き続き譲渡先を募集します。

 建物の管理上の課題もありますが、地域振興も含めて慎重な選定作業を行ってまいります。

 第三は、「環境にやさしく災害に強いまちづくり」であります。

 交通網の整備につきましては、国道、県道の整備を促進するとともに、市道の整備や維持管理を計画的に進め、道路利用の安全性や利便性の向上に努めてまいります。  

 また、道路の愛護作業につきましては、共助による取組を推進してまいります。

 公共交通につきましては、引き続き地域の現状や利用者の状況の把握に努めるとともに、バスシェルターの設置など日常生活における利便性の向上を図ってまいります。

 また、将来的に持続可能な地域旅客運送サービスの提供を確保することを目的とした「地域公共交通計画」の策定に取り組み、未来のモビリティ社会に向け、地域の多様な輸送資源を最大限に活用した地域公共交通の環境づくりに取り組んでまいります。

 市民の快適な住・生活環境の向上を図るために、住宅新築や住宅リフォームへの補助金助成事業を見直し、定住促進、住宅の機能向上・長寿命化、地元建築関連産業の活性化及び空家対策を図ってまいります。

 老朽化した市営住宅につきましては、計画的に建物の長寿命化や美観向上を図ってまいります。

 移住・定住の促進につきましては、移住定住補助金制度をはじめ、手厚い子育て支援や農業等の就労支援など、移住希望者が必要とする情報を広く発信し、人口減少を抑制する取組を進めてまいります。

 公園の整備・保全につきましては、公園施設の定期点検による予防保全を実施し、施設の長寿命化に努めるとともに、地域と一体となった施設管理を図るため公園愛護を推進し、人と自然にやさしい魅力ある公園づくりを進めてまいります。 

 水道事業につきましては、良質で安全な水を安定的に供給するため、水道施設の計画的な改良・更新を進め、経営の安定化を図ってまいります。

 加世田市街地の公共下水道事業につきましては、令和3年度末の一部供用に向けて、加世田浄化センター及び汚水管路などの整備を計画的に推進してまいります。

 自治体DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進計画をはじめとしたICTの技術、国の推進するソサエティ(Society)5.0やスマート社会などに対応するため、組織の強化を図り、地域情報化の推進や情報通信基盤の整備、電子自治体の推進に努めてまいります。

 市民に身近な行政サービスを提供する手続のオンライン化をはじめ、ICTの技術を利用した行政事務にかかるデジタル化が急務と考えられることから、行政サービスのフロント部分だけでなく、バックオフィスも含め、RPAやAIなどの技術を活用することにより、行政の効率化を図り市民サービスの向上に努めてまいります。

 土地利用の推進につきましては、社会情勢や都市環境に大きな変化が生じている状況を踏まえ、加世田市街地の適切な土地利用を推進するために現状に即した用途地域や長期未着手都市計画道路の見直しを行ってまいります。

 食品ロスをはじめとするごみの排出抑制やマイクロプラスチック問題などに対応していくため、引き続き3R(スリーアール)の推進に努めてまいります。

 環境の保全対策につきましては、合併処理浄化槽設置の推進による水質の保全や悪臭対策などに努め、良好な生活環境の保全を図ってまいります。

 地球温暖化対策につきましては、省エネ製品の利用の啓発、環境家計簿の普及など、温室効果ガス排出量の削減目標実現に向けた取組を進めてまいります。

 ヤンバルトサカヤスデのまん延防止・駆除対策につきましては、自治会による駆除剤散布、市民の駆除剤購入に対する支援を行うほか、県に対して引き続き抜本的対策を図るよう要請してまいります。

 防災対策の強化につきましては、主要河川の改修事業や急傾斜地崩壊対策事業、砂防事業などによる防災対策施設の整備を促進し、市民生活の安定を図るとともに自然災害に強いまちづくりに努めてまいります。

 防災体制につきましては、防災センターを拠点とし地域防災計画による総合的な防災体制の確立を図るため、大規模災害や感染症対策などに備えて備蓄品を計画的に整備するとともに、コロナ禍での避難所運営対策を講じ施設の安全性を点検し、避難者がより確実な避難行動が行えるよう機能強化に努めてまいります。

 地域防災力の強化につきましては、消防団との連携を図るとともに、自主防災組織の結成促進及び日常協力体制の確認など地域コミュニティにおける共助による防災活動の強化を図るため、地区防災計画の策定、地区防災訓練の実施を推進してまいります。

 また、災害時避難行動要支援者登録制度の周知や登録を促進し、災害の発生に備えてまいります。

 加世田市街地の雨水対策につきましては、都市下水路事業によりポンプ場、調整池が整備されたことから、引き続き水害に強いまちづくりの推進のため、施設の長寿命化に努めてまいります。

 常備消防につきましては、消防施設、車両・資機材の整備により消防力の充実を図るとともに、迅速・的確な消防・救急活動に努めてまいります。

 また、金峰地域消防拠点施設の整備に向けて、利便性の向上や防災力の連携・強化を図ることを目的に、支所・消防庁舎の複合施設として整備を進めてまいります。

 消防団につきましては、詰所・車庫等の拠点施設整備を進めるとともに、「消防団の装備基準」に基づき、各種資機材の配備を行い、火災や自然災害に対する消防力の強化を図ってまいります。

 消費者行政につきましては、消費生活センターにおける相談体制の充実、学校や地域における消費者教育、広報誌等による啓発活動などに取り組み、市民の財産の保持、安心・安全の確保に努めてまいります。

 防犯体制につきましては、安心・安全なまちづくりの推進に関する協定に基づき南さつま警察署と連携を図るとともに、防犯街路灯のLED化の継続や、市公用車のドライブレコーダーや防犯カメラを活用することにより、安心・安全なまちづくりを推進してまいります。

 空家等につきましては、空家等対策計画に基づき、所有者等へ適切な管理を促し、リフォーム補助金や空き家バンクなど制度の利活用を図るとともに、危険廃屋の解体経費について補助を継続してまいります。

 また、令和2年度にデータ化した空家調査の結果を地図システムと連携することにより、庁内において空家の情報を共有することで、問合せ等に対し迅速に対応してまいります。

 第四は、「知・徳・体を育み人間力を高めるまちづくり」であります。

 国が推進するGIGAスクール構想を受け、令和2年度に児童生徒1人につき1台のタブレット及び通信ネットワークなどを整備しました。

 今後、これらの充実した教育ICT環境の下、多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化された学びをより一層推進してまいります。

 また、令和4年度から小学校の3年生以上の35人学級や5・6年生の教科担任制など、小学校教育が大きく転換される見通しとなっていることから、国・県の動向を注視しながら対応を検討してまいります。

 市長と教育委員会で構成される総合教育会議につきましては、いじめ問題や重点施策を共有しながら、効果的に教育行政の推進を図ってまいります。

 学校給食につきましては、本市の明日を担う子どもたちの心身の健やかな成長に寄与するため、安全・安心でおいしい学校給食を提供するとともに、給食費の無償化を引き続き実施し、教育負担の軽減を図ってまいります。

 学校施設につきましては、小・中・義務教育学校の約7割を占める11校が建築後40年以上経過し、老朽化が深刻な状況となっており、老朽化の状況に応じた効率的・効果的な対策を講じながら、教育環境整備を推進してまいります。

 学校再編につきましては、地域の実情や意見等を優先し、引き続き、学校規模の適正化を図ってまいります。

 金峰学園につきましては、4月に入学する新中学1年生から新たな制服の着用が始まります。

 また、現在建設中の増築校舎は10月に完成予定であり、既存の特別教室棟と屋内運動場等の改修に着手し、令和5年4月の開校に向けた学校施設の整備を進めてまいります。

 市内高等学校につきましては、各高校の魅力を発展させる提案事業等を支援し、地元中学生の進学率の向上を目指します。

 スポーツの振興につきましては、「OSAKO YUYA stadium」において、県高校男子サッカー大会や県中学校サッカー大会が開催されており、引き続き大会の誘致やスポーツ合宿等の推進を図ってまいります。

 加世田運動公園をはじめとする社会体育施設につきましては、計画に基づく年次的な整備を行い、市民の健康づくりの拠点施設として、利便性向上や適切な管理運営に努め、市民の健康増進、競技力向上を促進してまいります。

 また、誰もが気軽にスポーツを楽しめるようにコミュニティスポーツクラブの育成・支援をはじめ、市体育協会やスポーツ推進委員と連携して、各種スポーツ活動の普及・啓発を図ってまいります。

 さらに、優秀選手の育成・援助を図るため、県代表として九州大会や全国大会に出場する個人、団体にスポーツ奨励金を引き続き交付してまいります。

 鹿児島国体につきましては、2023年に「特別大会」としての開催が決定され、会期及び会場等は、2020年鹿児島国体の計画を踏襲することを基本方針としております。

 会期及び競技日程等が決定され次第、市民の皆様方への周知を図るとともに、ご支援とご協力をいただきながら、引き続き、市実行委員会を推進母体として、新たな気持ちで特別大会の成功に向けて、開催準備を進めてまいります。

 また、延期となった「東京オリンピック・パラリンピック」の開催により、国体開催に向け、感動と興奮を引き継ぎ、気運を高めてまいるとともに、活気を取り戻していただくことを願っております。

 加世田麓地区につきましては、防災計画の策定や日本遺産としての魅力発信に、引き続き取り組んでまいります。

 また、栫ノ原遺跡の保存活用計画策定に取り組むとともに、昨年国史跡指定がなされた阿多貝塚につきましても、児童生徒の生きた教材としての活用を図ってまいります。

 さらに郷土の偉人島津忠良(日新公)が説いた「日新公いろは歌」を、児童生徒や市内のあらゆる年齢層への普及を図るとともに、市外への情報発信にも取り組んでまいります。

 第五は、「地域が輝き 人が躍動するまちづくり」であります。

 良好な地域コミュニティの形成につきましては、行政区に関する制度等検討委員会から提出された最終答申を基に、昨年10月に開催した地域別代表者説明会でお伺いしました様々なご意見等を踏まえ、十分な理解が得られるよう準備期間を設け持続可能な行政区の再編・運営を推進します。

 また、自治会の再編につきましても再編交付金などにより、再編自治会への支援を行ってまいります。

 コミュニティの活性化による地域力の再生につきましては、市民団体等が自ら企画し、ふるさとの再興を目指す新たなチャレンジ活動に対する支援を継続してまいります。

 地域元気づくり事業につきましては、市民主体のまちづくり活動を支援するとともに、地域が抱える課題解決や地域力を向上させる提案型の取組への支援を継続し、地域コミュニティの活性化に加え、地域の人口減少社会を生き抜く力を育む取組を進めてまいります。

 市政の情報提供につきましては、市報やお知らせ版による市民のニーズを意識した「対話型」広報の充実に努めるとともに、広報紙のアプリ配信やホームページ、テレビデータ放送、ラジオ放送など様々なメディアを活用した情報の発信に努めます。

 また、本市にゆかりのある市外交官の方々の知名度を生かし、本市の魅力を市内外に幅広く情報発信してまいります。

 男女共同参画につきましては、「男女共同参画推進条例」を整備し、市民一人ひとりの人権が性別等にかかわりなく尊重され、その個性と能力を十分に発揮できる多様性に富んだ活力ある男女共同参画社会の実現を目指してまいります。

 国際交流・国内交流、いずれにつきましても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により先行きが不透明な状況ではありますが、国際交流員の活用を図り、また中国宿遷市との砂像文化を通じた交流を深めるとともに、北海道旭川市・ロシア連邦ユジノサハリンスク市・南さつま市の3市合同による青少年の剣道交流をはじめ、学校法人玉川学園、鳥取市など、各種協定等を締結している自治体や団体と連携し、新しい生活様式に対応した交流を深めてまいります。

 第六は、「行財政基盤を確立し次世代に誇れるまちづくり」であります。

 行財政改革の推進につきましては、新たに策定した第3次行政改革大綱をはじめ、実施計画、定員適正化計画、財政健全化計画に基づき、引き続き職員の定員適正化や組織機構の見直し、職員の意識改革と資質の向上、公共施設のあり方や民間委託・民営化及び市有財産の活用など、行財政改革を推進し、行政の効率化や財政の健全化を図るとともに、合併特例債やふるさと納税寄附金を活用するなど限られた財源で将来に向け持続可能なまちづくりに取り組んでまいります。

 また、市民が窓口来庁時に、「どの申請書を書けばよいのか」「どのような書類が必要なのか」など市民の困りごとに対応するため、コンシェルジュの配置や一部窓口業務を民間企業を活用したアウトソーシング(外部委託)を導入することで、窓口混雑緩和などの市民サービスの向上を図り、業務効率化、働き方改革につなげてまいります。

 公共施設等の管理・運用につきましては、公共施設等総合管理計画を見直し、公有財産の適正な管理や効率的・効果的な活用について、計画的な取組を推進してまいります。

 地域住民の最も身近な行政拠点施設である庁舎等整備につきましては、金峰支所庁舎を敷地内に建て替え、消防庁舎を含む複合施設として整備を行い、令和5年度の開所を目指します。

 また、老朽化等が進む坊津支所庁舎につきましても、財政事情等を考慮し、効率的な整備のあり方を検討の上、方針をまとめてまいります。

 特別養護老人ホーム和楽苑につきましては、令和4年4月1日の移譲に向け、移譲先優先候補法人である社会福祉法人博楽福祉會との協議を進めてまいります。

 広域連携につきましては、私が会長を務めます鹿児島県市長会や南薩地区総合開発期成会などとの連携・協調を図りながら、関係地域の一体的な振興に努めてまいります。

 (仮称)南薩地区新クリーンセンターにつきましては、南薩地区衛生管理組合では、令和6年9月の供用開始に向けて、令和3年度において敷地造成工事を完工し、施設建設工事に着工する計画としており、整備が着実に進められるよう協力してまいります。

 以上、新年度の市政運営の基本的な考え方や主な施策などを申し上げましたが、今年度は、第2次総合振興計画の最終年次を迎え、集大成を図り、新たな時代のまちづくりの礎となる次期計画へと襷をつなげる、大変重要な年であります。

 私は、これまで、「市民目線」「現場主義」を貫き、課題を先送りすることなく、限られた財源を有効に活用し、市民のご理解をいただきながら持てる力の全てを傾注し、市政運営に邁進してまいりました。

 新年度を迎えるに当たり、改めて初志貫徹の思いの下、気候変動による災害対応や、いまだ終息のみえない新型コロナウイルス感染症など、変化の厳しい社会状況下にありますが、「市民の命をまもる、雇用・経済をまもる、故郷をまもる」ため、持続可能な将来へ向けて、市民の皆様と一丸となり、過疎に負けない「住みたい 働きたい 訪れたい 南さつま」の実現に向け、走り続けてまいります。

 市議会をはじめ、市民の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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